妹のしがらみ
兄妹でデートをした後、俺らは家に帰った。便せんで両親から進学に関して祝辞をもらうのでした。
それからアリスお手製の夕餉を取って、俺は自室に引っ込んだ。
読みたいマンガを手にとって閲覧する。しばらく読書。マンガを読むことを読書と表現できるなら。
そうしていると、コンコンと私室がノックされた。この家には二人しか居ないので、まぁアリスだ。それでもちゃんとノックするあたり品の良さが目立つ。俺と違ってマナーも身につけているしな。あんまり役には立っていないが。
「どうぞ」
「失礼します」
「お前に閉ざすドアは無いがな」
苦笑交じりに冗談を言う。
「あの……兄さん……」
「何でも言って味噌?」
「また……処置をお願いしたく」
「構わんよ」
むしろ普通だ。妹のしがらみは兄がフォローするモノ。これもまた兄の役目である。
「それでは」
シュルリ。寝間着を解いて脱いでいく。アリスは半裸を露出した。ブラとショーツだけは身につけたままなので、ビーチクと女性器は見えないけども。そのブラからこぼれ落ちそうな大質量は、地球さえ呑み込みかねん。
「目に毒だな」
「やはり下品ですか?」
自身のおっぱいをフニフニと揉みながら、アリスは不安げな声を出す。
「いや、眼福だが一線を越えそうで怖い」
「兄さんになら良いですよ?」
「そうは言ってもな」
「要するに結婚せず子どもを作らなければいいわけで」
兄妹で避妊セックスする分には条例も水に浸した障子か。
「呪詛がたまってるな」
「はい。それで……その……」
「分かってる。お前が自虐する必要は無い」
それは確かだ。
「面倒くさい妹です」
「可愛い妹だ。そこは間違えるな」
「可愛い……ですか?」
「そうでもなければ突き放してるさ」
「兄さん! 大好きです!」
下着姿のままアリスが飛びついてくる。ボインがボインボイン。
「ちょ。待て。落ち着け」
「ほら。兄さん? このおっぱいは兄さんのモノです」
「まぁそうではあるが今は別の用があるだろ」
「一線を越えてくれないのですね」
「さすがにな」
状況的に十八禁だ。
「とまれ」
ゴホンと咳払い。
「呪詛の面倒だろ? 俺の役目だ」
「その……お願いします」
「ああ。相承った」
ブラとショーツ以外全てを脱ぎ去ったアリス。今更に恥じらうように赤面し、乙女の顔で俺を見る。その初心な反応が俺をそそり立てる。もっとも破廉恥なことはしないわけで。
「……………………」
俺は無言でアリスの胸元に手をやる。乳房の間。谷間だ。胸に触れるのは十八禁だが、そこまでいやらしいことを俺はしない。妹のブラコンを承知で、しかし理性が勝っていた。
「兄さんにはご迷惑を」
「気にするな。元よりそのつもりで処置したからな」
妹の呪詛を取り除く。
心臓周囲に呪詛がわだかまっているのが感じ取れた。胸元に手を触れたのはそういうわけだ。ソナー代わりに能力を発露し、適確に修正していく。
「あ……んぅ……」
感じ入るアリス。どうやら俺の能力は性欲を刺激するらしく、何時も以上にアリスは発情していた。それも慣れたモノ。ドクンとアリスの心臓が高鳴った。
「は……ぁん……っ!」
呪詛を抑制する。正確には治す。治癒が俺の本質だ。あの日から、アリスにとって俺は専属医になった。呪詛……つまり呪いを身に宿す妹。その呪いを定期的に無かったことにする俺。裸の付き合いは、あの日から変わっていない。
そこに妹の本質がある。
ブラコン。
「兄さん大好き!」
の根源だ。
「よし。こんなところだろ」
自身の治癒を終了させる。
「はあ。気持ちが晴れました」
呪詛は何も身体にだけ作用するモノじゃない。心情にも作用する。心身一如で、呪うからこそ呪詛と呼ばれるのだ。そしてその呪詛を取り払うと、アリスは心の頸木から解かれて、スッキリ爽やかな心地になるとのこと。
「ありがとうございます兄さん」
「ま、何時でも言え」
「ついでにおっぱいでも揉んでみませんか?」
「魅力的な提案だな」
豊かな巨乳は女子高生とさえ思えないほど恵まれていた。パイオツカイデーはアリスの仕草に反応してユッサユッサと揺れ動く。それは俺の性欲を刺激した。重力の逆らうハリ。そと矛盾する柔らかな脂肪。おそらく揉めば手の形に自在に歪ませるだろう。それほどの巨乳をアリスは持っているのだ。
「ま、後日な」
俺はソレだけを言う。
「抱いてくださっていいんですよ?」
「本気にしてしまうから止めろ」
「本気なんですけど」
それも知ってはいる。『あの日』からアリスは俺に異性を見出した。他の男どもは十把一絡げ。俺に愛されることを第一義とする。それは光栄なことだし、兄としての名誉でもあるのだが、生憎とこっちは常識に普在する。
「ドクン」
巨乳の谷間に人差し指を押し刺して、俺は治癒を具現する。
――ドクン!
アリスの心臓が高鳴った。
「ふぇあわや……っ!」
赤面するアリス。
「この程度で狼狽するなら挑発するな」
「兄さんは私の身体を好きにして良いんですよ? おっぱいを揉んでも良いですし、吸っても良いですし。挿入しても良いですし、挟んでも良いですし、しゃぶらせてもらって良いですし。兄さんの性欲を全身全霊で受け止める覚悟です。それとも首輪をつけますか? 兄さんの肉奴隷になら私は身をやつしても構いません」
「変なマンガの読み過ぎだ」
こんな全裸巨乳を性奴隷に……ソレは魅力的な提案だった。




