ゼフ王国からの亡命者
今回の主要人物
【宗教都市ゼロ】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。
ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。
メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。
【ゼフ王国からの亡命者】
アレル(人間)戦士
カメア(人間)回復士
ラーレン(人間)孤児出身者。
シューマ(人間)亡命を計画した人物。
さくらは、ちーちゃんと約束した馬達の馬鉄をバージルさんにお願いしていた。数日経過して、完成品ができたと言うので、鍛治工房に向かっていると、スマホから警告音が響いた。宗教都市ゼロに敵視する者が近づいているサインだ。
アプリの【マップ】でみると赤点は1つ、それ以外の白い点は3つである。
(視察団にしては人数が多い…ナビさんに対応してもらおう!)
数時間して、ゼフ王国からの亡命者4名が、宗教都市ゼロにたどり着く。途中からは、ちーちゃんのユニコーン隊の二頭が護衛についていた様だ。そうなれば、モンスターからの襲撃をされても、ユニコーン隊の馬が蹴散らしてくれるだろう。
事前にナビさんは名前と簡単なアンケート的な質問の返答を書込む用紙を用意して鳥居前で待っていた。
そして、四名は鳥居にまでたどり着いた。
リーダー的な戦士風のアレルが、「宗教都市ゼロに亡命したい」と表明する。
ナビさんが事務的にゆっくりと亡命条件を説明する。人間を殺さないこと、氏子になること、住民と調和を取ることなどを説明した。亡命者達は全て受け入れる。
「シューマが段々と体調が悪化しているんです。私達より、シューマを助けてあげて下さい」とみすぼらしい服装のラーレンがお願いをしてきた。
亡命してきたのは4名、男戦士のアレル、女回復士のカメア、一般人の女性ラーレンと男性シューマ。全員が疲労しているので、ナビさんは龍神様のご利益のある水を配り、「高級なポーションより効き目はいいですよ。飲んで疲労を癒やして下さいと勧める」
四人とも飲み、アレル、カメア、ラーレンは生き返った様な表情を見せるが、シューマはさらに苦痛に顔をしかめる。
「シューマ大丈夫?もう少しご利益のある水をわけてもらう?」と心配そうにラーレンはシューマに話しかけるが、シューマは首を横に振る。
今回の4名の亡命は、シューマがエスターと同じ孤児院出身のラーレンを誘い、護衛として兼一緒に亡命を受け入れてくれるアレルとカメアを雇っていた。
「何故、私達三人は回復してるのに、シューマだけ悪化しちゃうの……」とシューマの背中をさすりながらラーレンは言う。
「それは、シューマさんが、この宗教都市ゼロに敵対心を持っっているノストラのレヒですからです」とナビさんは、無表情に告げた。
「ノストラってなんなの?シューマさんはそんな人じゃ無いもん!私に亡命を誘ってくれ、護衛まで手配してくれた恩人だよ!」とラーレンはナビさんに反論する。
一般人にはノストラという組織は知られては居ない。しかし、ノストラのレヒは焦っていた。
(全てがバレている……)と……
ナビさんは、追い討ちをかけるように、
「シューマさ……レヒさん、このご利益のある水飲みますか?ノストラなら、命を落とすかもしれませんよ?」ナビさんは淡々と言う。それがレヒには恐怖だった。
レヒが見た宗教都市ゼロには、魔族もリス獣人もユニコーンもいる事がわかった。その情報だけでもカークに伝えなければと自分の任務を全うする事にした。
「私はノストラの一員だ……次飲めば、あなたの言う通り命を落とすだろう。私はここまでだ、この都市を出る事にする……恐ろしい都市だな……」と言って、シューマの裏の顔レヒは悔しそうな顔をして、宗教都市ゼロを後にした。
突然の事態に、残された亡命者三名は、どうして良いか分からなくなっていた。そこにメルツさんが顔を出す。
「ラーレン?」思わずつぶやいたメルツさん。
その声を聞いたラーレンは、メルツさんに駆けて行き、抱きつく。
「メルツ……生きていたの!!てっきり孤児院で亡くなったと……何も助ける事が出来なくてごめんね……」涙を流してラーレンはメルツさんに謝罪する。
「孤児院を擁護したら、何されるかわからないからね、ラーレンの立場もあるから、自分を責めないで……」とメルツさんも再開を喜ぶ、「エスターもケルンもフィルもここで暮らしているよ」と追加で伝えた。
亡くなったと思っていた人が生きていた事に、嬉しくてラーレンは涙が止まらなかった。
護衛として、シューマに雇われたアレルとカメアはどうして良いか悩んでいた。シューマも一緒なら、亡命するつもりでいたが、雇い主が居なくなってしまった今、どうして良いかわからなくなっていた。
ナビさんは、その二人に、「亡命するも、ゼフ王国に戻るのも自由ですよ。この宗教都市ゼロは来る物は拒まず、去る者は追わずですから」
ナビさんは、宗教都市ゼロに亡命するなら、さくら神社の氏子になること、衣食住は提供することを説明した。
それを聞いて、悩んだアレルとカメアは、「亡命させて下さい」とお願いをする事にした。
ナビさんは、三名に氏子申請をして登録をした。
命からがら逃げ出せたレヒは、カークに伝える事を整理していた。
・リス獣人、魔族が住んでいる。
・ユニコーンは宗教都市ゼロの聖獣。
・敵対するものを分別する飲み物を所持している。
これだけでも伝えることはできたなら、少しはノストラに貢献出来るとレヒは喜んでいた。
ナビさんに連れられた三人は、本殿に居るさくらの元に案内された。
「辛かったですよね、住む場所は、一人づつが良いですか?ラーレンさんは、孤児院の出身者と同じ場所がいいですか?」
アレルとカメアは、一人暮らしを選び、ラーレンはさくら神社で孤児院出身者と一緒に生活を選んだ。
【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り60日】
初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。
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次話はメルツとラーレンのお話です。