バジ王国に入り込んだオスロ
今回の主要人物
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。もふもふ同盟。主人公。
エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。もふもふ同盟。
タマ(九尾の狐)さくら神社に祀られている、アーティファクト「お稲荷様」の化身。武術に長け、料理上手。
シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。
ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。
【バジ王国】
バジ(人間)国王
【ノストラ】
オスロ(人間)オスロ商会経営
緑も青青とし、日差しが暑くなってきた。異世界にも四季があるようだ。
リス獣人達の移住により、さくら神社のLvも大きく上がったお陰で、【神社ディフェンス】レベル選択ができるようになり、初級、中級まではクリア出来るようになっていた。上級は、ミノタウルスやらサイクロプスが数体出てくる為、【狛犬(銛砲)Lv7】でも足止めが間に合わない。今は各種狛犬のLv上げをしていた。
ナビさんの説明漏れでパーティ機能を最近まで使っていなかった。パーティー機能を使うと、神社ディフェンスなどで倒したモンスターの経験値をパーティーメンバーに均等配分出来る。パーティーに上限は無いので、リス獣人を含めて氏子全員パーティーにした。
(万が一、タス村の住人が大戦に巻き込まれても、Lvが少しでも上がっていれば、安全だよね)
説明漏れしていたナビさんのは、1週間もふもふコスプレのツナギの刑にした。フードもかぶり、ケモ耳状態維持も条件に入れた。リアルドールだからいいが、夏にもふもふコスプレツナギは、生身の人間なら熱中症になっているだろう。
タス村は、大戦に向けて各種狛犬と住人のLvアップをしつつ、平和な生活を送っていた。
ある夜、スマホから警戒アラームが鳴った。
今までとは規模が違う、大きな荷台を引かせた馬車が連なった大商団が、タス村方面に向かってきた。
ノストラが動き出したに違いない。
さくらは、エスターさん、タマさん、シゲさんを起こして緊急会議を開いた。
「きっとノストラが大きく動いてきたってことだよね」
「裏でバジ王国に食料を流していたし、ピーナッツ火山の噴煙も収まっているから、奴さん達、焦ったんだろうなぁ」
「素通りさせるのかえ?妨害するのかえ?」
「さくら殿、バジ王国の戦力を削るには、妨害して、裏から流通させる食料を、こちらでコントロールした方がいいのではないか?」
「うーん…お腹すいている国民には罪はないんだよね…今通過する大商団が、ノストラだとしてもバジ王国の貧しい国民に食料が渡るなら、このまま素通りさせようかと思うんだけど、ダメかな?」
「相変わらず、さくらちゃんは、優しさが優先しちゃうんだなぁ」
「私は、さくら殿の決定に従う」
「それなら、素通りさせるのだえ」
さくらは、一時的に、タス村とヒク村までの街道をさくら神社の敷地から解除した。
これで、大商団は、ダメージ無く進んでいくことだろう。
しばらくして、大商団が通り過ぎた後、さくらは、タス村とヒク村までの街道をさくら神社の敷地に戻した。
ヒク村を通過するまで、大商団を率いるオスロは気が気ではなかった。今まで送り込んだ商団が誰も戻ってきていない事。タス村とヒク村を結ぶ街道に、今まで送り込んだ馬車の残骸が残っていたことから、深闇の森からモンスターが襲ってくるのではないかと思っていた。
タス村に向かおうと防衛都市カサスを出てすぐにワイバーンに襲われていた。防衛都市カサスの軍が直ぐに助けに入ってくれた為、被害は出ていないが、最近はモンスターの動きが活発になっている。
(何事も無く通過出来てよかった)
オスロの大商団は、無事にバジ王国に入ることに成功した。
その後、都市ギルを迂回し、王都バジにたどり着いた。
ゼフ王の行いに賛同出来ず商会ごと亡命を望んで来た事。
大量の食料を持参してきた事。
ピーナッツ火山の主のドラゴンの説得に成功し、火山活動が弱まっている事。
今まで食料を裏でバジ王国に流通させていた事。
などを伝え、バジ王に面会を申し込んだ。
バジ王の許可が出たようで、オスロと側近一名のみ王の間にて会うことを許された。
「我は国王のバジだ。そちが、食料を持って亡命してきた商人か?」
「はい。陛下にお会い出来て光栄です」
「この国で商いを認めよう。その代わり、食料の流通をしてもらう。我が国には願ってもいないことだ」
「陛下、ありがたきお言葉、このオスロ命に変えても食料を安定させてみましょう」
「うむ、期待しておる!」
「陛下、無礼を承知でお願いなのですが、成功を認めてもらえたら…軍部の末席にでも置いてもらえないでしょうか…」
「末席じゃと!この国の苦しい食料事情改善の立役者になった暁には、それなりの地位を用意しようじゃないか!」
「ありがたき幸せです。早速、国民のために働かせていただきます。」
「うむ」
そう言って、バジ国王は席を立った。
(ひとまず、バジ国王との約束は出来た。後は運んだ食料を配給して、追加物資を待てばいいだけだ。オリハルコンの流通を任されるまでになれば、この国を操れるだろう)
王都バジでは、すでに食料の配給が行われ、空腹に耐えていた国民が群がっていた。
「押すんじゃねぇ!これは俺のだ!」
「早く順番代わりなよ!わたしゃまだ何も受け取れていないよ!」
「やったぁ!やっと腹一杯食べれるぜ!」
「ゼフ王国は、こんなにも食料に余裕があるってのに、ずるいじゃねえか!不公平だ!」
食料の不満解消すると同時に、ゼフ王国への敵対心が国民に強くなっていった。
それを煽るように、
「俺たち商人は、立ち上がった!もうバジ王国を見捨ててなんかいられなかった!」
『おおぉ!』
「これからはオスロ商会が食料を安定供給するから、安心してくれ!」
『おおぉ!』
オスロの部下達もバジ王国民の心を掴んでいく。
【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り210日】
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次話は、バジ国王の策のお話です。