リス獣人達の受け入れ
今回の主要人物
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。もふもふ同盟。主人公。
エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。もふもふ同盟。
タマ(九尾の狐)武術に長け、料理上手。
シゲ(ぬらりひょん)さくら神社の参謀。
ナビ(AI)3D化に成功した神社システムのヘルプ担当。
しろ(龍神)治療能力がある。
メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。もふもふ同盟。
ケルン(人間)孤児院の生き残り。男の子。
フィル(人間)孤児院の生き残り。女の子。
ちー(マインドラゴン)元ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。普段は人代、犬化をしている。
【リス獣人】
イスト(リス獣人)代表。
エリ(リス獣人)副代表。
移住にあたり、リス獣人側からは、代表のイストさん、副代表リエさん、さくら神社からは、さくら、エスターさん、タマさん、シゲさん、タス村からは、ラウロさんが参加して、ルールを決めた。
一部愛玩用としてゼフ王国に流通しているリス獣人。エスターさんも見るのが初めてで、一部の金持ち貴族が所有しているとの事だった。
イストさんからの種族の説明では、寿命も長くて10年。女性しかおらず、年頃になると春と秋に妊娠し、子供を2〜5人出産する単為生殖(女性の体内に自然に子供が宿る)の種族。肉球のついた足なので靴は基本はかない。争い事は好まず、好奇心は強いとの事だった。食べ物も、果物や木の実がいいと言われた。
さくらの見た感じでは、成人のイストさんでも、さくらの腰程度しか身長がなく、小学生低学年の子供に大きな尻尾と身体中もふもふした毛に覆われていて服は着ておらず、顔だけ毛は無いが長い髭がぴょんって左右に付いている。手足の爪は出し入れ可能みたいだ。
さくらはイストさんに聞いた。
「ゼフ王国に愛玩目的で連れ去られた同族は助け出したい?」
「それは…感情としては助け出してあげたいのですが、ピーナッツ火山の主様への生贄として差し出した家族が、ゼフ王国で愛玩用に売買されていたと知ったら、人間を怨み、このゼフ王国の村に移住は反対されます。ピーナッツ火山の主様から、今までの生贄のおかげでこの村に移住する事が出来たとしていただいた方がよろしいかと思います」
(イストさん、クールすぎるよ。でも真実を知らない方が幸せってこともあるもんね)
「住むのは家族ごとの家がいいかな?」
「大きな木が茂る森が有れば、私達で住処は作れます。場所だけ提供していただけるとありがたいです」
「いつでも利用可能な温泉と水風呂なんて居住エリアに有ると喜んでもらえる?」
「それは嬉しいです!」
「トイレも公衆トイレを何箇所か作って、そこでしてもらってもいいかな?」
「はい!」
「この村の住人として、さくら神社の氏子として登録してもいいかな?制限としては、毎朝さくら神社に参拝してもらうだけなんだけど…」
「大丈夫です!」
「【神社ディフェンス】という安全なモンスター退治をしているんだけど、参加してもらえるかな?」
「争い事は出来るだけ避けたいのですが…」
「うん、わかった!リス獣人さん達は【神社ディフェンス】不参加で大丈夫だよ!」
「さくら領主様ありがとうございます」
(無理は良くないもんね)
「食料は、果物と木の実をタス村として提供するね」
「さくら領主様、ありがとうございます」
「食料の配布は、タス村の女性達の仕事としてお願いしてもいいかな?」
「わかりました」
とラウロさんが了承してくれた。
「シゲさん、タマさん、他に決めることはあるかな?」
「特にはねぇなぁ。困ったことが出てきたら追加すればいいんじゃねぇか?」
「わらわも無いぞえ」
「エスターさんは、どう?」
「今後もゼフ王国の視察が来ると思われる。街道から出来るだけ離れたさくら神社の裏手に居住エリアとしてもらうのはどうだろう」
「それは大事なことだね!愛玩用に連れ去られないためにも!」
