護衛依頼
俺達が受けた護衛依頼は約4日ほどかけ南の町へ向かう。
道中には多少深い森があるが、強い魔物は基本的にいない。護衛を雇うというのも(居るかは分らないが)盗賊への牽制目的らしい。
「そういえば、キヨシさん達はどうしてこの依頼を受けたんですか?」
商隊が町を出発したその日、ケリー君が俺に質問をしてきた。
一昨日聞こうとしたのはそのことだろうか?
「ああ、俺達はこれから南のエルフの里へ向かっていてな。南方面でする依頼が無いか探したらこの依頼があったから受けたんだ。」
「おいあんた、今エルフの里に向かうと言ったか?」
一緒に依頼を受けている冒険者のパーティーの一人が話に入って来た。
「あ?ああ、そうだが・・・何か不味いか?」
「まあな、最近どうもエルフの里できな臭いらしい。詳しい事は分らんが、もし行くなら気負つけた方が良い。特にそのハーフエルフの嬢ちゃんはな。どうやら純血主義が暴走しているらしい。」
純血主義か・・・
エルフのなかには純粋なエルフであることを誇りにして人と交わったエルフや人との間に生まれたハーフエルフを憎む過激派が存在する。
彼らの言い分としては『自分たちは自然の神々に認められた高貴な存在で争う事や繁殖力しか能のない野蛮なやつらと交わった者たちの魂を解放する!』というものだ。勿論、大半のエルフがそんな過激な思想を非難しているが、中には自分たちが偉いと思った馬鹿どもが暴走してエルフの里でテロなどをするらしい。
争うことを野蛮と言っているやつらが暴力で訴えるのはどうなのかと思うが、そこら辺も考えずに行動しているんだろう。
因みに、俺からしたら心底どうでもいい。元々エルフじゃなくて人間だし・・・そもそも肉をパクパク食うし・・・ひょっとして俺、純血主義だろうか、そうじゃなかろうが問題視されないか?エルフの里では肉類を食うのは自重しよう。
「そうか・・・忠告ありがとう、行く際は警戒をしておく。」
「里帰りか?」
「いや、どちらかというと興味半分だな。俺はこの先にあるエルフの里以外の別の里出身なんだ。本来の目的はその先の国なんだが、ついでにエルフの里に向かおうと思ったんだ。」
「ほ~、南以外にもエルフの里なんてあったんだな。」
「ああ、かなり強い結界がはってあってな。毎年のメンテナンスの時以外は基本的に閉鎖的らしい。俺もたまたまその時に外部へ出てな。あの時は大変だったぜ。身一つで急に外に放り出されてな。」
「大丈夫だったのか?」
「今こうして生きてるのが答えだ。結果として娘も出来て旅に出てるしな。」
結構嘘八百を並べられるな。詐欺師として活動したら大成するだろうか?いや、そんなことになればルインに頭撃ち抜かれそうだから止めとこう。
「それでケリー君、俺も君に聞きたいことがあったんだ。一昨日、一体何を聞きたかったんだ?聞きそびれてしまってな。」
「あ、はい。あ、あの・・・」
やっぱりまだ少し緊張しているな。何か甘いものでも作ってやるべきだろうか?
「き、キヨシさんは、どうやって銀証まで昇格したんですか?」
やっぱりそういう質問か
「あ~、俺の場合はな、スプリウム帝国の都市に邪竜が攻めてきたのは知っているか?」
「ええ、知ってます。当時はこの国にも攻めてくるのではないかとヒヤヒヤしましたから・・・まさか!!キヨシさんが退治してくれたんですか!?」
「いや、そっちは俺じゃない。ルインが対処した。俺はルインがそいつと殴り合っている間、そいつの取り巻きを蹴散らした。」
「え!?あの女の子が!?」
ケリー君は「グリン!」と音が鳴りそうな勢いでルインへ振り向く。
「見た目で判断するなよ。純粋な攻撃の威力では俺より上だからな。」
アスナン曰く俺の技ははたから見たら呪いを使用した身体強化に見えるらしい。対してルインは純粋な本人の実力に見えるらしい。俺もそれなりに派手な技を多用しているが、ルインと比べると派手さがしょぼいらしい。
「お父さん、何か自分は大したことないように言っているけど、お父さんその『取り巻き』っていうやつらを4000体近く屠っていたでしょ。私、その半分もなかったんだからね。」
「4000体!?」
「それはお前が邪竜戦で時間食ったからだろ。俺はお前に雑魚が寄って行かないように奮闘しただけだ。面倒ごとを娘に押し付けたんだからそれくらいはするさ。」
「す、すごい・・・話のレベルについていけない・・・」
「無理についていくるな。お前はお前のペースで向かえばいい。俺達は棚ぼたでこの位を手に入れただけだ。」
「いや、魔物4000体と邪竜倒し解いてそれで手に入れた立場を棚ぼたとは言わんだろ・・・」
もう一つの冒険者のリーダーがすかさず突っ込む。
しかし、清もルインもスルーした。普段はどこかおちゃらけた顔を少し険しくしながら・・・




