表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/81

ゼフ王国、宗教都市ゼロを認める

今回の主要人物


【宗教都市ゼロ】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。宗教都市ゼロ代表兼さくら神社神主。もふもふ同盟。主人公。

エスター(人間)孤児院出身の宗教都市ゼロ大将。もふもふ同盟。

タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。

くー(コロボックル)兄妹の兄。森の中を瞬時に移動が出来る。

さー(コロボックル)兄妹の妹。最近はエスターに懐いている。森の中を瞬時に移動が出来る。

シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。

ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。


【ゼフ王国】

ゼフ(人間)国王。

 さくらは、馬車に揺られて、流れ行くのどかな風景を眺め…ではなく、エスターさんがモンスターが襲いかかって来るたびに馬車を止めて退治しながら進んでいた。タス村に赴任する時に通った街道だが、治安は悪化しておるようだ。

「わらわもモンスター退治を手伝うぞえ!」

「アタイも暴れるよ!」

とタマさんとちーちゃんが助けを買って出るが、

「普段タマさん殿から稽古をつけてもらった成果を試したいゆえ、手助けは不要でございます」

とエスターさんは断った。


 今回はアポ無しで王都ゼフに向かっている。手紙を出したとは言え、ゼフ王国の領地を占拠したことのついて挨拶をしに行き、正式に認めてもらおと、さくらが言い出したのだ。シゲさんをはじめ、多くの人に反対されたのだが…

「筋を通さないと、さくら神社が悪者扱いにされて嫌だもん!」

の言葉だけで押し切った。その代わり、護衛として、エスターさん、タマさん、ちーちゃん、が同行し、ゼフ王と対談時はくーちゃんに送ってもらい、シゲさんが姿を消して撮影係りとして参加する事になっていた。


 ちーちゃんは、普段餌や水をあげたり、ワラの交換など馬の世話をしているので、

「アタイは馬に乗るのだ!」

と言って譲らなかった。


 馬もちーちゃんに懐いているようで、いつもと違ういい姿を見せたそうに張り切っているようの見える。


 私は【マップ】アプリで、近くのモンスターの位置をエスターさんに伝える係りをしていた。

タマさんは、丸くなってお休み中。お休みできるくらいの危険度ってことなのだろう。


 街道に現るモンスターは、ゴブリンやコボルドなどの雑魚から、ワイバーンやサラマンダーだけではなく、イフリートまで出没する。イフリートは、エスターさんでも一人では倒せるかどうかとの事。


 馬に人化して乗ってるちーちゃんが、イフリートが来た時は犬化し体当たり一撃で消し去っていた。

(ちーちゃん、こう見えても、最強種のドラゴンなんだね…)


 戦いながらの道中だった為、四日かかって王都ゼフに着いた。

召喚された時に少しだけ見た賑やかな街ではなくなっていた。串焼きの肉を売っていた屋台があった場所には、破壊された屋台の残骸が残っており、ドラゴンの口から出ている水を飲んだ公共水飲み場は跡形も無くなっていた。街中までモンスターが入り込んで暴れまわっているのだろう。


 馬車は、王宮の入り口まで着き、エスターさんが、宗教都市ゼロとして挨拶に来たことを門兵に伝えた。門兵は大将だったエスターさんを知っているので、やり取りはスムーズだ。


 さくらは、その間にSNS【緑】でシゲさんを呼ぶ。すぐに草むらからシゲさんが現れ、

「以外とここに来るまで時間かかったなぁ」

「うん…街道はモンスターに遭遇してなかなか進めなかったんだ…」

「そりゃ、さくらちゃん達大変だったねぇ」

と久しぶりのシゲさんとやりとりをしていると、ゼフ王との面会が許された。


 さくらは神主としての正装、タマさんとちーちゃんは巫女としての正装、エスターさんは騎士としての正装を整え、王の間に通された。

(転生した時は、ここでスキルをバカにされたんだよね…あの時は不安だったなぁ…今は心強い味方に囲まれているけどね!)


 少しして、ゼフ王が王の間に入り王座に座る。


「殿下、お久しぶりにございます。この度、ゼフ王国のタス村から独立し、宗教都市ゼロとして殿下より領主を命じられた地を統治していきます事、お許し頂きたく参上しました」

「ゼフ王国に攻撃の意思は無いか?」

「はい、そのような事は考えても居ません。もう半年を切りました対戦時には中立の立場を取り、攻撃された場合は反撃を行うかもしれません」

「ゼフ王国には、宗教都市ゼロに興味は無い。ゼフ王国とバジ王国とを結ぶ街道を好きに統治するが良い、独立して宗教都市ゼロとして認めようじゃないか」

「殿下ありがとうございます」


「背後におる獣人、なかなか綺麗ではないか、側室にならないか?悪いようにはせんぞ?」

「わらわを以前ゴミ呼ばわりした殿下の側室になぞごめんぞえ!」

「無礼な!目障りだ、お前らはもうもう失せろ!辺境の地でほそぼそと暮らして対戦まで怯えているがいい!」


 ゲスな要求から暴言にまでなったやり取りに、エスターさんが威圧する様にゼフ王を叱責する。


「我が主に失せろとは何事だ!宗教都市ゼロの独立を認めた時点で同じ王の立場になられた。ゼフ王国は、他国の王に対して国賓の扱いではなく、目障りや失せろと言うのか!言葉が過ぎるぞ!」

