家族とご対面 〜2〜
トントントンという扉をノックする音が聞こえた後、のんびりした女の人の声が聞こえてきた。
「母様~、エルデとエテェネルが来ましたわ~」
「お母様、入ってよろしいでしょか?」
「入っていいわよ」
「失礼します~」
「失礼致しますわ」
そうして入ってきたのは2人の女の人だった。
「母様~、赤ちゃんに会いに来たの~」
「ヘーラルお姉様! 先に会いに来たなんてずるいですの!」
「エテェネルごめん、ごめん」
「絶対反省していませんの!」
「エテェネル~、そんな事はどうでもいいよ~。母様~赤ちゃんはどこ~?」
「そんな事って……。はぁ、エルデお姉様はいつも通りですわね。お母様、それで赤ちゃんは?」
なんか絶世の美女と言われる様な人たち、あっ、神だけれどもそんな美女たちが集まって会話しているところをポーッと眺めてた。なにをしてても絵になるな~と思っていたらお母様の抱っこに変わっていた。
「この子が新しい妹エイミーよ♪」
「エ、エイミーれしゅ!」
か、噛んだ……。ポーッとして眺めてるうちにお母様に抱っこされて、気づいたら紹介されていた。慌てて名前を名乗ったけど、そのせいで噛んだ。恥ずかしい……。
「まあ! 可愛い! 小さいわ♪」
「ほんと~、可愛い~♪」
姉様達はそう言って、私の手をにぎにぎしてきた。
「私はエルデよ~。よろしくね~」
「よろしくおねがいしましゅ!」
エルデ姉様は茶色いウェーブがかった腰くらいまでのロングの髪で金色の瞳をしている。雰囲気がのほほんとしていて可愛い系の美女。今までの会話で語尾がのびるのが印象的。
「私はエテェネル。よろしくですわ!」
「あい! よろしくおねがいしましゅ!」
エテェネル姉様はザお姫様っていう印象。輝く金髪ロングの髪は緩く巻かれてて、ピンクダイヤモンドの様な瞳をしている。本当物語に出てきそうな感じ。王道な美女だね!
「姉上たちはエイミーにどう呼ばれたいですか?」
「私はラル姉様って呼ばれてるわよ!」
「僕はノア兄です!」
今度はどんな風に呼ばれるかの話になったみたいだ。ノアは初めて兄と呼ばれることが嬉しいのか、胸を張って自慢している。
「え~、なんで呼ばれようかな~」
「私はネルお姉様がいいかしら?」
「じゃあ私は~、エルデお姉ちゃんにしよ~♪」
なんか期待の籠もった目で見つめられてる。私に呼ばれるの待ち……かな?多分……。
「エルデおねえちゃん!」
「は~い♪」
「ネルおねえちゃま!」
「!?、お姉ちゃま!?」
あっ、しまった……。まだちょっと舌ったらずなところがあって、『様』が『しゃま』とか『ちゃま』になっちゃう。もしかしてネルお姉様はちゃんと言えないとダメな感じかな……。でもまだちゃんと言えないし、どうすればいいか不安になって涙目になってきた。
「あぁ! 違くてよ! 怒ったわけじゃないわ。ただ、お姉ちゃまってエイミーから呼ばれると可愛くて大きな声を出してしまったわ。ごめんなさい」
「確かに、可愛いわね~」
「だから私ことは、ネルお姉ちゃまって呼んでくださる?」
よかった……。怒ってたわけじゃなかった。ほっとひと息ついた。
「ダメかしら……?」
「っ!、大丈夫れしゅ! ネルおねえちゃま!」
「ありがとう」
改めてネルお姉ちゃまと握手した。といってもネルお姉ちゃまの人差し指とだが。なんだか安心したら眠くなってきちゃった……。まぶたがとろんっとしてきて、あくびが出る。でもせっかくみんな会いに来てくれたからまだ起きてたい。
「あら、眠くなったかしら?」
お母様にそう聞かれたけど、ふりふりと横に首を振る。まだ寝ない! そう思うけど、まぶたは落ちてくる。
「無理しなくていいわよ。 眠い時は寝ていいからね」
「うぅー」
そうしてると、お母様は私のことを横抱きにして、背中をトントンっとリズミカルに叩いた。そうされたらもう眠りに抗えない。
「おやすみ、エイミー」
「おやすみ、私の可愛いエイミー」
もう半分眠りに入っている状態でお母様とお父様の優しい声が聞こえた。なんだか、すごくあったかい気持ちになって意識は遠のいた。
エイミーが眠ってしまった後の家族はというと。
「母様、エイミーの寝顔可愛い!」
「ふふっ、そうね~」
「本当にかわい~」
「ちょっとエルデ! ほっぺたつんつんしませんの! 起きたらどうしますの!」
「エテェネルのほうがうるさい~」
エイミーの寝顔を見て盛り上がっていた。結構うるさいがエイミーはスヤスヤ寝ている。
「エマ、エイミーの力はもう分かるのかい?」
「いいえ、まだはっきりとは分からないわ。 そしてまだ力が安定していないからすぐ眠くなるのね」
「父上、司る力はすぐに分かるものなんですか?」
「うーん、それぞれかな? 産まれてからすぐに分かる時もあれば、徐々にって事もあるね」
「へぇ~、そうなんだ!」
「ノアは徐々にだったね」
「私とヘーラルは徐々に司る力が分かったわ。エルデは産まれてすぐでしたかしら?」
「そうよ~、産まれてすぐに力を使ったわ~」
そんな会話が繰り広げられる中、エマリーバはスヤスヤ眠るエイミーをベビーベッドに寝せた。神の赤ちゃんが眠るに相応しい豪華なベビーベッド。そんなベビーベッドで眠るエイミーにエマリーバはそっとおでこにキスをした。そして気づいたことがひとつ。1つ目の力は予想していた通りの力を持っていた。それを伝えるため、みんなのところに戻った。




