歓迎会
【さくら神社】
さくら(人間)異世界へ転生者した女の子。タス村の領主兼さくら神社神主。主人公。
エスター(人間)孤児院出身の元ゼフ王国大将。さーちゃんに懐かれている。
タマさん(九尾の狐)武術に長け、料理上手。
くーちゃん(コロボックル)兄妹の兄。
さーちゃん(コロボックル)兄妹の妹。
メルツ(人間)孤児院の生き残り。エスターの親友。
ケルン(人間)孤児院の生き残り。男の子。
フィル(人間)孤児院の生き残り。女の子。
ちーちゃん(マインドラゴン)ピーナッツ火山の主。さくらの眷属。
人間に危害を与えないよう普段は人代、犬化をしている。
台所で夕食準備に取り掛かる、タマさん、さくら、メルツさん。
「メルツさん…お手伝いは嬉しいけど、まだ休んでてもいいんだよ?」
とさくらは言ったのだが、
「お昼ご飯の美味しさにびっくりしたので、調理を見せて下さい。あまりお手伝いはできないですが、野菜を切ったり、皮を剥くくらいなら出来ます」と言ってお手伝いする気でいっぱいだ。
「あまり無理しないでね、疲れたら休んでね」
との言葉に、
「はい、倒れたら、さくら領主様に、ご迷惑かけてしまうので、そうさせていただきます」
とメルツさんは納得してくれた。
(エスターさんとメルツさんは同じ歳って言っていたから、メルツさんの方がお姉さんなのに…さくらって言っていいと思うんだけどなぁ)
「タマさん、夕食は何にするの?」
「メインは、チーズインハンバーグにするぞえ!目玉焼きを乗せて、ビーフシチューをかけて、じゃがいもとニンジンとブロッコリーの温野菜を添えるぞえ!あとは、オニオンスープと生野菜サラダ、主食はバターロールパンにするぞえ!」
「今から人数分作るの大変だよぉ〜」
「チーズインハンバーグ、ビーフシチュー、バターロールパンはお取り寄せして温めるだけにするぞえ!作るのは、生野菜サラダ、目玉焼き、温野菜、オニオンスープにするぞえ!」
「それなら簡単だね!お取り寄せと食材調達してくる!」
と言って、買い物カゴを肘に掛けて、スマホをポチポチしながら、さくらは住居玄関脇の【スグクル宅配ボックス】に向かった。
(しろさんは一緒に食べなそうだから、くーちゃんとちーちゃんを含めて11名でしょ…この世界の人は珍しいからハンバーグは2個食べそうだよね…ちーちゃんはどれだけ食べるんだろう…よし!チーズインハンバーグは16個、ビーフシチューは11個にしよう!バターロールパンは24個入りを3袋あればいいかな…)
「タマさーん!持ってきたよ!大きいラザニアも2つ買っちゃった♪チーズインハンバーグは少し余分に用意したよ!」
さくらはラザニアが好きなのだ。また食べれるとは思っていなかったのだろう。
「ラザニアも久しぶりぞえ!ラザニアはオーブンに、ハンバーグとビーフシチューのレトルトは人数分入れるぞえ」
「はーい」
さくらは、沸騰した大鍋にレトルトを入れていく。
「さくら領主様、今入れてるのは何です?」
メルツさんが不思議そうに聞いてきた。
「もう調理済みの料理がこの中に入っているの。お湯で温めて、食器に盛り付けるだけなんだよ!便利でしょ」
「魔法みたいですね」
「この世界の人には、そう見えちゃうのかもね。」
人数分のレトルトを沸騰した大鍋に入れ、ラザニアをオーブンにセットした。
タマさんのがオニオンスープを作っているようなので…さくらは、ピーラーをメルツさんに渡し二人で、にんじんとじゃがいもの皮を剥いていく。
「さくら領主様、この調理道具便利ですね。あっという間に皮が剥けて、ナイフで剥くのと段違いです!」
「うんうん、私もピーラーを発明した人は凄いと思うよぉ」
タマさんは、切り終わった玉ねぎを焦がさないように格闘している。
さくらは、ブロッコリーも切り終わり…にんじん、じゃがいも、ブロッコリーは蒸し器にかけた。
いつの間にか、台所に来ていたおばあちゃんは、バターロールパンをさっと電子レンジで温めてバスケットに入れて行っていた。
「タマさーん!目玉焼き変更して、温泉卵にしちゃってもいい?」
「さくらに任せるぞえ」
さくらの代替え提案に、玉ねぎと格闘中のタマさんが許可を出した。
(最近の炊飯器は温泉卵もスイッチひとつでできちゃうんだもん。便利だよね)
メルツさんと一緒に卵を炊飯器に入れてスイッチを入れる。
最後にレタスをちぎり、プチトマトを乗せ、コーンとツナの缶詰を開けて、シザーサラダのドレッシングをかけてサラダも完成!
