表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/27

12話 勇者の勇気ステータス

俺は勇者たちとはじめて会った時のことを思い出していた。みんな装備が傷一つなく、汚れも付いていないからてっきり強いものだと勘違いしていた。

 

 

 

 ――まさか、一度も戦闘していない(年齢)とは……。

 

 

 

「エビデンス魔法LV2 客観認知」を使ってハンターウルフのステータスを調べた。

 俺が見たハンターウルフの横に簡易的な文字と数字が魔法によって、板状に構築されている。

 

 

 LV4 ハンターウルフ

 HP:272/412

 MP:0

 力:12

 素早さ:42

 防御力:14

 魔力:0

 魔力耐性:4

 集中力:11

 勇気:31

 GRIT:16

 ストレス:15

 スキル 「獣の加護」 

 ユニークアビリティ:-

 

 

 典型的なスピードタイプのモンスターなのだろう。比較対象はゴブリンしか知らないけど、素早さが高い。

 

 それよりさ!!!!!!!!!!!

 

「ティンカ! 俺よりふつーに勇気ステータスが高いんすけど?」


「だね~。勇気に勝ち負けはなさそうなんだけど」

 ティンカがゆる~く苦笑いする。

 

 

 震えているマエに声をかけた。

 俺の方がこわいさ。

 勇気ステータス1はダテじゃないぜ!!!!!

 

 

「マエ、どうする? 攻撃呪文とかは?」

「火属性と風属性と魔法カウンターの初級魔法なら……。でも動く標的を狙ったことはなくて……」

「でもなんとかしないと、ここで全滅してしまうよね?」

 

 マエは意を決して、杖に魔力を込めた。マエの杖の先から作りだされた風の刃が飛んでいく。

 

 

 ああ、攻撃魔法ってこんな感じなんだ。

 ゲーム、アニメではド派手なエフェクトみたいな奴がバーンと出るけど、慎ましやかというか、申し訳程度みたいな感じ。

 もっと上級魔法になると違うのかな。

 

 

 

 ウルフ達は上空に飛ぶかのように一回転して魔法を回避。かすりもしなかった。

 

 

 ウルフがこちらに向けて唸ったので、マエの後ろに隠れた。幼い少女に隠れる父親みたいだ。

 マエの顔はとんがりハットで見えないが、おそらくゴミに群がる害虫を見ているかのごとき、表情だろう。

 経験から、わかるのさ。ふふっ。

 泣いてなんか、いないぜ。

 

 

 ただ、魔法を撃っても避けられるな。ウルフは素早い。

 

 この過酷なセカイは、いつだって俺に選択を求めてくる。

 

 ならば。

 

 

 俺はみんなに大声で作戦を伝える。

 二人とも、忙しくウルフをさばきながらも、うなずく。

 

 聞きたくなかったが、本当にその作戦でよいか、もういちど、勇者に聞いた。

「しつこいぞ。できるならやってくれ!」



 勇者の許可をとったので、俺、やります!

 

 

 

 俺は恐怖を、「エビデンス魔法 LV1 リア・プライダル(受けとめ直す)!」を唱え、楽しくなってきたー、と思い直した。

 

 

 

 たのしい、たのしい、こわくない。こわくない。こわいけど、たのしい。たのしみが、すぎる。

 

 

 【――うん。ストレス指数が下がりはじめてますー。その調子でガンバッ!】

 久しぶりにティンカの効果音聞いたなー。

 ちなみにティンカは戦闘がはじまって俺の服の中に隠れております。

 

 続けて、マインドフルネス歩行瞑想を発動。

 集中力増加と、攻撃を食らった時の為の回復用に使用する。

 

 【――効果がかけあわさり、集中力が上昇をはじめてますー。よきよき】

 

 

 下に落ちていた、ハンターウルフの死骸を回収し、みんなの雑嚢も手に持った。

 

 ハンターウルフが一斉に俺に向かって吠える。

 

 こ……怖い。

 

 お、おかしい。

 すさまじいふとももの痙攣を感じた。見ると、俺の大腿四頭筋がぶるぶる震えているだけであった。

 

 し、静まりたまえ! 俺の大腿四頭筋!!!!!

