獣人村からの助けを求める声
今回の主要人物
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。主人公。
エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。さーちゃんに懐かれている。
くー(コロボックル)兄妹の兄。
さー(コロボックル)兄妹の妹。
シゲ(ぬらりひょん)元漁師。【スグクル】創設者。
ナビ(AI)スマホからさくら神社をサポートする。
しろ(龍神)治療能力がある。
ちー(マインドラゴン)ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。
人間に危害を与えないよう普段は人代、犬化をしている。
【獣人】
イスト(獣人)初登場。
エリ(獣人)初登場。
ゼフ王国の視察団が帰ってから、1週間ほど経過していた。
日中のカルチャースクール的な、ナビ先生の勉強コース、タマ先生の料理コース、共に好評のようである。
エスターさんとケルン君は、タマさんに武術の稽古をつけてもらい、おばあちゃんはDVD三昧、シゲさんとくーちゃんは色々と偵察やパトロールをしていた。
さくら神社の境内に平い大きな岩を設置し、犬モードのちーちゃんを座らせて、さくらとさーちゃんとで戯れていた。時々、平い岩から鉱石が盛り上がって出てくるのである。その鉱石を見たエスターさんは、
「こんなに上質なオリハルコンは見たことがない…」
と言っていたので、暇な時は3人で日向ぼっこしながら、紙風船で遊んでいた。
そんな時、草むらから、くーちゃんが出てきて、
「さくら!ピーナッツ火山のふもとにある、もふもふした尻尾のある人達の村が、小型のドラゴンに襲われて大変そうだよ!ピーナッツ火山の主様に助けを求めていたよ!どうする?」
と助言を求めてきた。
ピーナッツ火山と言えば、ちーちゃんの住んでいた所だ。
ちーちゃんは、きょとんとしている。
「ちーちゃん、もふもふした尻尾のある人達の村って知ってるの?」
「ご主人様、アタイ知らないよ!」
(ちーちゃんは、本当に知らないみたいだね)
「でも、ちーちゃんに助けを求めてるみたいだから、助けに行ってあげてくれる?」
「アタイは、ご主人様の命令は従うのだ!ちょちょいと終わらせてくるのだ!くーちゃん連れてって欲しいのだ!」
「ちーさん!いいよ!」
と言って、ちーちゃんは人化して、くーちゃんにまたがって草むらに消えていった。
(もふもふした尻尾って、獣人って種族なんだろうね…タマさんみたいなもふもふ尻尾なのかな…)
さくらは、さーちゃんと紙風船で遊んでいると、しばらくして、ちーちゃんとくーちゃんが戻ってきた。
「ちーちゃん、やっぱり知らない人達だった?」
「うん、知らない人達だったけど、アタイとの約束が違うって怒られちゃったのだ…でも、ワイバーンは追い払ってきたぞ!」
「ちーちゃん怪我しなかった?」
「アタイは強いから平気なのだ!元の姿に戻って、追い払ってやったのだ!でもリスみたいな人達は怪我してたぞ!」
(リスの獣人なんだ!ほっぺに食べ物入れて膨らむのかな…)
「怪我してるって心配だね…他に何か言ってたりしなかった?」
「さくらの眷属になって、ピーナッツ火山には住んでいないと言ったら、困っていたみたいだったぞ!」
「困っているのか…ちーちゃん、もう一回その村に行って、代表の人を連れて来てもらえるかな?」
「アタイに任せて欲しいのだ!くーちゃん頼むのだ!」
そう言って、二人は草むらに消えた。
さくらは、【緑】アプリを使って、シゲさんに戻って欲しい旨をチャットで伝えたら…背後で【緑】アプリの着信音がした。シゲさんは、居間でやりとりを見ていたようだ。
ちーちゃんに乗ったくーちゃんの左右に、手を繋いだリスの獣人が来てくれた。
「突然呼び出してしまってごめんなさい。ここはタス村で、私は領主のさくらと言います。」
「タス村の住人のシゲって言う者だ」
「ピーナッツ火山のふもとに隠れ住んでいる部族の代表をしているイストだ」
「同じく副代表をしているエリだ」
(ちょっと二人とも怒り気味?)
