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3話 大いなるざまぁへの前哨戦。

2021/01/05 ステータスを修正しました。

2021/01/05 王との会話シーンを加筆しました。 

「どっ、どうかな……。あんまりジロジロ見ないでね」


 恥じらいながら、すすっ、と腕を下ろして、濡れた肢体をあらわにするティンカ。


 え……。こんなきれいな妖精が俺のからだの中に18年も一緒にいたってこと?

 共に悩みを語らい、信頼し合った深い仲だってこと?

 

 なにこれ。一体どこのラブコメでござんすか!?

 

 気づいていなかっただけで、すでにラブコメが始まっていたなんて新しすぎる! 気づかないラブコメ! ハーレムアニメの鈍感主人公にいらついていた俺自身が、ラブコメの主人公だったなんて……。


 つまり、ラブコメ主人公なので、ラッキースケベも、なぜか本人が魅力ないのにモテまくる展開が待っているってこと? サイコーではございませんか。


 では、水もしたたる、いい女のティンカ様のラッキースケベ、しかと回収おきましょうか。


 ティンカの白いワンピースのような衣装が、水に濡れて、下にうっすらと……うっすらと……?


 す……透けてない……だと……?


 ティンカはさきほどの艶のある表情はどこへいったのか、満面の笑みであった。

「いいでしょ? これ、ゴアテックスで作ったの。防水なのに汗も逃がす。さすが、科学の力だよね~」


「待ってくれ……ここは、中世ヨーロッパぐらいの文明で、剣と魔法がある世界だって、ここ数日説明してくれたよな?」

「説明したとおりだよ~」

「ゴアテックスって世界観的に大丈夫なのか?」

「あ~。だいじょうぶだいじょうぶ。エビデンス魔法だって魔法の概念を壊しかねない雰囲気とセンスの無さだし、我ながら、台無しだなぁ~と笑」

「いや、『笑』じゃなくてだねー。まぁ、それはいいや。でも、期待するでしょ? あんなエッチな展開。それで、濡れてませんでした~って、なんか……。うーん」

「ユーキがよろこんでくれるかなぁ~と思って。やっぱり見たかった?」

「見たいと思うのは健全な青年として当然の正義だと主張しますね。あと、エッチじゃないのは、いけないと思います。エッチなふりをするのはもっと、いけないと思います」

「私、今回はそういう役割ないので」

「え?」

「私、お色気要員でここにいるわけじゃないので。それに、ユーキは残念ながら、ラブコメの主人公じゃないんだよ~」

「は、はわ……。ど……どうして……俺の心が読めるのか?」

「いや。だって18年も一緒にいれば、なんとなくわかるよ~。まぁ、こんな小さなからだでもそういう対象に見てくれたのはうれしいけど」


 ティンカは自らのからだを足から頭まで見たあと、俺を同じように見つめた。


「ちょっとだけ、ユーキの将来が心配だよね。日本ではやめておいたほうがいいよ。その……小さい子は……」


「なんかやめて!!!!!!!! やめてください!!!」


 ティンカがからからと笑う。

「だいぶ話が脱線しちゃったけど、バーベルやダンベルがないなら、この時代の作れるもので代用すればいいんだよ~。近くの村に行ってみようか」



 ティンカと共にちかくの村(アルゼン村)へ行き、丸太を大工さんに削ってもらって、バーベルの代わりにした。言葉はティンカの魔法で通じた。



 頭に入っていた筋トレの知識で、ウェイト・トレーニングを重点的に行う。



 HIIT(高強度トレーニング)とタバタ・プロトコル(HIITより強度が高いインターバル・トレーニング )を週5回ほど行った。



 筋力、酸素摂取量、持久力が鍛えられて、たった4分で終わるインターバル・トレーニングは忙しい人でも可能だ。是非やってみてくれ!

 

 

 筋トレを始めてしばらくすると、なんと動物にも走って追いつける脚力がついた。

 狩りをして飯を自給自足できるようになった。



 なぜ、ここまで成長が早いのだろうか? ティンカに聞いてみた。

「ユーキは成長マインドセットによって経験値が5倍獲得できるから、筋トレひとつとっても、成長が段違いに早いんだよ~」

 

 今日も今日とて、木彫り作りをかかさないティンカであった。

 日本でいう過ごしやすい夏場のような気候だった。

 


「それで成長マインドセットだと、なぜ成長が早いのかわかる~?」


「成長マインドセットだと、失敗しても、どうやったら次はうまくいくだろうか、と改善する。だから何度も挑戦でき、経験値がたまる。――こんなもんか?」

 

「いいじゃ~ん。常に成長できないか考えて行動してね。その考え方があれば早く強くなることができるよ~」


 ふーん。そんなものか、と思ったが、実際に成果がでると、やる気になる。


 やればやるだけ結果がついてくる筋トレが楽しくて、毎日部位を変えて鍛えた。


 


 

 そんな訳で、いまは王都の王の間にいる。

 


 

 

 は? そんな訳で? なぜ急に王の間に?


