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護衛依頼

「う、うう・・・」

40分ほどして御者さんが目覚めた

「大丈夫か?」

「こ、ここは・・・あなた達は一体だれです!」

御者さんは俺たちから離れると隣で寝てた少女たちを庇うように急に起き上がった。そりゃそうだ、さっきまで魔物に追いかけられて気が付いたら目の前に見知らぬ二人組がいるのだから。なお、言語に関してはルインのQueen(知識)ですでに解決済みだ。この能力はこの世界の全ての言語と生き物に関する知識や礼儀作法を1度に覚えられるという優れものだった。ルイン曰く神様になるならほとんど皆覚える力なのだとか。

閑話休題(そんなことより)今は目の前の状況だ。

「落ち着いて、あなたさっきまで大けがしてたんだから急に動かない方がいいわ」

「は!そうだ魔物、魔物がそばに!」

御者さんは辺りを見回すが魔物を一匹も見つけられず困惑しているようだ

「あんた達を襲っていた魔物は全部蹴散らした。いまその肉を使って簡単なスープを作っているところだ。俺たちは親子で旅をしている者でこいつは娘のルインだ。あんたたちの怪我は娘が全部治したたぶんそこで寝てる子もすぐに目を覚ますだろうな。」

「はじめまして」

こういうとき勝手とはいえ転生神様の無理のない設定が役に立つ。

「そ、そうでしたか。ありがとうございました。」

「う、ううん」

「う~」

「!お嬢様!」

「エマ!魔物は?助かったの?」

「はい、アインお嬢様アスナンお嬢様。こちらにいる親子の冒険者により助けられました。」

「あ、ありがとうございました。おかげで命拾いしました。」

アインと呼ばれた子は外見15歳位の少女だったとってもおしとやかに見える。

「あ、あの、ありがとうございましゅ!」

アスナンと呼ばれた10歳ぐらいの少女は噛んでしまった

「気にしないでくれ。成り行きで助けただけだ。」

「お父さんそんなこと言って、悲鳴を聞いたとき一目散に飛んで行ったくせに」

余計なことを言わんでよろしい。何とも言えない沈黙が周りを支配した

「・・・そんなことより」

「は、はい。」

「どうしてあんなに大量の魔物に狙われてたんだ?護衛なしで魔物があんな大量にいる地帯に来るのはおかしいと思うんだが。」

「元々は冒険者を雇いました。町でも有名な冒険者だったため期待していましたが・・・」

「あいつら、魔物が大量に来た時に悲鳴を上げて逃げたの!頭来ちゃう!!」

「それは、災難だったな・・・」

「お恥ずかしい限りです。それで、助けていただいた報酬の件なのですが・・・」

「グゥゥゥゥ」

その時、可愛い音が鳴った。音のなった方を見れば顔を赤くして俯いているアスナンがいた。

「とりあえず、飯にするか。簡単なものしか出せないが我慢してくれ。」

「い、いえ。お気になさらず・・・」

「ダメだ。腹が減った奴を前に自分だけ食事すると気分が悪い。」

「し、しかし・・・」

「じゃぁ、それが報酬だ。俺は報酬で君たちに一つ指示を出す。君たちはそれに従う。指示の内容は一緒に食事をとる。」

「・・・」

御者さんと妹の方の娘さんがポカンとしていた

「でもそれは・・・」

「でももストもない。第一これは俺の自己満足だ。」

「わ、分かりました。」

作ったスープは狼肉と周りに合ったヨモギを使ったスープだ。器と食器は適当に木を切ってルインに作ってもらった。勿論毒がないことも確認済みだ。地球のヨモギと違いかなり塩味が強かったが、意外と狼肉のうまみが強くあまり気にならなかった。

「お待ちください、お嬢様」

御者のエマさんが毒見をした。

「・・・問題ありませんお嬢様」

「ええ、頂くわ。あら、意外とおいしいのね。」

「素材がよかったですからね」

その後、特に何か起こることもなく、食事は終わった。


「あの・・・」

食事後、エマさんが俺のところへ来た。

「何だ?」

「その、申し上げにくいのですが。近くの町まで護衛をしていただけないでしょうか?」

「いいぞ」

「ええ、そうですよね。成り行きで助けたとおっしゃっていましたから予定も・・・へ?」

「いや、だから別に構わないぞ。元々俺たちもその街に行く予定だったからな。」

「あ、ありがとうございます。それでお報酬の件ですが」

「正直言って相場が分からんから何とも言えんし元々俺たちはかなり辺境の地からきてな。ここら辺の通貨も身分証も何も持ってないんだ。だからそっちの言い値で構わん。」

「分かりました。それでは、金貨5枚でいかがでしょう?それだけあれば2週間は生活できます。」

「わかった。それで頼む。」

別に俺たちは食事しなくても生きていけるのだが、そこは言う必要はないだろう。何だかアスナンが俺の事を期待のある目で俺を見ていた。

「お~い、ルイン」

「何?お父さん?」

俺はルインに護衛として雇われた旨を伝えた。

「分かった。じゃぁ、私は馬車の中で警戒してるね。お父さんは馬車の外で警戒していて。」

「おう、譲さん達の相手を頼んだ。」

そういい、俺は気配察知を発動しながら御者さんの隣に座った。こうすることで後ろからの攻撃にも警戒が出来る。何だかアスナンが寂しそうな目で俺を見ていた。

毒剣(ヴェノムソード)!!」

俺は最低限の装備だけつけて周りを警戒した。


特に厄介な魔物や盗賊も現れることなく護衛の依頼が終了した。

馬車のサイズからわかる通りかなり有名な人だったらしく。門番さんとひと悶着あったが仕事は終わり、俺たちは雇い主の館に招かれた。

「ありがとうございました。これが報酬の金貨5枚です。」

「ありがとう。ところで、冒険者ギルドがどこにあるか教えてもらってもいいか?」

「冒険者ギルドでしたら、町の門から見えた赤い屋根の開けた建物です。冒険者登録には代金は必要ありませんがいくつか試験を受けます。もっとも、あの数の魔物を蹴散らしたあなた方でしたら余裕でしょうがね。」

「ありがとう。ところで・・・いつまで腕に抱き着いてるんだアスナン?」

何故かアスナンが館に入ってから俺の腕に抱き着いている。いつの間にか懐かれたようだ。

「あら?いけませんか?」

「正直言って動きずらい。」

本当にどうしてこうなったのか・・・

「多分お父さんが暴れてたのを見たからじゃないかな?アスナン様、アイン様やエマさんと違って軽症で治療してもすぐに気絶しなかったから。馬車の中でもお父さんの事よく聞いて来たし」

「ウフフフフ。」

「お嬢様、清様は冒険者登録に行きますのでそろそろお離れください。」

「むぅ、仕方いないわね。」

やっと離れてくれた。普通あんなに暴れたら多少なりとも引かれるものだが若い子の考えはようわからんな。

「それじゃぁ、またな。」

「はい、お気を付けください。もしご縁がありましたらまた護衛依頼をお引き受けください。」

「ああ、気が向いたらな。」

そういって俺たちはアスナンからの熱烈な視線を受けながら冒険者ギルドへと向かった。


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