出来上がり時間を合わせて、器に盛り付けて居間に持って行く。
シゲさんだろう、座卓がもう一つ用意してあった。
(今日1日で四人も氏子が増えたもんね♪賑やかだった頃の島みたいになって行くと嬉しいな…)
今日の歓迎会のメニューは、
・チーズインハンバーグ、ビーフシチューと温泉卵乗せ。
付け合わせにじゃがいも、ニンジンブロッコリーの温野菜。
・ラザニア
・レタスとツナとコーンのシーザーサラダ。
・オニオンスープ
・バターロールパン
・デザートに壺焼きプリン(今度は出し忘れない!)
(子供が好きそうなメニューだね!オレンジジュースとケチャップライスとナポリタンが有ればお子様ランチだよ)
ヨダレを垂らして、ちーちゃんが、
「人間は、いつもこんな美味しそうな物を食べていたのだな…ずるいのだ…アタイなんて、ワイバーンやサラマンダーを、そのままかぶりつくだけだったのだぞ。腹は膨れても、美味しくないんだぞ、あいつら…」
とドラゴンの悲しい食事事情を告白した。
「私達だって、パンとスープが多かったけど、こんないい匂いするの初めて!でも白いブヨブヨした物が乗ってる黒いのは…焦がしちゃったの?」
とフィルちゃんが心配そうにチーズインハンバーグのビーフシチュー温泉卵乗せを見ている。
「焦がしちゃったけど、勿体無いから…フィルちゃん食べてくれるかな?」
とさくらがいたずらで言うと
「うん!平気!メルツお姉ちゃんも、よく焦がすもん!」
と、フィルちゃんが悪意なくメルツさんの心をえぐった。
(メルツさん、恥ずかしそうに、顔真っ赤だ…後でフィルちゃん叱られちゃうね)
「さぁ、みんなで食べましょう!ちーちゃんは、ナイフやスプーン使える?」
「アタイだって使えるぞ!人間とご飯食べる練習いっぱいしてたんだぞ!」
(ちーちゃんは人間好きだけど、危害が出ないように、自分から距離を取ってた優しいドラゴンなんだもんね、もしかしたら、こんな場面を夢見ていたのかな…)
「ちーちゃん、ご飯の前に儀式あるから、私を真似してね」
「ご主人様、真似するのだ!」
さくらは手を合わせて
「いただきまーす!」
と合図し、全員の声が合わさり
『いただきまーす』となった。
膝に乗ってるくーちゃんにバターロールをちぎって、ビーフシチューをしみこませて渡した。
エスターさんも真似して、さーちゃんに渡してる。
「さくら殿、この柔らかい食べ物はなんと言うのだ?」
と聞いてきたので、
「パンだよ」
って返した。
くーちゃんとさーちゃんも食べながら、頷いている。
「これはパンなのか?硬くないじゃないか!」
エスターさんは、さーちゃんにちぎった残りのパンを食べ、
「柔らかい…幸せな匂いが鼻から抜ける…」
と言って、バターロールパンだけで心を持っていかれちゃったようだ。
ケルン君が、
「焦げてないよ!すっごく美味しい!こんなホロホロするお肉初めて!」と興奮している。
(ホロホロしたお肉はハンバーグの方なのだろうか…ビーフシチューの方のお肉なのだろうか…
メルツさんは、
「このスープ…甘くて美味しい…あったまる」
と涙を流している。
「メルツ、オニオンスープは、まだまだおかわりできるぞえ」
とタマさんは、自分が作った料理に涙を流して感激している姿に、ニコニコしながら声をかけた。
「ちーちゃんも、遠慮しないで、いっぱい食べてね!」
「ご主人様の命令だから、いっぱい食べるのだ!アタイは一人じゃないご飯は…初めてなのだ…」
とちーちゃんも涙を流して、フォークにハンバーグを突き刺し、ほっぺにビーフシチューを付けてかぶりついている。」
「これからは、毎日一緒にご飯食べれるよ。あと…ハンバーグは5個余分にあるから、おかわりしたい人は言ってね!」
さくらの言葉に、ちーちゃん、ケルン君、フィルちゃんは、ハンバーグ攻略に戦略を変えた。
今回は、デザートの壺焼きプリンまで完食した。
「どうだった?異世界の食べ物は、驚きの連続だっただろう」
とエスターさんが、メルツさん、ケルン君、フィルちゃんに言っていた。
「ちーちゃんは、どうだった?ワイバーンやサラマンダーより美味しかった?」
「アタイ、こんなに色々な味のするのを食べたのは初めてなのだ!今日は初めてばかりなのだ!」
「喜んでもらえて良かった」
さくらもちーちゃんが喜んでくれて嬉しかった。
「あっ!歓迎会なのに挨拶しなかった!みんな、これからよろしくね!」
皆んな、さくらを見て、笑顔になっている。
(こんな平和な日々だけならいいのになぁ)
初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。
タイムリミットある中、異世界でのさくらの活躍を応援してください!
さくらの活躍を応援していただける方は、ぜひブックマーク、評価(下部の☆☆☆☆☆)にて、後押しお願いします。
その応援がはげみになります。
次話は、2回目の神社ディフェンスのお話です。