説得と新たな仲間
魔物は憎いか。当然の質問に一度止まった喧騒がまた開始する。
構わずに続けるアケドラタツクロ。
「それでは皆さんは今回のクーデターに参加した種族全てを根絶したいと?」
人と魔物を一緒にするな!そんな言葉を皮切りに暴動の直前まで加熱していく。それを見て失敗したと思うホーエンハイムに、何やら思惑がありそうだなとアケドラタツクロを見るエイト。
「この2人は先日愛する妻との子供が産まれました」
いきなりのカミングアウトに集まった人だけではなく、2人も思考が止まる。
「あれ?おかしいですね?私もその場にいましたけど、皆さんのおっしゃる野蛮な魔物達は涙を流して喜びましたよ?産まれる前から心配して、その後も子育てや色んなことをサポートしてくれてる」
そこからアケドラタツクロ得意の熱弁で、友魔達やジートルドから聞いた過去の大変さやジン達との出逢いをドラマティックに語った。そして孤児院という環境と血のつながりのない家族ということも。
「私は見ての通り、口が達者なだけで信用出来る人間じゃないかもしれません。けどこの若くして苦労と努力を重ねた2人を見て知性のない魔物と一緒だと思うような人達はこちらからもお断りです。3日、宿泊費はこちらで持ちます。その間しっかり考えてください」
演説が終わると犬耳少年と、普通の人間に見える少女が前に出た。
「あの!僕達は違う種族の獣人兄妹です。見ての通り妹は獣人の血があまり出なくて、周りからは酷いこと言われたりしました。そんな僕達でも受け入れてくれますか?」
アケドラタツクロが2人に目をやる。自分じゃなく君達で。そう合図した。
「こんにちは、僕はホーエンハイム」
「僕はエイトだよ」
「似ていない兄妹だってエイト。本当にそう思う?」
「目つきとかそっくりだよ。それに妹を庇って少し前に出てる優しいお兄ちゃんで、僕達が話しかけたらお兄ちゃんを心配する優しい妹さんだよねホー兄」
「えっ、兄弟なんですか?」
「そうだよ。さっきアケドラタツクロ様が言った通り僕達血は繋がってないけど兄弟だ。他にもお姉ちゃんや妹や弟もいっぱいいるよ」
「だから獣人の血が表に出てないなんて小さいことじゃないか」
「こんなに思いあった似てる兄妹に酷いこと言う人なんて孤児院には1人だっていないよ」
「ほんとうですか?わたしおにいににてる?そっちにいったらともだちできる?」
「似てるよ。むしろ友達になってよ、ねえエイト?」
「うん、ホー兄」
「それでしたら僕達兄妹は今すぐにでもそっちに行きたいです」
そんな兄妹のやり取りを見てすぐに行くことを決める者、考えたいと言う者、ふざけるなと帰る者に別れた。
すぐに孤児院に行きたいという2人の気持ちを優先して魔法で移動し一度帰ることに。
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