 

 大丈夫。それが正常なリアクションです。

 俺もまったく同じ気持ち。

 

 アルゼン村にバーベル作って、食べ物を調達してたら、ティンカと一緒にいるところをだれかが見てて、王様の耳に入ったらしいんだよね。

 

 どうやら、妖精と一緒にいる異国人を見つけたら、それが世界を救う救世主? みたいな言い伝えがあるみたいなんすよね。

 

 だから、王の間まで呼ばれたというか。強制連行されてきたというわけです。はい。

  王は大げさな王冠をつけ、恰幅が良い、教科書どおりのテンプレだった。

 

 俺とティンカは王の前にひざまずいた。

 王は尊大な態度で、俺たちを高い椅子から見下した。


「どこから来た?」

「アルゼン山脈からです」

「そこで生まれ育ったか?」


 ティンカに転移者なのは隠すように言われた。

「はい」

「ふむ。妖精と共にいる者は異国から来た勇者の可能性がある。ステータスを調べさせてもらうぞ」

 

 断っても面倒そうだ。素直にうなずく。

 返事をしろ、と兵士からどやされる。

 

「はーい」

 めんどくさー。

 


 宮廷魔術師が俺にステータス開示の魔法をかける。

 ティンカがこほん、とせき払いをする。

 

 

 LV1 早乙女 勇気 

 HP:47/67

 MP:2/※51

 力:12/9999

 素早さ:21/9999

 防御力:7/9999

 魔力:※12/9999

 魔力耐性:※27/9999

 集中力:8/9999

 勇気:1/9999

 GRIT:11/100

 ストレス:98/100

 

 スキル -

 

 ユニークアビリティ

 「エビデンス魔法」

  ※

  ※

  ※

  ※

 

 

「こ……これは……」

 宮廷魔術師が騒ぎだした。王は優雅に立ち上がり、ステータスを見る。

 

 

「こ……これは……」

 王が震えた。

 

 

 ティンカと目配せする。

「これって俺に隠された力があるとかそういうパターン? スカウトされちゃう?」

 ティンカは不敵に笑う。

 

 

「ぶはははー。よわー。私より弱いぞ。こんなやつ、勇者にはさせられない。元いた場所に捨ててこい!」

「この、エビデンス魔法というのは? どういう魔法ですかな?」

 宮廷魔術師が笑いをこらえながら聞いてきた。


「支援魔法の一種です。瞑想、攻撃支援、ストレス軽減などです」

 ティンカがよどみなく答える。


「はは。あっふふふふふふ。ちょっ。瞑想って、ユグド教がやっているお祈りのことか。うはは。敵に祈る隙にやられるわ。道化も大概にせい」

「王。この者たちは勇者には……ふふ。ふふふふ」

 

 別に俺。勇者になりたいわけでも戦いたいわけでもないんで良いんすけど。勝手にここまで連れてきておいて、一言の謝罪もないのは辛いっすよね。



「あのー。ちょっと。ひどくないっすか? あと俺より強いんだったらアンタが勇者になれ――。フゴゴゴゴゴゴ」


 ティンカに口を押さえられる。

 あばばばば。こきこきゅこきゅーこきゅーが!


「はい。ユーキ。ラマーズ。ラマーズ。ヒッヒッ~フ~。赤ちゃんと呼吸あわせて。はい、赤ちゃん、もうすぐ出てきますよ~。バブブ~」

 

「生まれた……。ティンカ……。俺たちの子どもが……って、なにすんだ! 呼吸がマジで困難で、だいぶ()()()戻ってくるのに時間をくってしまった。あとすこし遅かったら!!!」

 

 ティンカが耳元でささやく。

「いいんだ。バカにされていよう。いまはまだ動くときじゃない。私にもユーキにも時間が必要。エビデンス魔法はレベルが上がれば間違いなく、最強へと至るよ。こいつを見返すようにがんばろう。エビデンス魔法のマインドセット(やればできる)の精神だよ~」

 

 

 王にバカにされながらも、ティンカの意見を尊重し、矛をおさめた。

 

 いつかまた会うことがあったら、絶対ざまぁーしてあげますからね。はだかの王様。

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