疲労困憊
「ヴィティ。今何階?」
「鎌倉幕府ですので」
箱か国かで教えが変わってるの知ってるぞ。
「体制がどうとかじゃなくて征夷大将軍のことがあるので国なのが常識ですので」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。そしてこれはヴィティ個人の意見であり、他に対する意図はありません。
「まだ出てこないー」
「魔物も少し変なの増えてきました」
確かに下半身が人で上半身が魚の半魚人やら人面犬とかめっちゃ動きが早い鬼の顔した婆さんだったりと珍魔物がいっぱいだ。
ここで粘るのと降りるのどっちがいいかな……。
「降りてよぉ。このまま世界のダンジョン記録を断トツで塗り替えてほしぃのぉ」
……。
……。
嫁二人が固まってる。俺的には見た目と声のギャップは割と普通よりの展開だと思ってるからイマイチ。
そう。チンチラがタバコの似合う渋いオッサン声で甘えた話し方をし出しても驚かない。
驚いてないぞ。仮にも神様の眷属だしキモいとか思ってない。
「そんなくだらない理由でドロップをケチってるですので?」
くっ、コイツまさか!
「そんなわけないよぉ。アース様の眷属として恥ずべき行動なんてしないんだからぁ!」
「まぁ、眷属の匙加減で出来上がるならカサネ様のダンジョン行けばいいだけですので」
とりあえずは珍魔物出すのはやめてほしい。最近の魔物半分くらいは故郷での都市伝説や怪談であるようなのばっかりだ。
あとアース様はイルカといい、見た目ギャップが好きなのか?
「メイは下に降りてもいーよー」
「私も同じ場所を周るより新しい場所に行きたいです」
違う。話をさっとこのチンチラとの会話を終わらせたいんだ。となると俺の行動は一つか。
「うん。わかった。どんどん降りてくわ」
「ありがとぉ」
「なんかこのダンジョンで一番疲れたかも」
「ええ、ちょっと私もなんか疲れたわ。でもここで止まったら出てきそうな気がするの」
「二人ともサクサク行こー」
あの眷属そんなに嫌だったのか。悪い奴じゃなさそうだけど、でも進むのは良いことだ。
けど、進んでも出てこない。二人も意地になってるのか休憩時間もどんどん短くなってる。物欲センサーが仕事してるなぁ。
「なんで出てこないのー!」
「あぁ、早く終わらせてジンとお風呂にゆっくり入って洗いっこしたいのに……」
いや、したことないぞミラ。そんなことしたら我慢出来ないから。
ちょっと待てよ。不老長寿の薬を探すときも同じ状況だったな。
「二人とも!1回ゆっくり休んでから再開しよう。皆でゆっくりしないと俺の心が駄目になりそうだ。アケドラタツクロに連絡したらおっきな仕事はないみたいだし」
「じゃあジンさんと添い寝するー!」
「この状況で独り占めはダメよ。ヴィティちゃんだってゆっくりしたいわよね?」
「ミラ様ありがとうですので!」
ここなら自分の年齢も省みずに人目も憚らず嫁達と団欒出来るし、このハマった状況をリセットしたい。
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拙い文なので誤字脱字多いと思いますが報告等あれは対処します。




