孤児院救出作戦 前編
【お詫び】
この話の重要な人物である、「さーちゃん」を「ちーちゃん」と書いてしまっていました。
話の内容を混乱させてしまい、申し訳ありません。
4/15 4:27に、修正させて戴きました。
また、嬉しい感想を添えて、ご指摘ありがとうございます。
早速、孤児院救出に動き出すシゲさん。留守番組に指示を出す。さすがもののけの総大将と言われるだけはあるリーダーシップである。
「タマさん、美味しくてお腹に優しいもん用意しておいてくれ」
「留守番組みに任せるぞえ!」
「シゲさん!任しておいて!」
おばあちゃんも、うんうんと頷いている。
「持っていくもんも用意しねぇとな」
シゲさんは、スマホをぽちぽち操作をして、【スグクル】に何かを注文したようだ。住居玄関の方に向かい、少ししてから戻ってきた。
「変な栄養剤より、龍神様のご利益のある手水舎の水の方がいいだろぉ」
「そうだね!エスターさん、手水舎のお水はご利益あるんだよ!」
早く孤児院に行きたいが、居ても立っても居られない用に落ち着かないエスターさんが、準備が終わるのを待っている。
(水筒にはご利益のある水、介護などで使われる吸飲み、キャラメルここまではわかる…黒のマスクにウィッグは変装用?…黒のラバースーツは絶対にシゲさんの趣味でしょ!潜入スパイ感あるけど…)
もしも、孤児院のご近所さんに見られても、エスターさんだとバレないように、シゲさんが変装させていく。もちろん、ラバースーツに着替える時は席を外してもらった。
見つかっても平気なシゲさんは、普通の格好である。見られていても、存在感を消すのは得意なのだ。
(ぬらりでひょんなんだもんね)
「早く、さくらも手伝うぞえ!」
と台所から催促する声が聞こえた。
「はーい!今行く!」とさくは返した。
「エスターさん、シゲさん、さーちゃん、気をつけて行って来てね!美味しいもの作って待ってるからね!」
と言って、さくらは台所に向かった。
「任せておけぇ!ちょっくら行ってくる!」
シゲさんの声が住居玄関の方から聞こえた。孤児院救出チームも出発するようだ。
さくら神社の草むら前にやってきたエスター。
さーちゃん殿が、私の顔を見上げて、左手を伸ばしてる。右手は既にシゲさん殿と繋いでいた。私も手を繋げばいいのだろうか?
色々と持ち物を入れた袋を肩にかけたシゲさん殿が、救出の段取りを話した。
「くーとさーは、コロボックルって言う森の妖精で、森や草むらを自由に移動出来るすげぇ能力持ってるんだぁ。好きな草むらに入って、一瞬で遠く離れた草むらから出る事ができるんだよなぁ?草むらがある場所なら、さー?」
「うん!さー出来るよ!エスターを孤児院まで連れてってあげる!シゲもね!」
(凄い能力じゃないか!)
「草むらの中ではぐれねぇように、さーの手は離すなよ。まぁ、はぐれても、さーが迎えにきてくれるがなぁ。もし、さーに悪意がある奴は、手を離した瞬間、一生抜け出す事が出来ない森の中でぽっくり行くまで抜け出せないけどなぁ」
「さーは、エスターにそんな意地悪しないもーん!」
さーちゃん殿がほっぺを膨らまして、シゲさん殿に抗議している。
(可愛い…そんな事言っている場合じゃない…早く助けに行かないと!)
「さーちゃん殿、よろしく頼み申す」
「エスター!任せて!」
さーちゃん殿はやる気を見せた。
(タケルの修復に、今回の孤児院救出作戦、さーちゃん殿に頼りっぱなしだな…)
「作戦の段取り説明の続きだったなぁ、エスターが最後に孤児院に行ったのはいつだったんだい?」
「さくら殿と王都を旅立つ日になる。その後、防衛都市のカサスで一泊、野宿を一回してタス村に着いたから、3日前になる」
「元々の食事で栄養が足りてなく、エスターが王都を旅立ってすぐに孤児院へ食料などの金目の品を軍が回収してたのかもしれねぇなぁ。そうじゃなきゃ、数日分の食料くらいあっただろうに…食料難のバジ王国じゃあるめぇし」
「そんな事して何になる…」
「お前さんに関わった人間への見せしめだろぉなぁ。軍の同僚や、孤児院出身者へ頼って来ても、エスターの手助けをさせねぇようになろう。恨まれてるか、脅威に思われてるかだな…オーサム大将ってやつによ」
「私なんかのために、餓死させられたと言うのか…直接私を殺せばいいだろう!」
「おいおい、熱くなりなさんな、生きているお仲間を助けに行くんだろ」
「もちろんだ!」
「エスターには辛いかもしれねぇが、連れてくるのは生きてる人間だけだ。亡くなった孤児を埋葬して弔ってやりてぇだろうが、我慢してくれ。そうじゃねぇと、エスターが助け出したのがバレちまう。バレたら、防衛準備が整っていないさくら神社に、オーサム大将が何してくるかわからねぇからな。これは絶対だ。約束できるか?」
「くっ…わかった…」
(エスター、辛い思いさせるが、恨むなら、俺を恨んでくれよな。さくらちゃんとは仲良くしてくれよ。)
「孤児院に付いたら、生きている人間を確認して、龍神様の水を飲ませる。これで少しは元気を取り戻す筈だ。次がこのキャラメル」
シゲさん殿は、一つづつ私とさーちゃん殿に手渡した。さーちゃん殿は、器用に包みを剥がして口に入れ…
「シゲ!甘くて美味しい!」
「だろう!甘いものを口に入れておくと、気分が落ち着くし、体力回復にもなるってもんだぁ」
エスターも真似して、キャラメルを口に入れた。
(甘くて…口の中の熱でふやけて…はじめての感覚だ…)
「多分生きているのは大人一人に子供二人のはずだ。これで落ち着いている間に、エスターは大人を頼む、俺は子供二人を抱える。そして草むらに入ったら、さー呼べ。そうすりゃあ、さーが手を引いてさくら神社に連れてってくれる」
「さー!がんびゃる!」
キャラメルを頬張って、きちんと発音できなかったようだ。その仕草もエスターの心を鷲掴みにしていた。
「孤児院に着いたら、俺はエスター以外からは姿を見えなくしてる。知らないおっさんが一緒にいるより、見慣れたエスターだけの方が、無駄に警戒しねぇだろう」
「シゲさん殿、心使い、かたじけない」
「龍神様のご利益のある水を、この吸飲みに入れて渡すから、エスターがゆっくり飲ませてやれ。体起こして飲ませねぇとむせてしまうから気を付けて飲ませるんだぞ」
「わかった」
「三人にご利益のある水を飲ませて、キャラメルを口に入れたら、エスターは大人、俺は子供二人を抱えて孤児院から出る。エスターは先に草むらに入って、さーを呼べ。俺は孤児院の入り口にタマが書いてくれた張り紙を貼ってから草むらに入る。さー、2回に分かれて戻って来ることになるがいいか?」
「シゲさん殿、段取りわかり申した!」
「シゲ!だいじょうぶ!」
キャラメルがある程度溶けて、ギリギリ正常に喋れたようだ。
「それじゃ、氏子勧誘に行くぞ!」
さーちゃん殿を真ん中にして三人は、草むらの中に入って行った。
初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。
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次話は、孤児院救出作戦 後編の前に、お留守番組の台所のお話です。