もふもふ同盟、リス獣人エリアの露天風呂へ行く
今回の主要人物
【宗教都市ゼロ】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。
エスター(人間)孤児院出身の宗教都市ゼロ大将。もふもふ同盟。
タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。
メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。
ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。馬っころと強い絆で結ばれている。
イスト(リス獣人)代表。
ついにこの日がやってきた。さくら、エスターさん、メルツさんのもふもふ同盟有志による、リス獣人エリアの露天風呂入浴。宗教国家ゼロとしての代表として、さくらが職権濫用したわけでは無い。リス獣人代表のイストさんから許可ももらってある。
「住む場所を提供してくださったさくらさんですもの、是非お越しください」
と言ってもらってる。
「メルツさん!ケルン君やフィルちゃんに、気がつかれてないよね!」
「さくらさん、大丈夫です!」
「エスターさん、さーちゃんに、気がつかれていないよね」
「さくら殿、抜かりはございません」
「最終確認だよ!リス獣人から触られたら、なでなでまではOK、こちらから触りに行くのはNG!最悪の場合は鑑賞だけだからね!」
『了解!』
夕食前に余裕を持ってリス獣人エリアの露天風呂に来た三人。そこで目にしたものは…
リス獣人達と仲良く水泳大会をして遊んでいるちーちゃんと、夕暮れをつまみに桶に日本酒を入れた徳利とお猪口を用意してくつろいでいるタマさんがいた。
「ご主人様珍しいのだ!一緒に泳ぐのだ!」
「珍しい顔ぶれが来たもんだえ」
そこにいるのが普通なように話しかけてくる二人。ちーちゃんはわかる、崇められて居るから。タマさんは同じもふもふだから?イストさんからお酌してもらってるし…
さくら達も裸になって露天風呂に入った。
珍しい顔ぶれが来たので、リス獣人達も少しテンションが高く、近寄ってきてくれる。本当に目の保養である。
エスターさんが、さくらにしんみりと語り始めた。
「さくら殿とこの地に赴任するときは、死を覚悟して来たのに、今は死ぬなんてバカバカしいと思うようになった。ほんの数ヶ月前なのにな」
「私だって、エスターと最後のお別れをして、孤児院で死を待つだけだったのに、今の生活が信じられないときあるよ」
メルツさんも続く。
それを、日本酒をちびりとしながら聴いているタマさんとイストさん。ちーちゃんは、リス獣人達と水泳大会に夢中だ。
「私も不思議だよ!元の世界では病弱で、色々やりたいことが有っても出来なかったんだもん。向こうでは死んじゃって、この世界に転送されたんだけどね。あのカエルみたいなゼフ王に転生したときバカにされて、エスターさんとタス村に来たときは、ほとんど廃村で途方に暮れていたもん!」
「でも、さくら殿は強い。皆を引っ張って独立までしてしまうのだからな」
「強くなんか無いよ!決断するときは、足が震えるほど怖いんだからね!でも、せっかく元気な体でこの地で生活できて居るんだもん。やりたいことを楽しんで、毎日を生活出来れば十分。ちょっとずるいけど、さくら神社の加護で守られて居る私達だけ、大戦に生き残れればそれでいいと思ってるもん。悪女でしょ!」
「全てを救うことなど考えることはないのでは無いか?私もさくら殿の考えに賛成だ」
ちーちゃんが、一緒に遊んで居たリス獣人と一緒に近寄って来た。
「ご主人様達は、アタイが守るから大丈夫なのだ!リス獣人達も、馬っころ達も守るのだ!」
ドラゴンに守られるなら、これほど心強いものは無い。
「ちーちゃんありがとう!でも、人間を殺しちゃダメだからね!半殺しまではOK!」
「わかったのだ!アタイも死なない程度に手加減するのだ!」
夕焼けの空の下、物騒な会話である。
「私は、今幸せなんだ!私が居た元の世界では、以前は人が多く居た島で活気があったみたいなんだけど、私が居た最後の頃は、おばあちゃんとタマさん、時々シゲさん、さらにレアでしろさんを見かけるぐらい。今なんか、毎朝参拝しに来てくれる人が多くて、嬉しいし…ちーちゃんじゃないけど守りたい。大戦なんか無ければいいのにね。でも巻き込まれるってタマさんが占った結果は外れないから…大戦終わったら、平和になって欲しいな…」
「大戦前にも、色々楽しんでしまえばいいぞえ!収穫祭に、年越しもあるぞえ!」
「そうだね!楽しまないとね!タス村出身の人もジョザ村出身の人も一緒に生活しているもんね!きっと誰かと誰かが恋に落ちて…きゃっ!」
しんみりと語っていたらいつのまにか妄想を晒してしまったさくらが恥ずかしそうにエスターさんとメルツさんを見ると、いつの間にかリス獣人さんを、一人づつ抱き抱えてもふもふに浸ってた。
「ちょっと、二人ともずるーい!」
「ご主人様は、アタイを抱っこするのだ!」
「むー!ちーちゃん犬化して!」
「わかったのだ」
さくらは、ちーちゃんのもふもふで我慢した。
(ちーちゃんとは毎晩一緒に寝てるから…毎晩出来るもん…私もリス獣人さん抱っこしたかった…)
さくらは、日本酒をちびちびやっているタマさんの隣に行き、甘えるように、尻尾をなでなでした。タマさんは好きなようにもふもふさせてくれた。
エスターさんとメルツさんの方を見ると、それはずるい!と言いたそうな顔をしていた。ちょっとだけ、さくらは優越感に浸ることが出来た。やっぱり、今は幸せだなと思うさくら。
露天風呂から見える草原では、馬達が美味しそうに草をむしゃむしゃしていた。
【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り140日】
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次話は収穫祭のお話です。




