4話 アポなしでやってくる奴らには気をつけろ!
3話(前回の話)の微修正を行いました。※この話(4話)ではありません。
わかりにくくてすみません。3話の前書きに詳細を記載してあります。
とまぁ、そんな感じで、約一年が過ぎた。
相変わらず、時間の流れが唐突ですまない。
王との謁見からアルゼン山脈にもどって筋トレやっているだけで……。1年だぜ。
月日が流れるの。ほんとうに早い。ティンカと二人でこの山暮らしが板についた。家族みたいな感じね。
いまは1000人がみたら、全員が、すべての時間を筋肉の為に費やして。また、筋肉に愛されているんだねぇ。
アンタの肩に乗っかったメロンのような三頭筋。
まさか、パトリオットミサイルが発射できるのか? と、ミスリードされるぐらいに仕上がった大胸筋。
背中はもはや別の生物のように各パーツが盛り上がりを見せていて、隆起した大地そのもの。そう。まるで。世界。背中世界が7日間で創世。
早い話が、ゴリマッチョ。
アンタ、いいゴリマッチョだよ……。ってみんながいってくれるぐらいにはなったと思う。俺のからだ。
いや。待ってくれ。1年経過したのは俺がいちばん驚いているんだ。
ティンカの世界を救出してほしいという依頼を断り、日本に帰る話になっていたけどもう一年も経ってます。
日本へもどる催促がなかなかしづらかった。なにせ、この転移した世界が大変なことになっているんだから、救ってほしいってことなんだろっ?
そんな訳で、たしかに時間がかかるなぁー、とは思っていたよ? 俺も。まぁ、でも。準備とか時間かかるでしょう? 大人の対応として、相手が言ってくるまで待つよ。
と、いいつつ、実は言えませんでしたー。
言いづらいことってぎりぎりまで言えないものかねー。ティンカはずっと暇さえあれば木彫りしていて、俺がとってきた獣や木の実、村で買ってきたパンなどおいしく食べてくれた。
筋肉ついてきたねーって言って褒めてくれて、筋肉痛になったらマッサージしてくれた。
実は俺、このままでも十分幸せかなって思ってたんすよね。
それにさ俺、いままで、なにかを突き詰めてやったことなかったから、筋トレして、ここまでからだがデカくなってくるとさ。
まぁー楽しくなってくるんだよね。
王にバカにされたっていう理由もあるね。
もちろん日本に帰ってからでも鍛えることはできるよ。でも、やったらやった分だけ、筋肉増えるってまずないでしょう? 成長速度×5倍ですからね!!!
いまの、俺のレベル見ます?
「エビデンス魔法! 客観認知!!」
LV99 早乙女 勇気
HP:81264/99999
MP:99980/99999
力:9999/9999
素早さ:7612/9999
防御力:9999/9999
魔力:9999/9999
魔力耐性:9999/9999
集中力:3567/9999
勇気:1/9999
GRIT:40/100
ストレス:32/100
スキル
ユニークアビリティ
「ティンカの加護」
「エビデンス魔法」
「マインドセット 経験値5倍」
「世界1便利な持ち運び倉庫【ユーキ・クラウド倉庫】」
どうですか? 一年かけて、強くなりましたぞい!
しかし、よくみてね。間違いさがしだよー。よかったら2話にもどってね。レベル1のステータスのってるからさ。
もうわかったかな?
勇気、ステータス、1、、、、、ね!
一年かけて、強くなったと思ったらさ、勇気の数値、たったのひとつもあがらないでやんの。
ひどくない!!!!!!!!!
「あー。とうとうレベル99になったんだ。もう人間でユーキに勝てる人はいないかなぁ~。オメデト~。」
上機嫌にティンカが話しかけてきた。
いましか、ない!!!!!!!!!!!
覚悟を決めた。レベル99ということは、これ以上レベルは上がらない。もう筋肉を維持するだけでよいだろう。
日本に帰りたいと伝えないと、ずっとこのままのような気がする。
正直、日本に帰っても学校いって、何年かたったら、つまんない会社に就職して、つまんない人生を送るしかないんだろう。
そしてモテずに婚活して、婚活疲れして、やけになって、一生独身でいいや、って思って。ネットの婚活成功した偉そうな体験談にずっとケチつけている人生だろう。退職金だってもらえない。年金だって安い。海外旅行も一度もいけないかもしれない。そもそも、就職だってできないのでは。つまんない会社に就職ってめちゃ恵まれているのでは。両親だって、実の親ではない。
しかし、なんの思い入れもないこの世界では住民票もないのだ。ティンカがいなければ、友達だっていない。あ、前の日本でも以下略。
この世界で臆病者がやっていけるはずがない。消去法で帰りたいと思っただけだ。
言うなら、今だ!
「ティンカ……。ちょっといいか?」
「ん~?」
「あのですね。俺、そろそろですね……」
「あ~。トイレ? いいよ~。先に」
ティンカは眠そうにあくびをした。
「いえー。そのー。トイレじゃなくて、そろそろー」
「あ、もしかして、あのこと?」
俺がぶんぶん、首を縦にふる。
「とっておいた果物、ユーキ好きだもんね。私の分も食べていいよ~」
ずっこけた! 優しいなぁ。
「いやいや、ティンカ。俺は……」
と、砂利を踏む足音がする。
ティンカとともに音のする方を振り返ると。
村長がやってきた。
いままで、ティンカと俺の住処に誰かが足を踏み入れたことはない。
「ああ、いてくれて助かった。相変わらず逞しいからだをしておるのう。実は仕事を頼みたくてやってきた。勇者様の道案内をお願いできないだろうか。最近、人がさらわれる事件が多発していて、その調査にいらしておる」
村長はそう言って、目を細めた。




