前世の話
聖子との戦闘後、俺は控室でルインの戦闘が終わるのを待っていた。
「おじさん、少しいい?」
控室で待っていると、聖子が俺に質問してきた。
「何だ?ルインに関する取引ならせんぞ。娘はやらん。」
髭でも生やして威厳のある感じにしたほうがいいかな?あれ?そういえばエルフって髭って生えるのか?
「あ、いやそっちの事じゃないんだけど・・・」
何だか、聖子の歯切れが悪い。
「どうした?何かあったか?」
「うん・・・端的にいうけど、おじさん『二ホン』って国に心当たりない?」
聖子が『二ホン』という単語のみ日本語で話した。
「ああ知ってるぞ。」
特に隠すことでもないしな。
「やっぱり、じゃぁおじさん、転生者ってやつなんだ。」
「ああ。一応言うが、ルインは転生者じゃないぞ。」
神様だしな。
「あ、ちがうんだ。てことは素の実力であの技量なんだ・・・」
「というか今更だが、なんで敗退したのにまだここに入れるんだ?」
基本的に敗退したらそこで終わりだったはず。
「知り合いにここのお偉いさんがいて融通してもらったよ?」
特に悪びれもせず言いやがった。それって、毒かなんか盛っても黙殺できるって事か?俺に毒は効かないけど。
俺の探るよう視線を感じたのか聖子は慌てて、
「い、一応言うけど、別に何かズルした訳じゃないからね!前にグラクさんを助けた時の恩を相殺してもらっただけだから!!」
お、おう・・・まぁ、戦った感じ、こいつは真っすぐな性格だろうな肉体言語をすれば大抵は人の本質の分るし。
脳筋な思考をしながら、聖子がどういう性格かを考える清。実際、彼のこの思考が外れたことはあまりないため、あながち間違いという訳でもないが、盲目的に信用するのもどうかと思う。もっとも、たとえ間違っても彼の命を害せるような存在はあまりないだろうが、その時はその時と割り切っている清であった。ポジティブなのか馬鹿なのか判断に困るところである。
「と、ところで!」
脱線しかけた会話を聖子が強引に話を戻した。
「おじさん、前世ではどんな人間だったの?」
「はぁ?」
それを聞いて何になる?
「あ、いや・・・私知り合いもいないこの世界にいきなり来ちゃったから、少しでも同郷の人と話がしたくて・・・」
「・・・だとしてもいきなり前世のことを話すのはどうかとおもうぞ。プライベート云々がある。」
「あ、ごめん・・・」
「そもそも、俺とお前にの前世が同じ世界かは分らんぞ。」
「へ?そうなの?」
「当たり前だ。そもそも、こことお前のいた世界しかなかったら、お前の世界にあるものがもっとあってもおかしくないだろ?いくつもの世界を経由することで、それぞれの世界の特徴を少しずつ吸収していくんだ。結果的に文明のあまり発達してない日本、魑魅魍魎が跳梁跋扈する日本、孔明とナポレオンがボカスカ殴り合っている日本もある。」
「前二つはともかく最後のはありえないでしょ!?」
うん知っている。半分ボケた。だが、
「可能性はゼロではないありえんだろうがな。話を戻すと、おれは比較的魔素の多い世界からきたから、魔法や多少気色悪い魔物を見ても特に動揺はなかったぞ。地元に似たようなものがあったからな。お前は?」
「魔素ってのがあったかどうかは分からないけど、魔法はなかったよ。魔物は比較的いたから、重火器はその時の戦闘で使われてた。」
なるほどな。
「話をもどすと、俺の前世の話をしてもほぼ確実にお前とは世界が違うことが分かったが、それでも聞くか?正直訳分らんことが多すぎてあまり面白くはないと思う。」
「ううん、話して!聞きたい!!」
「?本当に面白くはないぞ。国相手に喧嘩売ったり、全人類を敵に回しかけただけだぞ?」
「何その大冒険!?逆に興味沸いたよ!!」
「基本的に俺は自分の欲望のままに動いているだけだ。」
その後、結局聖子の好奇心と勢いに負け、前世のおれの武勇伝を語った。
ちなみに話を聞いた後、聖子曰く
「あんだけハチャメチャしてたら、そりゃ叔父さん硬くなるよね。」
何故か清の肉体の異常な硬さに納得されたらしい。
因みに、清は自身の硬さを肉体が環境に適応したと考えていますが、それを証明する方法がないため、自分でも理解はしていません。実践して試そうにも、普通の人がやったら確実に死ぬことは理解している為試せない現状ですが、本人は特に気にしていません。




