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情報ウィンドウで知ったこと

 情報ウィンドウ? って何? さくらはびっくりし声のした場所をきょろきょろとしてみた。

 水を飲んで体をびくっとさせた後、挙動不審に周囲をきょろきょろしているさくらを心配そうにエスターさんが見ている以外には、周りの人はさくらに無関心のようだ。


「今後、情報ウィンドウオンと頭で思うだけで補助情報が表示されます。消すときは情報ウィンドウオフと頭の中で思ってください」

また頭の中に、機械的な声が聞こえた。なるほど……そういう使い方ができるのか……


 さくらは、情報ウィンドウをオンにした。すると、待ちゆく人の頭の上に名前が表示された。さらに視界の右上に半透明な真上から見た地図が表示されている。


(なにこれ……異世界+オンラインゲームなの……この世界)


 町を行き交う人をきょろきょろと見ているさくらに、おいしそうな肉の串焼きを二本持ったエスターさんが心配そうに声をかけてきた。

 「さくら殿、大丈夫か? 水を飲んでから様子がおかしいぞ?」

 「う、うん大丈夫……この世界で初めて口にしたから胃がびっくりしたのかな」

さくらは誤魔化すように答えた。


「異世界に来てからまだ何も食べていないならと思い、最近王都で評判な屋台の串焼きを買ってきたが、やめておいた方がよさそうだな」

「だめ! エスターさん! 私食べる! お腹ペッコペコだもん!」


 エスターから肉の串焼きを一本もらい、お互いのこれからの未来に串焼きで乾杯をしてからかぶりついた。

(少し癖があるラムを塩ふりの味付けだけのものみたい……香辛料はこの世界には無いのかもしれないなぁ……)


 嫌いな食べ物でなければ、どんなものでも美味しそうに食べるさくら。エスターは喜んでもらえたとうれしく思う。


 ハムハムと串焼きにかぶりつきながら、さくらはエスターの頭の上の名前を見つめていると、また機械的な説明が聞こえた。

「詳細情報を見るときは、詳細情報オンと思ってください。消すときは詳細情報オフと思ってください」


(おぉ! エスターさんの情報のぞき見できちゃうの!)


さくらは迷うことなくエスター頭の上に表示されている名前を見ながら詳細オンにした。


名前:エスター レベル:490/999

性別:女性 年齢:24

種族:人間

称号:一騎当千

状態:ふつう

所属:ゼフ王国

ジョブ:戦士

パーティー:未参加

HP:B

MP:C

攻撃力:B

防御力:B

魔法攻撃力:D

魔法防御力:B

スキル:【バトルマスター】(グレーアウト)


(王の間で行った水晶より情報量が多くない?)


 こっそりとエスターから目をそらし、町を行き来する人を見てもLvは2桁……町の警備兵を見てもLvは2桁後半や高くても100台であった。


 もう一度エスターのステータスを見る。Lv490。

さくらは、思わず目を大きく開き、ハムハムしていた口が止まってしまった。

(エスターさんものすごい高レベル…点もしかして私の監視役? 変な動きしたらさっくり殺されちゃうの?)


 ひとりビビるさくらの表情を、エスターは不思議そうに見ていた


「エスターさんも異世界からの転生者なの?」

「いや、サクラ殿と違って私はこの世界の生まれだ。ただ、両親を知らない孤児だがな」

「私も、元居た世界では両親を早くに亡くしていたから、私達一緒だね。でもね、エスターさんもスキル持ちになれるかもね」

「さくら殿、こちらの世界の人間は、異世界人がもって転生してくる一部のアーティファクトを装備しなければ、スキル持ちになんてなれないもんだぞ」

「そうなのかぁ…私のお稲荷様にはそういう効果あるのかな……」

「どうなんだろうな、所有者のさくら殿が知らないなら、私など知るよしもないな」


 転生者ではないエスターにもスキル表示はあったが。少し薄くなっていた。スキルの素質はあるが、まだ獲得していないということなのだろう。


 さくらは【バトルマスター】の獲得条件を見ることができた。各種武術のマスターが必要らしい。過疎の村に武術を教えてくれる人なんていなよね……


 さくらは自分のステータスの詳細情報も確認した


名前:さくら レベル:-256/999

性別:女性 年齢:18

称号:なし

状態:ふつう

種族:人間

所属:未所属

ジョブ:ゲーマー

パーティー:未参加

HP:D

MP:D

攻撃力:E

防御力:E

魔法攻撃力:E

魔法防御力:E

スキル:【おばあちゃん子】【おいなりさん大好き】【草むらのお友達】【金運アップ?】【引きこもり】


(一歳年齢あがってる! 私の若さ返して! でも、状態が病弱じゃなくなったからなのかな……HPとMPが少し増えてる! でも、ジョブがゲーマーって……)


「エスターさん、ゲーマーって知ってる?」

「げーまー? それは異世界の人の名前かなにかなのか?」

「ううん、なんでもない……」

(やっぱりこの世界にゲーマーなんて職業なんて無いよね……でもこの情報ウィンドウってゲームの世界っぽい機能。情報ウィンドウについては、エスターさんに内緒にしておこう)


 馬車に戻り、タス村に向かう道中も、さくらはいろいろな人のステータスを確認していた。時々所属が敵対国のバジ王国になっている人もみつけたが、エスターには黙っていた。なぜ敵国のスパイかとわかったか、さくらは情報ウィンドウの機能を隠してエスターに説明できないからである。そんな敵国のスパイですらLvは200台であった。


(エスターさんのLvは抜き出ているよね。最前線の村だから、最強の戦士が一緒に赴任されたんだよね……私消されないよね……)


 自分の身を心配しながらも行きかう人のステータスをのぞき見していたさくらに、初めて新しい所属を見つけた。所属:ノストラ。末尾に王国もついていない。


「エスターさん! ノストラって何?」

「さくら殿、ノストラのことも聞いていたのだな。武器商人の組織だ。我が国にも武器を流しているし、バジ王国にもきっと武器を提供しているだろう。一般人は知らない組織だな」

「ふーん……大戦が起きれば、そのノストラって武器商人組織まるもうけなんじゃない」

「かもしれんな。もうけた金が使える世が残っていればの話しになるがな」


 二人は防衛都市カサスに一泊した。

 食事はエスターが注文してくれたが、どれも薄い塩味のスープや硬いパンしかなかった。


 道中の食事は、硬い干し肉とカサスで出された硬いパンよりも硬いパン。野宿の食事は、少しの野菜と干し肉を薄い塩味で煮込んだスープと固いパンのみ。

(カレー食べたい……ラーメン食べたい……タマさんのおいなりさん食べたいよ……)


 タス村に向かう道中にモンスターや盗賊が出てくるのかと、さくらはドキドキしていた。

「エスターさん! タス村に着くまで、モンスターとか盗賊とかに襲われる危険は無いの?」

「モンスターが出てくるのは、ゼフ王国とバジ王国の間にある深闇の森だけからだ。それに盗賊など出るほど治安は悪くない」と教えてもらった。


(タス村が一番危険な場所なんじゃん……)


ついに、エスターとさくらはタス村に着くのだが、そこで目にしたタス村は……

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