顔を真っ赤にしながら、ゼフ王はエスターさんを罵倒する。

「大将から一般人にまで落ち、今は独立した国に尻尾を振ってるのか…惨めだの」

「城壁内までモンスターの侵入を許し、国民が街を歩けない惨状になっても、王都の防衛より側室を考える殿下の国民は不憫であろう。どちらが惨めか、恥を知れ!」

(今までエスターさんが命をかけて守ってきた王都がこんな状況になっているなんて、思うところがあるんだろうね)


「エスター大将、殿下に対して言葉が過ぎますよ。殿下の気分を害してしまい申し訳ございません。この度は、宗教都市ゼロの独立を認めていただき、感謝いたします。殿下のお言葉をお借りして、失せさせてもらいます」


 さくらは王の間を出て馬車に戻った。しかし、馬車は無くなっていた。


 ちーちゃんが、

「馬っころ達こっちに居るみたい!」と言って走って行った。さくら達も後を付いていく。


 軍馬の厩舎に二頭は繋がれていた。

他の馬の1.5倍は体が大きく毛並みがツヤツヤしている。


「お前達、アタイの馬っころを返すのだ!」

と、兵に向かって、ちーちゃんは抗議している。


「殿下より、馬車は赴任時に貸したもので、返してもらったまでだ」

と言って、ちーちゃんのお腹を思いっきり蹴飛ばした。


 体重は軽いので、ちーちゃんは吹き飛ばされる。


 そのやり取りを見た、ちーちゃんに世話をしてもらっていた二頭は、繋がれたツナを引きちぎり、厩舎の壁を蹴り飛ばし、ちーちゃんと兵の間に入り、ちーちゃんを守るように兵を威嚇する。


(ちーちゃんはノーダメージだろうけど、お馬さんに好かれていたんだね…でも、返さなければいけないと言われたら…そうなんだよね)


さくらは、巫女姿のちーちゃんについた砂を払い、

「ちーちゃんが世話をしてくれていたお馬さんは、元々はここのお馬さんだったの。返してって言われたら、返さなきゃいけないの…辛いだろうけど…お別れの挨拶しましょ」

「ご主人様が言うから…辛いけどさよならを言うのだ!馬っころ、元気でいるんだぞ!辛くなったらいつでも帰ってきていいからな!待っているのだ!」


 涙を流してちーちゃんは、首を下げた二頭の馬の頭を抱きしめて、お別れの挨拶をした。


 さくらは、ちーちゃんの手を引いて王宮を後にする。


 ちーちゃんが、何回も振り向いてお馬さんに手を振るたびに、鳴き声で答える二頭。

(半年で出来た絆を断ち切っちゃってごめんね、ちーちゃん)


 ちーちゃんを蹴り飛ばした兵は、

「モンスターが徘徊する街道を歩いて戻るんだな!生きて帰れるといいな!」

と言って高笑いをしている。


「エスターさん、以前からこの国の兵ってこんなに躾がなってなかったの?」

「さくら陛下殿、私がいた時は、このような輩は居ませんでした。モンスターが増え、兵を急遽募り、品のない傭兵風情の冒険者でしょう」

「もう!さくら殿でもむず痒い言われ方なのに、さくら陛下殿まで行くと、私のことを呼ばれてる気もしないよ…今まで通りに戻さないと、私もエスターさんじゃなくエスター大将って呼ばないといけなくなるじゃん!今まで通りに呼ぶように!命令です!…この国も大変なんだね…」


 スマホの【緑】アプリでくーちゃんとちーちゃんにお迎えを頼み、さくら神社の草むらに帰った。

(馬車がない方が簡単に帰れるなんて…)




 数日後の朝、さくらとちーちゃんは、馬の鳴く声が聞こえた気がした。

すぐに飛び起きたちーちゃんは窓の外を見て、直ぐにさくらを起こす。

「ご主人様!馬っころが、友達連れて帰って来たのだ!」


 さくらは眠い目を擦りながら窓の外を見る。


 窓の目の前には、見覚えのある二頭がこっちを見ている。

その背後には、数百頭はいる馬が整列している。

ちーちゃんは大喜びで外に駆けて行って再開を喜んでいた。


 馬っころは、ちーちゃんの言葉を理解していた。

「いつでも帰ってきていいからな!待っているのだ!」

と言う部分だけを心に刻んでいた。


 他の馬に、馬っころは、さくら神社の素晴らしさ、ちーちゃんはドラゴンの仮の姿であり、ドラゴンが世話をしてくれていた事を話してた。自分達はやせ細り酷使されている、二頭の馬っころは艶やかな毛並みをしており、羨ましく思った。その話が馬同士で伝達していき、こんな生活は嫌だと皆思うようになってしまった。全頭の意思で、ゼフ王国の厩舎から全頭の馬が抜け出し、一路さくら神社まで駆けてきた…とちーちゃんは通訳してくれた。

(ちーちゃん、馬の言葉わかるんだ…)


 この馬の数の飼育どうすればいいんだろう…とさくらは頭を悩ます。


 


 さくらが悩む前日、厩舎の馬が一頭も居なくなっただと…そんな状況、どうすれば良いのだ…とゼフ王は頭を悩ませていた。


【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り160日】

初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。

タイムリミットある中、異世界でのさくらの活躍を応援してください!


さくらの活躍を応援していただける方は、ぜひブックマーク、評価(下部の☆☆☆☆☆)にて、後押しお願いします。

その応援がはげみになります。


次話はオリハルコンのお話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第9回ネット小説大賞のコンテストに
「さくら神社防衛戦争」
参加中

処女作ですが、皆様の応援、誤字脱字報告のおかげで一次審査を通過しました。心より御礼申し上げます。

「さくら神社防衛戦争」の感想
お待ちしています!

小説家になろう 勝手にランキング



新連載始めました。
『ブラック企業の次は零細ギルドでした』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