シゲさんが戻るまでのさくら神社
シゲさんが情報収集から戻ってくるまで、各自自由時間になった。
おばあちゃんは、スマホをポチポチと押したと思ったら、玄関の方に行き、京抹茶パフェで有名なお店の紙袋を持って、いそいそと自室に戻って行った。
(おばあちゃんが一番【スグクル】のお取り寄せに馴染んでる…お茶受けと一緒に、ドラマのDVDBOXの続きだね…)
タマさんはスマホのナビさんに
「【神社ディフェンス】のぬいぐるみ憑依は今でも出来るのかえ?」
「憑依はいつでも出来ます。【神社ディフェンス】のチュートリアルの中から憑依を選ぶと、いつでも練習出来ます。ただ、経験値は入りません」
「エスター、稽古付けてやるぞえ」
「タマさん殿よろしくお願いいたす」
と言って、自室からうさぎのぬいぐるみを持ってきた。
「あー!うさぎのぬいぐるみ治ってる?新しいの取り寄せた?」
「さーちゃん殿に治してもらったのだ。名前も付けて、タケルと言うのだ」
「ちょっと待って!さくら神社の紋章も入ってる!胸にタケルって文字が付いてる!いいなぁ」
自分の作品を褒められて、さーちゃんは、照れたように、もじもじしてる。
早速、エスターさんは、タケルに憑依し、竹刀の代わりに、木の枝を持って剣道の素振りの稽古をつけてもらっていた。
「体の軸がブレてるぞえ」
「ただ振ればいいんのでは無いぞえ。一振り一振りに魂を込めるぞえ」
声の発せないタケルは、指摘されるたびに頷く。その度に長い耳が、顔に鞭のように叩く姿がシュールだ。
縁側で稽古を見ているさくらの隣では、さーちゃんは靴を作り始めていた。
すり足の姿を見て必要になると思ったのだろう。
(すり足するとぬいぐるみの足の裏、すり減っちゃうもんね…)
さくらは【神社アプリ】を開きお知らせ欄が点滅していることに気がついた。
開いてみると、神社LVが2にアップ出来るらしい。
(何が神社レベルアップの条件だったのだろう…神社ポイントだけだったのかな?)
迷うことなくLV2にアップした。すると新しい項目に【氏子貢献度ランキング】が表示された。神社LVを上げると機能が追加されるらしい。
開いてみると…
1位ワシ
2位タマ
3位ナビ
4位さくら
5位くー
となっていた。
(おばあちゃんはDVDBOXの大人買いと昨日の【神社ディフェンス】で納得。タマさんも食材を【スグクル】で買っているからわかる、なぜナビさんが3位?【神社ディフェンス】も【スグクル】も使って無いよね!)
「ナビさん、何で貢献度稼いだの?」
「皆さんへのヘルプ機能としての説明業務です」
「その貢献もポイントになるんだね」
「そうなんです」
「各自の貢献度ポイントもいずれ見れるようになるの?」
「今のところは、隠しステータスになってます」
「今のところ?」
「もうお気づきですよね…私の産みの親は…シゲ様です。このスマホのシステムも、【スグクル宅配BOX】のシステムも私がAIとして作りました。今後どうなるかは、シゲ様とタマ様の気まぐれと閃き次第なのです」
(それで、私とナビさんの会話がタマさんに筒抜けなんだ…)
「そっかぁ…ナビさんも大変なんだね」
「私の苦労をわかってくれるのは、さくらさんだけです」
と言ってスマホの中のナビさんは泣いてしまった。
(今度、ナビさんの愚痴聞いてあげよう…)
「神社レベル次の条件は何なの?」
「神社ポイントはクリアしていますので、あとクリアが必要なのは、氏子を10名以上にするです」
「シゲさんを勧誘しても9人かぁ…もう1名の壁は高そうだよぉ〜」
そう言ってさくらはシゲさんに氏子申請をした。直ぐに氏子リストにシゲさんの名前が出た。
(あと1名どうしよう…)
うーんと唸って悩んでいると、草むらからくーちゃんに手を引かれてシゲさんが戻って来た。
「さくらちゃん、みんなを呼んでくれねぇか?急いでさくら神社の方針決めないといけなそうなんだ」
「わかったよ!みんな居間に呼んでくるね!」
さくらはみんなを呼びに行った。縁側に残された、さーちゃんの手には、エスターに渡すタケル用の靴が完成していた。
初めての作品「さくら神社の防衛戦争」を読んでいただき、ありがとうございます。
タイムリミットある中、異世界でのさくらの活躍を応援してください!
またもや、次回の予告と異なる内容になってしまい、ごめんなさい。
さくらの活躍を応援していただける方は、ぜひ評価(下部の☆☆☆☆☆)にて後押しお願いします。
その応援がはげみになります。
次話こそ…シゲさんの集めた情報を元にさくら神社会議が進みます。きっと…必ず…