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春のさくら神社祭り 前編

今回の主要人物


【さくら神社】

さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。もふもふ同盟。主人公。

エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。もふもふ同盟。

ワシ(座敷童)ドラマ好きのおばあちゃん。

くー(コロボックル)兄妹の兄。

さー(コロボックル)兄妹の妹。最近はエスターに懐いている。

メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。

ケルン(人間)孤児院の生き残り。男の子。

フィル(人間)孤児院の生き残り。女の子。

ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。リス獣人達に崇められている存在。

 リス獣人達が移住してきてからは、さくら神社の朝の光景が一変した。

小学生が通学するかのように、可愛いリス獣人達が参拝し、賽銭箱脇に置かれたタブレットに指紋認証ログインし、おみくじを引くまでが、朝のルーティーンになっている。


 さくらは、居間で朝ごはんを食べながら、縁側越しに見えるリス獣人達の参拝姿に萌ていた。もちろん、エスターさんとメルツさんもである。


 もふもふ同盟では、理由のない場合は、リス獣人のお触り禁止を取り決めている。欲望のままセクハラはいけない。あくまでも鑑賞のみだ。一線を越えたら、愛玩用として取引している最低人間の仲間入りになってしまう。


 もふもふ同盟内では、リス獣人エリアの露天風呂に一緒に入るのはセーフかアウトかで検討していた。

同じ女性同士ならいいのではないか…

無闇に人間がリス獣人エリアに入らない方がいいのではないか…

などと。


 そもそも、なぜ露天風呂に入る話が出たかというと、ちーちゃんが堂々と入っていたからだ。リス獣人達に崇められていたちーちゃんなので、リス獣人達はウエルカムなのである。また、春の出産シーズンのため、生まれたばかりの赤ちゃんを、ちーちゃんに抱っこしてもらい、元気に育つように願っているようだ。


「次は、どの子を抱っこすればいいのだ?」

と、ちーちゃんも協力的に接していた。

(ちーちゃんばかりずるいよ〜 でも、お相撲さんに抱っこしてもらうのと同じ感覚なんだね)


 もう春も終わるんだなと、さくらは感じて…思い出した。

「さくら神社のお祭りの時期じゃない!」


 田植え前に、雨がほどよく降りますようにと祈願するお祭りの季節なのだ。タス村では、大戦でどうなるかわからないため、農業には着手していなかった。それと、お祭りは別である。娯楽は必要だ。


「この世界にもお祭りは有るが、食べ物の出店が出るだけだ。さくら殿の世界の祭りはどんなものなのだ?」

「浴衣っていう服を着て、屋台で食べ歩きしたり、水風船釣りや金魚すくいをしたり、花火を見たりするんだよ!」

エスターさんの質問に答えたさくらだが、水風船釣りや金魚すくい、ましてや花火など初めて聞く言葉だった。


「ボク、お祭り初めてだ…いつも遠くで見ているだけだったから」

ケルン君が辛い過去をさらりと言って空気を凍らせた。


「人間の住人が少ないから、屋台の係りの人は大変だよね…水風船釣りと金魚すくい、暗くなってから花火大会にしよう!タマさんいいよね?」

「久しぶりのお祭りは楽しみぞえ」

(島民が居なくなってからは、何年もお祭りしていなかったもんね)


 さくらは、SNSの【緑】を使って、「明日の夕方から、さくら神社祭りというレクレーションを行います。浴衣という着物を着てもらうので、お昼を食べた方から、さくら神社まで集まって下さい」とリス獣人以外に流した。


 次に、さくらは【神社アプリ】内の【施設設置、撤去】を使って、岩山とそこから流れ落ちる滝を作った。滝から流れた水が水路を流れ手水舎に入り、そこから石階段の脇を通り、さくら神社の敷地を囲うように茂らせた竹林の内側に沿って水路にし、最後はタス村居住地脇に大きな池に大きな池を作り流れ込むようにした。


 川エビ100匹を【スグクル】で取り寄せし、タス村居住地区に作った池に水合わせをせずに放流した。これだけでは、川エビも死んでしまう。


 さくらはくーちゃんを呼んで、タス村近くにある川の源流に連れて行ってもらい、川藻を採取した。タス村に戻り、池に藻を入れ、くーちゃんの能力で池の1/20くらい底に並ぶよう増やしてもらった。


 藻が光合成をして、二酸化炭素を酸素に変え、エビがツムツムして藻を食べたり、切れた藻が池の中で付着してそこで新たに育ち、エビの排泄物が藻の養分になる。小さな自然サイクルの完成である。


 これで、金魚すくいをした金魚の放流場所は出来た。


 さくらは【スグクル】で子供用の丸いプールを4つ取り寄せた。水風船釣りと金魚すくい用に半分づつ使う予定だ。

(先ずはシミュレーションしないとね)


縁側では、くーちゃん、さーちゃん、ちーちゃん、ケルン君、フィルちゃんが、何が始まるのかワクワクしながら見ている。


 さくらは子供用プールに空気を入れ、水を入れた。そして取り寄せした水風船セット100個入りから、専用ポンプを使って20個水風船を作りゴムヒモを繋げた。水を多く入れた水風船、水を余り入れなかった水風船などランダムに作った。そして、紙のこよりでつながった針をワクテカしているみんなに一つづつ渡し、

「水の少ない水風船を狙って、紙が水に浸からないように針に引っ掛けて持ち上げるんだよ!」とやり方を教えた。


「ボク、取れた!」

「さくら!紙が切れた!次の針ちょうだい!」

「私も…ダメだった…」

「さくら!私は取れたよ!」

「アタイの紙、弱っちいのだ」


一回で水風船を釣れて喜んだり、のめり込んで次の針を要求したり、諦めたり、愚痴を言ったりと様々だが、楽しんでるようだ。


 次は金魚を20匹と出目金を5匹入れ、金魚をすくうポイとすくった金魚を入れる椀を渡した。

「そーっと金魚の進行方向に合わせてポイを余り濡らさないように、すって救うんだよ!目の大きい太っている出目金は、ボスキャラだからね!」


 金魚すくいは、なかなか成功できる者は出てこなかった。

(そろそろ私がお手本を…)


 さくらの出番を無くすように、おばあちゃんが

「懐かしいことしているのぉ。おばあちゃんにもポイを一つおくれ」

と言って手本を見せた。


 ホイの縁も使ったテクニックなども見せて、金魚どころか出目金まで、一つのポイで全てすくった。

「わらわにかかればこんなもんぞえ」

1匹もすくえなかった者達は、おばあちゃんをキラキラした目で見ていた。

(金魚すくいも、楽しんでもらえそうだね)


 水風船釣りと金魚すくいのシミュレーションは出来た。後は明日を待つだけだ。

練習に使った金魚と出目金から各自1匹づつ選びお椀に入れ、手水舎の先から一斉に放流し、誰の金魚や出目金が一番最初に池までたどり着くか争った。さーちゃんの金魚が一位になった。注目されてれているけど、嬉しそうだった。


 その後、タマの料理教室が終わった人達が、テストプレイできなかったことを悔しがっていた。

初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。

タイムリミットある中、異世界でのさくらの活躍を応援してください!


さくらの活躍を応援していただける方は、ぜひブックマーク、評価(下部の☆☆☆☆☆)にて、後押しお願いします。

その応援がはげみになります。


次話は、さくら神社のお祭りの続きのお話です。

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