少年少女の奮闘
俺がその人に出会ったのは単なる偶然だ。意地の悪い貴族に借金をさせられて、仲間を助けたいと思って借金額と同じ金貨3枚が報酬のオーガを討伐する依頼を受けようとした時、そいつと出会った。
始めは、喧嘩口調だったから、嫌な奴かと思ったけど、全然違った。むしろ、かなりいい奴だった。初対面なのに俺の祖先がニホンジン?とかいう理由で助けるし。依頼をしている間も、おどけた内容の会話をして俺たちをからかってくる。だけど、そのからかいの内容は決してほらではなっかった。
討伐対象のオーガの群れに遭遇した時、毒々しい翼が背中に生えたかと思うと、一瞬でオーガの群れに突進しやがった。
無論、俺たちは(ルインを除いて)呆気にとられた。
翼の生えたのもそうだが、いきなり軽く見ても3㎞はある距離を一瞬で近づいただけでなく、オーガ1体を瞬殺した。
しかし、驚きは長くは続かなかった。清さんは俺たちの方にオーガを1体投げつけて来た(後から聞いたが、盾でぶっ叩いて吹き飛ばしたらしい)。状況が呑み込めていないだろうオーガは俺たちを見つけるとすぐに臨戦態勢に突入した。
「水刃!!」
まずは先制攻撃。牽制ぐらいにしかならないが、それでも十分だ。
「パラライズ・バイト!!」
ウェンディがオーガの動きを封じるために足を切りつける。ただし、オーガの皮膚は固くて刃がまともに通らず、わずかに後を付けただけだった。
「活水!!回転切り!!」
俺は刀身に水を纏わせた刀でオーガの体を切り刻む。だが、それでもわずかに血が流れた程度だ。
血を流されたオーガは憤怒の目を俺に向け殴りかかろうとした。
「ブラスト・スピア!!」
とっさにアメリアがオーガの顔に矢を放って。目を潰した。たとえ固いオーガでも顔などは柔らかいが、遠すぎて俺たちの中では一番射程があるアメリアしか出来ない。
「グァァァァ!!」
片目を潰されたオーガが今度はアメリアに目標を定めた。
「Lightning Beat(電撃拳)!!」
アメリアとウェンディの間にいたルインがもう一つのオーガの目を潰した。
両方の目を失ったオーガは体に電気が走り動きが停止した。
「今だ、『疾風一閃』!!」
「『アクセル・レイド』!!」
「『マルチブル・チェイサー』!!」
「『Burning Smash(炎上落下脚)』!!」
俺の『疾風一閃』で俺が付けた鳩尾の傷を切り、ウェンディとアメリアが同じところを追撃する。それに耐え、なおも反撃しようとするオーガの鳩尾をルインの横蹴りで蹴り飛ばし、技の効果で炎上した。
というか、「スマッシュ」なのに横蹴りなのか?
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
俺たちは一体倒すのにかなり時間を食ってしまい、ルイン以外はみんな意気が上がっている。向こうではキヨシさんが未だにオーガの群れ相手に一方的に蹂躙している。
何か、清さんが切り裂いた部分からボコボコ鳴って溶けてるけど…あれ絶対やばい毒だろ・・・
休む間もなくキヨシさんが次々とオーガを投げて、俺たちに倒させた。同じようなことを何度もしていると、着々とオーガが倒れていったが、戦績でいうと清さんが倒した半分にも満たない。
というか、キヨシさんが異常すぎる・・・鋼をも砕くとかいうオーガの拳を正面から受けて逆にオーガの右腕が折れるとかどんなだよ・・・
30分でオーガの群れは殲滅され、依頼は完了し、休む間もなくキヨシさんは俺たちを連れ他の依頼を進め始めた。
水刃
魔力で生成した水の刃で敵を切り裂く。威力はあるが、射程は長くなく、精密性も微妙
パラライズ・バイト
トリッキーな動きから、麻痺薬が塗られた刃で標的を斬りつける。麻痺毒は一瞬隙を作る程度
活水
水で刀を覆い、水圧で敵を切り裂く。水圧は使用者の魔力で威力が上下する。刀スキルの初心者から上級者までが使う基本スキルの一つ。また、適正属性に水があると水を生成しやすい。
回転切り
技を発動した反動で刀を回転させる。事前に発動した技の効果を引き継ぎ、その技の50%の威力の攻撃をする。
ブラスト・スピア
矢に魔力を込め、一撃の威力を上げる。弓スキルの中では最も連射性が高い。
Lightning Beat(電撃拳)
Cyclone(風),Violence(打撃)の力を内包した技。
威力が高く、その気になれば大木を丸ごと黒焦げに出来る。
雷の力なため、微弱な麻痺効果もある。
疾風一閃
居合技。疑似的な瞬動スキルが手に入り、敵をすれ違いざまに切り裂く。
アクセル・レイド
短剣を高速に振るい、鮮やかな8連撃を繰り出す。
マルチブル・チェイサー
魔力を込め、標的を追尾する特殊な矢を連射する
Burning Smash(炎上落下脚)
Heat(火),Violence(打撃),Metal(大地)の力を内包した技。
足先を硬化させ、対象に炎を纏ったドロップキックを食らわせる。




