さくらの趣味
ネットさえつながっていれば、今の時代は通販サイトにてほとんどの商品を買うことが出来る。
さくらが大好きなゲームを予約しても、発売日に届かないこともあることから、イツクルと言われることもある、スグクルという通販サイトをさくらは利用してる。
島ではほとんど着る機会が無い流行の服、ご当地のおいしいもの、大好きなゲームソフト、タマさん一押しの油揚げ、などなど、島に居てもお取り寄せができるのだ。
ネットで購入商品の届け先は、シゲさんの自宅にしている。届いたものは、週一回のシゲさん定期便にて届けてもらっていた。
昔は友達のおうちに行ってゲームを対戦していたが、今はネットで対戦や協力プレイが主流。今さくらがはまっているのは、モンスターを狩猟するゲーム。何回も周回してレア素材を集めて強い武器や防具をそろえていくのだが……一度始めると時間はあっという間に過ぎてしまい…
「さくらや、そろそろ見たいドラマが始まる時間じゃ。TVあけておくれ」
とおばあちゃんに催促されるのである。
(おばあちゃん……そろそろ録画で見ること受け入れてよ……)
さくらは渋々TVが置いてある居間から自分の部屋に戻り、携帯ゲーム機を取り出し、世界の半分をくれるという誘惑を断る場面から始まるRPGの最新作を楽しむ。深夜まで明かりをつけて遅くまで遊んでいるとタマさんが「もう寝る時間ぞえ」と言って警告にくる。一枚目のイエローカードだ。
「はーい」と素直に部屋の電気を消し、お布団を頭からかぶって続きを楽しんでいると……物音もせずに近寄ってきたタマさんに布団をはぎ取られ「お嬢際が悪いぞえ」と叱られ携帯ゲーム機を持っていかれる。まさにゲーム機が退場するレッドカードだ。
(なんでタマさんにばれちゃうの! イヤホン付けて音も外にもれていないはずだし、部屋も暗くしていたのに!)
これ以上の夜更かしがタマさんにばれると翌日の稽古が厳しくなるのを知っているので、さくらはあきらめて寝るしかないのである。本当に、母親と娘のような攻防である。
タマもさくらの健康には睡眠が必要なことを知っている。さくらには、一日でも長く生きてほしいと願っているのだ。
ついに……さくらの運命の日が訪れるのであった。