シゲさんの諜報活動 隕石を落とした犯人探し
今回の主要人物
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。もふもふ同盟。主人公。
エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。もふもふ同盟。
くー(コロボックル)兄妹の兄。
さー(コロボックル)兄妹の妹。最近はエスターに懐いている。
シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。
ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。
メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。
ケルン(人間)孤児院の生き残り。男の子。
フィル(人間)孤児院の生き残り。女の子。
ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。
【バジ王国】
バジ(人間)国王
みるみる傷が癒えていくちーちゃん。それとともに、言質をとっているので、ワクテカしながら
「プリン!プリン!」
と催促し始めた。
(みんなの命を守ってくれたお礼がプリンなんかでいいのかな…)
「ちーちゃん、お礼は、本当にプリンでいいの?」
「もちろんなのだ!アタイはプリンが好きなのだ!」
「小さくて味がいいプリンと、大きなプリン、どっちがいい?」
「大きいプリン!」
「もしかして、もらえるプリンは一個って思って、大きい方選んじゃった?小さいプリンをお腹いっぱい食べてもいいんだよ?」
ちーちゃんは少し悩んで、
「大きいプリンをお腹いっぱいがいいのだ!」
「わかった!お取り寄せするね!」
「痛い思いしてよかったのだ!」
(痛い思いはしなくても、プリンくらい取り寄せしてあげるのに…)
さくらはスマホの【スグクル】から、バケツプリン(ジャンボ)を2個取り寄せた。
【スグクル宅配ボックス】に、掃除とかで活躍するアルミの大きなバケツが2つ届いた。
(うん、確かにジャンボだ…)
さくらには片手では持てないので、両手で持って、中腰になりながら、うんしょうんしょと居間まで運ぶ。
「ちーちゃん持ってきたよ!」
「ご主人様、違うのだ!本殿のお掃除当番の罰は酷いのだ…アタイは…プリン…」
ちーちゃんはアルミのバケツに水を汲んできたと思ったらしい。
「違わないよ!ちーちゃん、バケツの中見てごらん!」
恐る恐るちーちゃんが覗くと…黄色いプルプルしたものがバケツいっぱいに入っていた。
「ご主人様!これって…プリン…なのか?」
「そうだよ!スプーン持ってくるね!」
スプーンを一本だけ持ってきて、ちーちゃんに渡した。
プリンが好きなら、夢のような光景だろう。
ちーちゃんは、スプーンで軽くプリンの表面をスプーンで突いて、その衝撃が波紋のようにプルンとしたのを見て、
「おおぉ」
と声を上げて、ひとすくいプリンをすくって口に入れ、
「ご主人様!美味しいのだ!食後のプリンより、ご褒美のプリンの方が格段に美味しいのだ!」
(ご褒美じゃなくて、お礼なんだけど…ちーちゃんが喜んでいるならいいか!)
ちーちゃんがバケツを抱きしめながらプリンを美味しそうに食べているのを、さーちゃん、ケルン君、フィルちゃんが羨ましそうに見ている。ヨダレを今にも垂らしそうにして…
しかし、タス村を救ってくれたちーちゃんへのお礼のプリンと理解しているため、我慢しているようだ。それに気がついたちーちゃんは、
「ご主人様、このプリンみんなで食べちゃダメなのか?一人だけ見られて食べるもの辛いのだ!」
「ちーちゃんから、お裾分けするのはいいんじゃない」
「それならみんなで食べるのだ!」
さくらは、4本のスプーンを持ってきて、お裾分けと言いながら、みんな本気でプリンをすくって食べ始めた。
「大味だけど、この大きさのプリンはゆめだわぁ」
「さくら!下の方すくえない!抱っこ!」
「ボク、こんな大きなプリン、初めて見たよ!それに美味しい!」
「私もプリン好きなんだ。美味しい」
「さくら殿達だけなんて…ちーちゃん殿、私もお裾分けしてもらえないだろうか」
「ちーちゃん、私も食べたいなぁ」
「ちーさん、私も大きいプリンだべたいですぅ」
とエスターさん、メルツさん、ナビさんもスプーンをすでに手に持ち、参戦表明をしてきた。
ちーちゃんは、
「もちろんいいのだ!アタイはご主人様と一緒で優しいのだ!」
(ちーちゃんに褒められちゃった♪)
食べる人数が増えると、プリンのなくなるスピードも上がる。
ちーちゃんが残念そうに…
「もうすぐプリンが終わってしまうのだ…」
と寂しそうに言ったので、さくらは思い出して、【スグクル宅配ボックス】に戻って、もう一個のバケツプリンをプリンパクパクモンスター達に投下するのであった。
その頃、バジ王宮にくーちゃんから送ってもらったシゲは、バジ王の居る部屋に入る。二度目なので誰にも聞くことなくたどり着いた。前回は部屋の隅に立っていた死神は居なくなっていた。椅子に座るバジ王は肉付きも戻ったようだし、血行も良さそうな顔をしており、前回と違い生気があった。そして少し興奮しているように見える。
ぬらりひょんのシゲは、そこに居ても、相手にいない者と認識させることが出来る。
スマホの【ボイスレコーダー】を録音にしてから、シゲはバジ王に話しかけた。
「おめぇさん、タス村に何かしなかったかい?」
「メティオストライクをお見舞いしてやったぞ」
「メティオストライクとは、なんなんだい?」
「隕石を落とす大魔法だ。この国では使える者は居ないが、一回限りメティオストライクが使える消費アイテムのスクロールを使ってやった!これで、ゼフ王の困る顔を思うだけで、気分が高揚する!エスター大将を排除したんだからな!クックック…」
バジ王は思い出して、抑えようとしても笑いが込み上げてくるようだ。
(やっぱり隕石の犯人はこいつでビンゴか…)
「この国には、メティオストライクのスクロールはまだあるのかい」
「もうない。でも群衆を煽り士気を上げる事が出来た」
「同じように、王都バジからタス村に直接攻撃出来る魔法や兵器は有るのかい?」
「無い。無くても問題ないだろう!もうタス村はこの世から無くなっているんだからな。大戦前にヒク村を壊滅させた仕返しだ」
「以前より顔色がいいみてぇだが、何かいいことでもあったのかい?」
「ゼフ王国から、オスロ商会が大量の食料を持って亡命してきた。どうやったが知らないが、ピーナッツ火山の主を説得して、噴火を弱めさせたと言うし、亡命前も裏で食料を流通させてくれていた。正にこの国の救世主だ!これなら、大戦でゼフ王国に勝てる!あの豊かな大地も我が物に出来るんだ!クックック…」
(飢えていない状態で話す本心は、なかなかの野心家だったのか…)
「大戦に向けて、これからどんな準備するんだい?」
「ピーナッツ火山で採掘出来るオリハルコンを使って装備を整えて一気に攻め込むまでよ!」
(最高の装備を揃えて、タス村を越えていくつもりか…それは面倒だなぁ…)
聞くことを終えたシゲはバジ王の部屋を後にした。
「ぬらりでひょんだ」
(戻ったら会議だな…)
草むらに入り、くーを呼んでタス村に戻った。
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次話は、ジョザ村からの移住のお話です。