 

 あまり静まりを見せなかった足を放っておいて、ピッチャー、振りかぶって。

 

 死骸をハンターウルフめがけ、投げつけた。

 

 風をつんざく、風圧が発生した。

 こっちのセカイなら大リーグ狙えますかね。

 

 クリーンヒットした。ハンターウルフが、か細い声で倒れ込む。

 

 「出発します。駆け込み乗車、おやめ、くださーい」

  マエとニック、ライラを肩に乗せ、勇者を背負う。

 

 「ティンカ姫、いくぞ」

  胸に格納したティンカに声をかける。

 「よろしい~。行くが良い~」

 

 

 

 「それ、逃げろーーーーーーーーーーーー」

 

 

 

  呼吸を腹いっぱいに溜め、跳躍した。

  木々をなぎ倒し、全速力で忘れずの森方向と思われる方角に向けて、突っ切っていった。

 

 俺が走ると、木々や大地、揺れてない? 巨人かよ。

 

 

 ハンターウルフが追いかけてくる。

 

 俺の足ははやい。

 逃げ足ならもっと、はやいです。

 

 いまは3人抱えているから遅いけど。

 

 すこしずつ距離を詰められる。

 

 

「マエ、頼む」

 

 

 マエが風魔法を発動させ、ハンターウルフを足止めする。

 

 と、目の前に別部隊のハンターウルフがいた。

 

  さっきのやつは斥候だったか。

 

「歯を食いしばってくれ! 舌を噛むなよ」

「ちょっと。ユーキ。いまど~なっているの? 私、胸の中にいて、見えないんだよ~」

 

 ティンカに返事する間もなく、超高速の逃げ足で、前方のハンターウルフの鼻先近くまで、俺の膝がきた。

 ウルフは膝にかみつこうと、凶暴な牙をむきだしにした。

 

 

 そのまま。

 手を後ろに引いて。

 駆け抜けてきた勢いを殺さず、屈伸して。

 

 

 よっ。

 

 

 そのまま、ハンターウルフを飛び越え。

 着地。

 地響きで野鳥と獣が逃げるのがわかった。

 お休みのところ、邪魔して申し訳なかったと思っているー。

 

 

 山を10分強走り回って、ようやく逃げおおせた。

 

 

 山の広場になっているところで休憩することになった。

 「助かったわ。すごい足のはやさ。しかも、3人抱えて、あそこまで素早く行動できるなんて。すごい」

 

 

 ライラのお褒めの言葉を頂きまして、照れる。日本ではだれからも褒められたことないので、うれしいっすね。

 

 マエが、俺の腰をつんつんした。

 おや。君も俺を褒め称えたいのかい。

 さあさあ。遠慮は不要だよ。

 

「あっし、この死骸、もう絶対使いたくございま……被りたくない! 臭すぎる」

 と、いいつつ、俺に……。

 わわわ。

 レロレロレーと、美しい虹がかかった……いや、ゲロがお口のなかから、

 あらっ。こんにちは。

 あわてて逃げるも、足にちょっとかかってしまった。

 これこそが、ゲロイン(ゲロ・ヒロイン)だ。

 

 ……まぁ、許す。少女だし。臭かったろ。

 俺も女の子に死骸かぶせて、どうもすみませんでしたー(棒読み)

 

 ついでにハンターウルフの毛皮もあるよー、と見せると、マエにきれいな上段キックを入れられた。

 魔法使い格闘家、いいですねー。

 

 

 

【上出来ですよ~。勇者とライラのLVが上がりました】

 あれ? 逃げても経験値ってもらえるの? そっか。経験、だもんね。

 さらに俺だけでなく、勇者たちも俺がパーティにいるとティンカの効果音(天の声)が流れるのか?

 試しに他の人のステータスを見てしまいますか。

 

 【客観認知】にて勇者を見ると、ステータスが表示された。

 

 

 

 勇者 LV3

 HP:124/201

 MP:10/11

 力:10

 素早さ:18

 防御力:18

 魔力:7

 魔力耐性:8

 集中力:21

 勇気:1

 GRIT:60

 ストレス:70

 スキル:-

 ユニークアビリティ:-

 

 弱い。GRIT(やり抜く力)が高い以外、良いところがなにもない。完全に弱い人間だった。

 

 ――それ以上に。俺はそのステータスから目を離せない理由があった……。

 

 

 

 ――勇気ステータスが、1……だと……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