一章プロローグ~借金返済としたいこと〜
「さて、ソロ冒険のデビュー戦だ。気合い入れてこう!」
1人なので夕方の6時まで狩りをする予定だ。なんとミラが弁当を作ってくれたので帰りにおみやげでも買えるだけ稼がないと。
街の外側で人目につかない所に移動魔法をセット。魔法の名前を考えようかな?
パッと出てくるのが国民的未来道具か、国民的RPGの移動魔法しか出てこない。
「無難にワープかゲートかなぁ」
セットが終わり目視による移動魔法を使い森の近くまで来る。
「この魔法はテレポートでいいな」
探索魔法を使う。ここら辺は土の中に隠れたり空を飛ぶ魔物がいないので、膝、腰、肩から円状の魔力を放射する。
蝙蝠の超音波の仕組みだ。前回の時もほとんどこれを使って見つけたのだ。
「早速いた」
探索魔法を使うまでもなく斜め前にいた。草原なら目視のほうが魔法より早そうだ。死角にだけ定期的に使おう。
今回は身体を慣らしたら森の入り口まで入るつもり。
魔物の死体だけじゃなく、木も斬り倒してニーナさんに渡せば木材に早変わり。
葉っぱを焼いたりすると魔物の集まりが早い。お昼前にゴブリンを12匹、コボルト5匹、オークを2匹と大漁だ。
時計と麻袋10枚や壊れた武器と衣類を買ったので4万イェーンはすぐに消えたので、残りの借金20万イェーンを出来れば今日中に集めたい。
衣類はカサネ様の好意でアイテムボックスに3着有ったのだが、ちょっと高価なのと2着が迷彩柄なので街で着る服がないのだ。
「うん。美味しい。正直ミラは食べる専門だと思ってた。ごめん」
魔法で作った椅子とテーブルを片付け森へ向かい、門の近くのワープゲートと繋げて、と。
さて、木材だけど、どうしようかな。
風魔法で切ったら大惨事。俺やっちゃいました?は避けたい。
木を切る常識
『プロでも木が倒れる方向を間違えて下敷きなる事故が起こるので気をつけてやるのが常識』
……ま、色々試せばいっか。
まずは、身体強化して正拳突き!
これは拳分の穴が空いただけ、爆参して倒れなかったか。何度か殴り、最後に蹴り倒した。
次はカサネ様のアイテム普通の剣だ。これを身体強化+物質強化して、斬る!
切り終わった後ずるりと落ちる樹木。そしてこっちに倒れてくる。
「あっぶねー。さっきの常識が直ぐに役立った。さっき役に立たねーなとか思ってごめんなさい」
違う生き物が入ったからなのか、騒がしかったのかはわからないけど、森の中から魔物がぞろぞろと現れた。
異世界妄想を続けた俺がスタンピードの対策してない訳がない。今なら妄想じゃなく、そのための魔力があるんだから。
身体強化したまま足下から魔力を蜘蛛の巣状に張っていく。隙間は小さく取り逃がさないためだ。
地面を蹴り高く跳ぶと同時に、蜘蛛の巣状の魔力に強めの電気を流す。
バタバタと倒れてく魔物達。指輪4個の1つを発動させる。壊れた武器から鉄を溶かし、鋳物で作った指輪だ。それぞれ違う機能が付いてる。
指輪は人差し指と薬指に両手に着けてる。
時間停止付きの縦20m横20m高さ5mの重さ0の【生き物が入らない】アイテムボックスだ。
これの入れれる条件は触るか半径10m以内で、目視出来てるのが条件だ。
目視出来なくても入れる物を把握して場所が正確なら入れれる。これの条件は部屋の忘れ物を取りに戻らなくてもいいくらいしかないだろう。
探索魔法と指輪アイテムボックスの同時発動で死体は無くなり、残った8匹に止めを刺す。
ん?なんか焦げ臭い。
臭いに釣られて首を向けると森に火が着いてる!
きっと電気を流した時に着いたか、魔物に火の魔法を使われたかのどっちかだ。多分魔物の魔法だ!そういうことにしよう。
「くっ、魔物め。冥土の土産に嫌がらせしたな」
無事消火が終わり茶番劇をして罪を擦り付ける。
「残りの指輪の性能も試したかったんだけどなぁ」
そういう気分じゃなくなったので不満を独りごちる。
ギルドに行き換金を済ませる。結果。
ハイオーク1匹30万イェーン
オーク4匹で40万イェーン
ハイコボルト2匹で4万イェーン
コボルト11匹で3万3千イェーン
ハイゴブリン3匹で1万5千イェーン
オーク種は食用として需要が高く、強さと換金のコスパが良く、脱初心者冒険者のカモだそうだ
借金返したら残り58万8千イェーンか、それならと獲物の買い戻しを10万イェーン程した。
ちょっと懐に余裕が出来たので安心。ゴブリンは実験に使いたいので換金はしなかった。
換金も冒険者毎に各倉庫で担当がするので、グリフォンやワイバーンを出しても騒ぎにならない。そもそもこの街ウバリ周辺にそんな強いのはいない。
皆のお土産何がいいかな?マーヤさんにお金を渡したいけど、多分お金は失礼になるな。おっ。あれにしよう。
「「「おかえりー!」」」
庭にいたミラと、棚を作ってる女の子はメイだったかな?メイと棚を作ってる男の子は確かエイトだ
「ただいま、ミラ、メイ、エイト」
「もう覚えてくれてるの兄ちゃん!」
「もっちろん!」
エイトは俺のお尻を叩きながら喜んでくれてる。
「ジンさん。その指輪は何?」
ミラが震えながら聞いてくる。自分の両手を見るけど、凄くダサい。まぁ、正直に言おう。ファッションじゃなく装備だと。
「昨日夜中に庭で自作した装備だよ。俺にしか使えないけど、1人で狩りをするのに便利な機能を付けたんだ」
ミラとメイは安堵のため息をつく。かなり大きなため息だ。そこまでダサいのか、今度作るときは見た目も拘ろう。
空気を変える手段が俺にはある。
「実は皆にお土産があるんだ。」
途端に目をキラキラさせる3人。
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