護衛依頼再び
さて、長い事この都市に滞在し続けてしまったが、そろそろ他の都市に向かおう。元々の目的はルインに地上世界の人の営みを教えることだから、もっとたくさんの都市に向かわないと。そのための長命種の肉体だし。
「あ、お父さんこれ。」
「ん?」
ルインが指し示した依頼は護衛依頼だった。依頼人はこの町に来る際に助けたアインとアスナンだ。
「王都まで護衛か。報酬は…金貨7枚!?」
日本円換算70万円。危険が付きまとう護衛依頼でも破格の額だ。
「貨幣の種類を打ち間違えたのか?」
「たぶん間違ってないと思う。」
どういうことだ?
「王都までの道のりにどうしても通らなければいけない森があるんだけど、そこはかなり危険な地帯らしい。ほら、この町に来る直前、アインさんやアスナンさん魔物に襲われてたでしょ?」
ああ、あの腕利き冒険者を雇ったが魔物の群れを見て尻尾巻いて逃げたとかなんとか。
「となると、これはかなりランクの高い依頼って扱いになるのか。それで・・・」
報酬とランクが高いわけだ。
「丁度いいんじゃない?他の町に向かえるなら。」
「だな。」
俺たちはこの依頼を受けることにした。
同日、アイン・アスナンの屋敷において
「お久しぶりです。キヨシ様、ルイン様。」
「久しぶりだなエマさん。」
「お久しぶりです。」
俺たちは依頼を受けたことを雇い主に伝えに来てた。
「それにしても驚きました。僅か1カ月以内で木証から銀証まで昇り詰めるとは…」
「成り行きで突っ込んできた魔物をボコってたらなっただけさ。」
「そう言いながらお父さん、新人冒険者のために危険度の高い依頼を優先的に消化してたよね。」
言わないでくれ我が娘よ…口で言われると何だかこそばゆい。
「まぁ、オーガやらヒドラやらがポコポコ現れたのも全部あの邪竜が原因らしいから、俺たちが離れても厄介な魔物はそうそう現れないだろ。」
実際、ルインが邪竜を討伐してからそこまで危険度の高い魔物は出てない。おかげで俺たちも楽をさせてもらった。
「すごいですね。初めて会った時も魔物の群れを倒して、巷に流れる『天災親子』なる噂も真実味が出てきます。」
「「『天災親子』?」」
詳しく聞いたところ、広範囲散開毒殲滅砲やらルインVS邪竜との戦闘やらそこで見た人たちの話が噂となって尾びれが付いているらしい。今じゃ俺が3万体超えの魔物を屠ったり(実際は4000体前後)ルインが上級悪魔と殴り合ったり(実際は邪竜。)と収集が付かなくなっていた。
閑話休題。
「ところで、王都までの予定道中を教えてくれないか?」
「あ、わ、分かりました。」
「?どうかしましたか?」
「いえ、申し訳ありません。普通冒険者たちというのは荒くれ者が多くて、基本的にその場凌ぎでどうにかしようとする輩が多く、少し戸惑ってしまいました。」
確かに腕利き冒険者の大半は脳筋なイメージがあるな…
「少なくとも、俺たちはある程度対策をしてから出発した方がいいと思う。道中の食料やどの辺りが危険かを判断して警戒の度合いを高めた方がいい。大抵のことで危険な目に合わすつもりはないが、万一もある。」
「お父さん、護衛依頼に関しては石橋を叩きすぎて打ち砕いちゃう人間だよね。というか、お父さんが橋になった方が十分丈夫だと思う。」
「その時はお前も一緒に橋になるぞ。」
「止めとくわ。私、橋は渡らないで空を飛んでいくタイプだから。」
「橋の存在意義を壊すなよヲイ。そんなことより、予定道中はどうだ?一応地図は持ってきたが。」
「かしこまりました。」
それから、一時間ほど、どのように王都へ行くか、どの辺りが危険な場所かをみっちり話し合った。
「エマ!キヨシ様が来ていらっしゃるのですか!」
ドアをバタンと開けてアスナンが入って来た。
「お姉さま待って下さい。」
少し遅れてアインが入って来た。
「ほう、お主がキヨシという者か。」
そしてもう一人、見知らぬ老人がいた。