くーちゃんとちーちゃんは、さーちゃんのそばに行ってこっちを見ている。
「ピーナッツ火山の主と、約束が違うって、どう言うことなんだい?」
シゲさんが質問した。
「ピーナッツ火山の主から、月に一度生贄を捧げないと、安全を保障しないと、使者から要求され…毎月5名捧げてます」
「ちーちゃん、そんな悪いことしてたの!」
「アタイは、何も知らないのだ!生贄なんて要求もしてないし、アタイからの使者って誰なのだ?アタイは一人寂しく火口で生活してただけだぞ?」
(話が矛盾してる…)
「憶測だが、その使者って言うのが、獣人をうまく連れ去る口実に、ちー様を利用したんだろう。以前、エスターさんが獣人が愛玩用としている事を言っていたじゃねぇか、ゼフ王国に流通させてる組織がいるんだろうなぁ」
「そんな!!それじゃ生贄を捧げてた私達は…」
「使者ってぇ奴らに騙されていたんだろうな…いつ頃から要求されてたんだい?」
「一年ほど前から…」
シゲさんと代表のイストさんの会話は続く。
「代表も副代表も女性だが、お前さん達の種族は女性が立場が上なのかい?」
「我々種族は女性だけだ。年頃になると春と秋に妊娠し、一斉に子供を2〜5人産む。ただ我々は弱いし、寿命も6-10年と短い」
「なるほどなぁ…ちーさんは、このままタス村に住むのかい?ピーナッツ火山に戻るのかい?」
「アタイはご主人様の側から離れないよ!もう美味しくないワイバーンなんか食べないもん!」
(タマさんの料理の味知っちゃったもんね)
「ピーナッツ火山の主様は、戻らねぇと言っているが、お前さん達は生きていけるのかい?」
「ピーナッツ火山の主様、生贄を増やしてもいいので、どうかお戻りいただけないでしょうか」
「アタイはタマさんの料理がいいんだ!生贄なんて一度ももらってもいないし、いらないぞ!」
「そんな…」
代表のイストさんと副代表のエリさんは、絶望的な状況に落胆する。
(愛玩用って言っていたけど、皆んな可愛い種族なんだろうね…イストさんもエリさんも可愛いし…)
さくらは聞いた。
「いつ頃からワイバーンは増えたのですか?」
「ここ2、3日だ」
「ちーちゃん、ワイバーンを今まで1日に何匹ほど食べてたの?」
「アタイは、うーん…50匹くらい?」
「きっと、ワイバーンを駆除していた、ちーちゃんが居なくなって、ワイバーンの数が減らなくなり、食料を求めてふもとまで来たんだろうね。これからもっと増えちゃうかもね」
「そんな…」
代表のイストさんと副代表のエリさんは、顔色も青ざめて来ている。
「イストさん、今いるピーナッツ火山のふもとは大切な場所?それとも、私達に危害を加えない、人間を殺さないと約束出来るなら、このタス村に移住する?」
「我々は、弱い種族で人間に危害など加えることなど出来ない。それより…私達を騙して、売り捌くつもりなのだろ…」
「売り捌かないよ!一緒に生活してもらうけど、タス村以外の人には目につかない場所と衣食住は提供するよ。ちーちゃんが居る村なら安心できるでしょ?」
「ピーナッツ火山の主様、信じてもいいのですか?」
「ご主人様は優しいのだ!アタイが約束するから一緒に暮らすのだ!」
「信仰するピーナッツ火山の主様の進言とあれば、断る理由なんてありません。さくら領主様よろしくお願いします。」
232人の獣人がタス村に移住して来た。
怪我人は、ご利益のある水としろさんの治療によって手当された。
(愛玩用って言われるだけ有って、皆んな可愛い…)
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次話は、リスの獣人のタス村移住のお話です。