地下
今作は、前作とは打って変わって暗い雰囲気を明確に示唆している作品だと思います。
ストーリー重視で書き込んでいますので、文学的情緒にはいささか欠けてしまっているかもしれません。
では、楽しんで読んで頂ければ。
※タイトルの読み方は「どれいきょうのれんびょうし」でOKです
よくわからない。こんなことをしても仕方がなかったはずだ。
「.........」
僕と彼女は地下の同じ屋根の下で、お互いが俯いていた。この屋根というのは僕のもので、しかしながら、その僕でさえまるで炎天の異郷に巣くう蝙蝠のように、ぴりぴりとした緊張感に支配されていた。
これ以上、口が開かない。あるいは彼女を黙らせるべきではなかったかもしれない。
悟られないように顔を上げてみると、決して僕が道を誤ったわけではないと錯覚させるような、純粋な少女の丹念に梳かれたおかっぱが柔らかく見えた。俯いた顔の中で、赤みを帯びた瞳が狂おしく輝く。
依然、彼女の視点は低い。しかし、床はドライでいて少し埃を被っていた。
「...何か、欲しいものはあるかい?」
こう放った時の自分は、一体何者なんだ、と思ってしまった。彼女との関係が複雑に絡み合って、鵺のような姿を持っているみたいだ。
夜間の長閑な森林に挟まれた、狭い道路の端で彼女を目にした覚えがあった頃には、僕は既に車の後ろで彼女を縛り終えていた。彼女を所謂めちゃくちゃにする妄想もしていた。
だが、運転席に着いた時を目処に、僕は不可解な走馬灯でうなされるようになった。僕は純潔なはずだった。真面目なはずだった。無駄なことは嫌いだったはずだ。
「よう、あきら。そっち夏休みいつ終わるんだっけ?」
今まで築いたものは全て烏賊墨でできていた。そんなもの、森の中で腐葉土として失せてしまえばいい。
そう思いたかったはずなのに......。
※ESN大賞を目指して10万字越えを狙いますので、もしかするとこの文章は後から大幅に改変される恐れがあります。ご了承ください




