お留守番組の台所戦争
さくらが台所に行くと、タマさんが研いだお米を、5合炊きの炊飯器に早炊きモードでセットされた所だった。
「ご飯は一升は必要ぞえ!さくら、同じ炊飯器持って来るだえ」
「うん!」
さくら神社には炊飯器は一つしか無い。さくらはスマホを取り出し、【スグクル】で同じ炊飯器を取り寄せ、直ぐに使える様に準備する。その間に、タマさんは、もう5合のお米を研いでいた。
「今回はスピード勝負ぞえ!お腹を空かせた孤児たちが来る前に完成させるぞえ」
「うん!」
(孤児院から大人一名、小学生高学年がニ名ってシゲさんから聞いていたから、そこに、さくら神社の大人五人。10合で丁度良さそう)
「極度の空腹なら、お粥から慣らしていかなくていいの?」
(少しさくらは心配した)
「龍神様のご利益のある水を飲んで戻って来るなら、普通の食事で大丈夫ぞえ。料理の水も全て龍神様のご利益の水ぞえ」
(そっかぁ、龍神様のご利益の水で保護されるから、お腹びっくりしないよね…多分…)
手水舎だけでなく、さくら神社の水道の蛇口から出る水は全て龍神様のご利益がある水が出る。
お風呂ですら、龍神様のご利益の水で沸かしている。贅沢な環境なのだ。
さくらが台所に来る前に、おばあちゃんとタマさんで、献立を決めていたみたいだ。
「下ごしらえと調理は、わらわと、ワシでするから、さくらは先に買い出しを頼むぞえ!」
新しい炊飯器を早だきモードでセットしながら、タマさんが布陣を説明した。
「それで、何を作るの?」
「へそ稲荷寿司、甘いだし巻き卵、豚汁にするぞえ!時間との勝負だから、さくらは、言うものを用意して欲しいぞえ!」
「任せて!」
「足りない材料の味付きの油揚げ50枚、白ゴマ一袋、甘く煮てある金時豆、さつまいも2本、里芋5個、豚バラ600g、こんにゃく2つ、頼むぞえ!」
「了解!」
(おいなりさんに妥協しないタマさんが、油揚げ揚げを自分で煮ないで、既製品に頼るなんて珍しい…)
おばあちゃんは、大きな鍋に大根、ごぼう、にんじんを投入し、今は玉ねぎを切っている。
(私も急いで材料を取り寄せなきゃ!)
さくらは、スマホをポチポチ操作して、お取り寄せをして、居住玄関脇の【スグクル宅配BOX】に取りに行く。持ち運び用のスーパーのカゴと、デザート用のちょっとお高い有名店の壺焼きプリンも注文していた。
さくらに指示を出したタマさんは、甘いだし巻き卵卵に取り掛かった。
材料を持って台所に戻ったさくらは、里芋の皮を剥き、豚汁の鍋に入れる。おばあちゃんは、洗ったさつまいもを切って鍋に入れて行く。さくら神社の豚汁は芋煮にも似ている。
スプーンでこんにゃくをちぎり入れて、豚肉を入れて味噌で味付けすれば、ほぼ完成だ。
タマさんは卵焼きのフライパンで三回も甘い卵焼きを作り終え、炊き上がったご飯に白ゴマを混ぜていた。
さくらは、おばあちゃんの手伝いからタマさんの手伝いに移り、出来合いの味付き油揚げに、白ゴマ入りのご飯を詰め、おへそ代わりの金時豆を乗せ、お皿に並べていく。
タマさんは、メニューを追加して春菊を湯がいていた。
(緑の野菜が無いもんね。春菊はおひたしより、胡麻和えの方が好きだけど、おいなりさんに胡麻が入っているから、鰹節かけておひたしかな…子供が好きそうな味にするならピーナッツ和えだよね…)
おばあちゃんも、仕上げに入れる長ネギも切り終わっており、豚汁もほぼ完成。
私も、へそ稲荷寿司は包み終わった。
タマさんは、甘い卵焼きも食べやすい様に切り、春菊はピーナッツ和えになっていた。
いつのまにか、ウィンナーも焼き上がっていた。
さくら神社の女性三人による台所連携プレイは、異世界に来ても衰えていないようだ。
プリンは冷蔵庫に入れ冷やしておき、豚汁以外は、居間の座卓に並べていく後は、孤児院救出組が無事に戻って来るのを待つだけだ。
今日のお昼のメニューは
・へそ稲荷寿司
・甘いだし巻き卵
・豚汁
・春菊のピーナッツ和え
・粗挽きソーセージの塩コショウ炒め
・デザートのプリン
急いで作ったにしては、豪華では無いか!
料理が終わった三人は、戻りを今かと、居間から草むらを見て待っている。
(しろさんとくーちゃんが居ない…ドラゴン対策組も出発したんだね、お見送り出来なかった…)
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次話は、孤児院救出作戦 後編です。