俺のキャラは主観的に見て友人キャラなんだ
金堂 雪は主人公である。
これは事実だ。
では俺は何なのか、ラブコメに当てはめて考えると答えは1つだろう。
そう、俺は主人公の恋愛物語の中で嫉妬を持たれるが、主人公とヒロインの仲が深まりやすくなる、当て馬役だろう。
まぁ、俺には恋愛感情はないんだがな。
さて、それでは早速仕事をこなすとしようか!
「よ、雪、千尋、おはよう。」
俺は雪の方に歩きながら声を掛ける。
二人は俺の方に振り向いた。
「やぁ、松風君、おはよう。」
雪は明るい顔で挨拶を返す。
うーん……その顔は千尋達に向けるべきだと思うんだけどなぁ。
「松風君、おはよう。」
千尋は笑顔で挨拶を返す。
彼女は誰にでも笑顔で接するので、勘違いする要素もない。
雪にはかなり満面の笑みで接してた気がする。
こっからが仕事だ。
「やー、相変わらず千尋は見た目がいいな。」
露骨すぎるかもしれないが、鈍感主人公の嫉妬を煽るにはこれぐらいしなきゃ行けないのだ。
「 ……ま、まぁ、当然だけどね!」
千尋は赤くなって照れたあと、胸を張って言った。
も、もちろん、まな板なんて思ってないぞ、うん。
よし、これで雪も嫉妬を……
俺が満足して雪の方に振り向こうとしたその時だった。
ッッッ……!!!
な、なんだ、この殺意!?
俺は恐る恐る後ろを振り返って見た。
……そこに、ヤツはいた。
「ねぇ、マツカゼクン、今、とーーっても失礼なこと……考えてない……よね?」
それは、溢れんばかりの殺気を纏ったカガサキ チヒロがそこにいた。
「くっ、ここまでか、じゃあな雪!」
俺は少し投げやりになってしまったが、雪に一言言うと、ダッシュで席に着いた。
「待ッテ、逃がさなイ」
チヒロは俺を追いかけて来たが、
「おぉい、席に着け~。」
丁度うちの担任の神谷 順也が来たため、流石のチヒロも席に着かざるを得なかったようだ。
「グルルル……!」
いつの間に俺の友人は猛獣になったのだろうか?
健全な美少女だった筈なんだけどなぁ……
ん?消しゴムが転がってきた、折りたたまれた紙がはさまっている。
それを開くと、
『親愛なる友人へ
た、大変なことになっちゃったね……
でも大丈夫!
あの状態の千尋はひたすら褒めれば治るよ!
僕はそれで何とかなったし。
じゃあファイト!
君の友人より』
ふと雪の席を見ると、彼は俺にこっそりとサムズアップを向けている。
か、神だ……!
……だがこれは雪だからなのではないか?
雪は主人公だ、それに俺の特技である空気読みから推測するに、千尋は雪に好意を抱いている。
結論:この情報は役に立たない可能性が高い。
くっ、これはほとぼりが冷めるまで逃げるしかないのか!?(謝るという選択肢がない。)
いや、せっかく雪が伝えたんだ、やってみる価値はあるだろう。
「じゃ、今日の連絡事項はこんなとこだ。また三時間目の数学で会おう。」
そして朝礼が終わるッ……!
もしも「この話、好みだ!」って方や、「おもしれー話、評価してやるよ。」って方がいたら、下へスクロールして星を押して評価してくれると幸いです!
週3.4話以上投稿を目安にやっております。