捕縛
「起床と拉致と拷問タイムが始まりました!」
イルが俺達の部屋までやってきた。俺はいいけどミラとメイは起こすなよ。まだ深夜だ。
「何人でどこにいますか?」
「4人でのそのそ塀を登ってる所」
探索魔法で位置を把握して変な動きをしたら粘着ワイヤーで捕まえるか。
そう思ってたら孤児院に忍び込もうとしたので縛り上げた。
「あなたがたはどこの誰さん?憲兵に出されるなんて甘く考えないほうがいいですよ?ここは既にただの孤児院じゃあない。
"あの"フジーラ家とストレイト家が合同で仕事を頼んでる所なんだ。このまま黙るなら普通の罰則で済むと思うなよ」
ああ、権力を盾にする嫌な貴族になったもんだ。でも、そのくらいはしないとギルド絡みなら有耶無耶になるかもしれない。
冒険者ギルドは野に強すぎる力を持たせないため国営だけど、他のギルドはほとんど民間企業だ。
不可侵や国も文句言えないとまでは力はないが、それなりの影響力はある。なにしろ商会ギルドがその気になれば物資が賄えなくなるのだから。
「フジーラ家絡みって嘘だろ?そんなこと聞かされてない。もしそうなら国家反逆罪じゃないか。」
「あそこの当主は優しいが、国王はフジーラ家に敵対したものは良くて親族も死刑にするって聞いたぞ」
良くて親族も死刑って厳しすぎない?
けど、上からの指示でやってることはわかった。
「まだ処分も決まったわけではないですよ。正直に話すなら」
「話す!俺は娘の命をフジーラ家の戦力部隊に助けられたことがあるんだ!だからせめて俺の命だけで済ましてくれ!」
1人がゲロったら他の人達も素直になる。
後ろでイルカが一族郎党♪市中引き回しの上♪鋸挽で首切り♪獄門♪さらし首♪と歌ってるのも効果あるのかも。
「鋸挽は江戸時代では罪人の首を切る市民はいなかったけど、元禄時代にはいたので幕府が監視役を置いたのは有名過ぎて常識ですので」
うちのヴィティがイルカに毒された。戻ってきてくれ。
あっ。俺の首に顔を擦りつけてる。やっぱりヴィティはどこぞのイルカとは違うな。
事情はわかった。事実確認もしたいし、とりあえずアケドラタツクロに連絡だ。
ってすぐ来たな、確か人前だとマサさんって言わなきゃ駄目だったか。
「ありがとうございますマサ様。わざわざお越しいただいて」
「何、ストレイト家当主ならマサでいいよ。いや、こちらこそ助かるよ。でこいつらが話に出てた」
ギロッと睨むと小さくなる4人。
「イカニップの商会ギルドの幹部候補ね。その程度が欲に駆られてってのは無謀が過ぎるし、ギルドの末端を使うのもお粗末だ」
つまりまだ裏があると、探索魔法の範囲を広げるか。
いた!木の上に登って単眼鏡だなんてテンプレを分かってるじゃないか!
移動魔法でそいつの後ろに行き、捕まえ孤児院に戻る。
「ああ、コイツは王家の親戚筋のエパタイ家が保有してる密偵か。俺を甘く見るなよ?」
こっからは俺の出番は無さそうだ。部屋に戻り寝るとするか。可愛い嫁さんは2人共目が閉じかけてるし。
しかし王家の親戚筋に唆されたとは言え何故犯罪行為を?他の人から見たらオーバーテクノロジーの塊で手に余るのは分かってるだろうに。
『欲に駆られた愚か者は理屈じゃない行動するのは常識ですので』
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拙い文なので誤字脱字多いと思いますが報告等あれは対処します。