さくらはスマホをポチポチし、【神社アプリ】内の【施設設置、撤去】から、さくら神社の裏手に大きな木を多く植え、芝生スペース、公衆トイレを数カ所、食料提供の小屋、露天の温泉と水風呂を設置した。
さくらとエスターさんが先導し、イストさんとリエさんをさくら神社裏手のリス獣人の居住エリアを案内した。竹林内であれば、モンスターが入ってこないことも説明した。
「さくら領主様…ここまで用意していただけるなんて…感謝の言葉だけじゃ足りません…」
とイストさんもリエさんも感激してくれた。
(排泄による神社ポイントの獲得、氏子人数の大幅増加、もふもふの目の保養。戦力では無いけれど、短い寿命を楽しんで過ごしてもらえたらいいな)
怪我をしている獣人の手当ても終わり、すっかり元気になってくれた。
(しろさん、ありがとう)
タマさんとラウロさん達タス村の女性達が、りんごやバナナの果物、くるみやどんぐりなどの木の実を配布している。
(頬袋に溜めるのかな…)
もふもふ好きが多いタス村の住人にはたまらない世界である。
【マップ】アプリを見て、タス村周囲には誰も居ない事を確認したさくらは、移住して来た獣人全員とエスターさん、タマさん、ちーちゃん、ナビさんを連れてタス村前の草原に移動した。村の外に見えるが、さくら神社の敷地としてある。
ちーちゃんには、ピーナッツ火山の主様らしく、ドラゴンの姿になってもらっている。
進行役のナビさんが、
「これから、皆さんの移住説明会を行います。先ずは領主のさくらさんです」
「怪我をされた皆さん、大変でしたね。怪我の痛みはありませんか?このタス村の領主をしているさくらと言います。タス村として、皆さんを歓迎します!これから、よろしくね!この村で禁止しているのは人間を殺さないでしたが、今回のリス獣人の受け入れに伴い、リス獣人を殺さない、本人の希望無くタス村以外に移住させないことにします。(はっきりとは言えないリス獣人売買禁止策として)私なんかより、ピーナッツ火山の主様に話していただくのがいいですよね」
大勢の前で、慣れないスピーチにさくらは、すぐにちーちゃんへバトンを渡した。
さらにちーちゃんはスピーチに慣れているはずがない。なにせ少し前までは誰とも接することなく一人ぼっちだったのだから…
「アタイは、ピーナッツ火山の主だった。今はそこに居るさくら領主の眷属なのだ。今まで生贄を差し出してくれて感謝している。その代わりとなるが、さくら領主に願いを届けた。アタイが、この村で安全に暮らせる事を約束するのだ!」
ちょっと声が緊張して上ずっていたが、ちーちゃんは、必要な事は全て言えた。
緊張していたリス獣人達も歓声を上げて喜んでいた。
「初めてピーナッツ火山の主様から、直々に言葉を頂けた!」
「もうワイバーンに恐れて生活しなくていいんだ!」
(うん、これからは、安全に自由な生活できるように、私も頑張るよ)
ナビさんから、氏子について話をしてもらい、さくら神社の石階段の登り口で、氏子登録をしてもらう事を説明した。すでに、氏子申請権限を付与したケルン君とフィルちゃんがスマホを持って待っているはずだ。
ちーちゃんは人化してタス村に入ると、それに連なって、リス獣人達もついて行く。
さくらとナビさんも続いて、さくら神社の石階段前に行くと、エスターさんとメルツさんが率先して列の誘導をしていた。
(もふもふ同盟恐るべし…一線を超えない為のルールが必要だね)
氏子登録し、さくら神社の裏手に進むと、リス獣人達は、駆けずり回り、温泉や水風呂に飛び込み、大きな木に登ったりとはしゃいだ。さくらは喜んでもらえて嬉しかった。
さくらにナビさんが近寄ってきて、
「神社Lvを一気にLv19まで上げることが出来ますが、さくらさんどうしますか?」
「もちろん、Lv19に上げちゃって!」
「わかりました」
【さくらが大戦に巻き込まれるまで、まで残り240日】
初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。
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次話は、オーサム大将のお話です。