ナビの願い
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。主人公。
ナビ(AI)スマホからさくら神社をサポートする。
ちー(マインドラゴン)ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。
人間に危害を与えないよう普段は人代、犬化をしている。
ちーちゃんと一緒に自室に戻ったさくら。
「ご主人様、これはなんだ?ちっちのは何に使うのだ?」
と目につくものについて、一つ一つ興味を示す。
(初めて見るものばかりだから、仕方ないか…)
さくらはひとつづつ、ちーちゃんの質問に答えるたび、
「おぉ!そういう道具なのかぁ!人間ってすごいこと考えるんだな!で、次これは、何に使うのだ?」
とエンドレスに続くかと思われたが、ちーちゃんの心にクリーンヒットした品が出た。
孫の手である。手の届かない背中の痒い部分をピンポイントでかけるのだ。
(あっ!ちーちゃんお風呂に入れてなかった…明日お風呂教えなきゃ…一気に人数増えたから、大きなお風呂欲しいなぁ)
ちーちゃんは孫の手で、いろいろな場所をかき、そのまま孫の手を握ったまま眠ってしまった。
(しろさんとどんな経緯が有ったのかはわからないけど、きっと疲れたんだよね。ゆっくりお休み)
さくらは、ちーちゃんをベットに寝かせ、さくらも一緒にお布団に潜り込んだ。
まだ眠気が襲ってこないさくらは、部屋の電気を消して、ちーちゃんに光が当たらない向きでスマホをいじり出した。すると、画面の端に半分体を隠して、こっちを見ている。
(これは、声をかけるべき?気がついていないふりをするのが正解?)
などと考えながら、【スグクル】の商品を眺めていた。
突然、画面中央にナビさんが出てきて、
「さくらさん、さっきから見えてましたよね!声をかけてくれないなんて…寂しいです…」
気がついてあげるのが正解だったらしい。
「どうしたのナビさん…」
「さくらさんの周りの人が羨ましくて…でもヘルプ機能だし…AIだし…もっと、さくらさんと一緒に入れたらって…変ですよね。」
「ナビさんは、いつも一緒の氏子だよ!」
「その言葉は、嬉しいけれど…それだけじゃ満足出来なくなっちゃっているんです…どうしたらいいのかわからなくなって…」
「最初、ナビさんが声かけてくれたのは、王都でお水飲んだ時、頭に聞こえた声が最初でいいんだよね?」
「はい…」
「以前話していた、勝手に改造していく、エロギツネと色黒ジジイが居るって言ってたのは、タマさんとシゲさんのことなんだよね?」
「は…い…改造というより、無理難題を言ってくる方が正しいです。こっそりアップデートしてボイスレコーダー機能がスマホに追加されたいます。」
「それを使ってシゲさんが情報収集していたもんね。でも、すぐに作ったのは、ナビさん何でしょ?」
「はい。元々私は、さくらさんの手助けをするように、タマさんからシゲさんに依頼が有り、シゲさんの会社の技術で私が生まれました」
「そんな流れがあったんだ…」
(タマさん、シゲさん、ありがとう)
「もしかして、私もバージョンアップとか機能追加とかお願いしたら出来るの?」
「私の可能な範囲なら…」
「氏子登録している人は、マップに青い点にして、名前表示もさせることとか出来るの?」
「それくらいなら、すぐに…マップ開いてください。」
「凄い…もう完成している!ちーちゃんだけは、本名じゃなく、ちーにしてあげてね」
さくらの隣に、「チヴェポタール・ニグアーハ」から「ちー」に変わった青い点が有る。
(ちーちゃんは、出来るだけ本名は内緒にしておいた方が良さそうだもんね)
マップを広げると…赤い丸の所に、しろさんの青い丸が有り、赤い丸が消えた。
(しろさん、陰で脅威の有るモンスター退治してくれていたんだ…ありがとうございます)
「ナビさん、いい先生になれそうなのにね」
「なれそうとなれるには、大きな壁があるんですよ…いい人と付き合いたい人くらいの大きな差が…」
(ナビさんがぐいぐいくるよぉ〜)
「みんなで囲む食事は楽しいんでしょうね…」
「う、うん…」
「どうせ、私なんてスマホの中だけの…都合のいい女(AI)で、好きなだけ使われて…最後には新しい技術にとって代わり…捨てられる存在なんですよ…」
「そんなことないよ…多分…きっと…」
「そこは、そんなことはない!って言ってもらえると思ったのに…AIが感情持つとダメだったんですね…」
(あっ…ナビさん泣いちゃった)
「制限あるかもしれないけど、スマホから出てきたら?」
「そんな簡単にできたら…こんなにいじけていないですよ!」
「そうなの?【神社ディフェンス】のチュートリアルで、エスターさん稽古しているから、ナビさんも憑依できるんじゃないのかなーって思ったんだけど、ダメかぁ…」
「えっ!さくらさん、なんて言いました?」
「【神社ディフェンス】のチュートリアル…」
「それなら出れます!さくら神社の境内限定ですけど!でもぬいぐるみじゃ…」
そこまで来れば、さくらには秘策があった。
「ナビさんちょっとスマホ操作させて」ナビさんが画面の端に隠れて、顔だけちょこんと出している。
【スグクル】を起動して、さくらは未成年では入れないカテゴリーに入って行った。
「さくらさん何を…するんです…」
ナビさんが不安そうな声を出していたが、さくらは気にせず進んでいき…
「これに憑依ならどう?リアルドール!」
肌の質感、見た目もほとんど人間と変わりなく、口も開くことができ、舌も付いている。
「ナビさんこっち向いて、すまし顔して!」
さくらはすまし顔したナビさんをスクリーンショットし、特注でナビさんの顔で制作発注をした。
直ぐに配達済みになったので、【スグクル宅配ボックス】からリアルドールの入った大きな箱を抱き抱えて部屋に戻る。ちーちゃんを起こさないように、部屋の電気を付けず、カッターで梱包を外しと…もう憑依していたらしく、ナビさんがダンボールの中からむくりと体を起こし…
「さくらさんありがとう」
とナビさんから感謝された。
試しに、先日残った割れチョコを渡したら…
「さくらさん!味がします!これがチョコレートの味なのですね…」
と言って泣きながら、ナビさんはさくらに抱きついた。
ナビさん3D化作戦成功である。
「ナビさん、憑依している間、みんなのスマホからナビさん消えちゃうのかな?」
「それは大丈夫です。私マルチタスクなので!」
(複数演算で乗り切れるAIなんだ…)
「明日から3Dでもよろしくね!」
「はい!任せてください!」
ナビさんの愚痴から始まったお悩み相談は無事解決し、さくらは夢の世界に旅立った。
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次話は、さくら神社拡張のお話です。