どうしてこうなった/(;´ρ`)\
途中で、病気で何日か寝込んでしまったため、今回は少し短めです。
申し訳ございません(o_ _)o))
会場へ入場した途端、楽器を押し付けられて周囲からの視線を一気に集めた清は特に緊張するそぶりを見せるわけでもなく、真顔だったが、内心は酷く狼狽していた。
(どうしてこうなった・・・)
待て落ち着け、ひとまず前回のあらすじを誰かしてくれ。
こんにちは!私、清子!!
大変!!清君が知らない女の子に連れていかれちゃった!!
女の子は当然とばかりに清君を引きずってみんなの前に引きずりだしたの。
一体清君はどうなっちゃうの!?
・・・うん無いな。
自分でやって気持ち悪くなってきた。
だって声がもろおっさん声なんだもん。
ふざけている内にどうやら紹介が終わったらしく、とうとう何か演奏しなければいけない感じになった。
勿論、ここで人違いだと主張することは出来るだろうが、そんなことをすれば先ほどまで熱く演説の様な紹介をしてくれた司会の顏に泥を塗ることになる。
そこを指摘して足元を見てくる卑怯者はいないだろうが、トラブルの種はなるべく紡いだ方が良いだろう。
現在俺が手に持っているのはバイオリンによく似ているが俺の知っているバイオリンよりも一回り大きいので、恐らくこの楽器はヴィオラか何かだろう。
幸いにして俺は地元で楽器関連の習い事を受けていたため、当時習ったことがスキルとして未だに残っている。
今までに使わなかったスキルポイントを使用して無理やり演奏スキルのレベルをⅧまで上げる。
結果として溜めていたスキルポイントの大半を消費したが今はとにかくこの状況の打開だ。
「おお・・・これは・・・」
「何と繊細な・・・」
俺が演奏を始めた途端、周囲の聴衆が歓声を上げた。
現在俺が演奏しているのは、「ワルキューレの凱旋」というワグナーが中世の時代に作曲した有名な曲で、本来はオーケストラで演奏することを前提とした曲だ。
俺は小学生の頃に親に言われて音楽教室に通わされた程度の実力しかないため、本来ならばテンポが速すぎるため途中で何度も失敗するだろう。
しかし、そこはさすがの演奏スキルⅧ、どこをどうやって操ればどのような音がするかが手に取るようにわかる。
恐らく、本来は直感とかに働きかけるんだろうが、俺は予備知識はあるが経験が全く無いに等しい状況で演奏しているため今の状況を比喩するとすれば見えない第三者が頭の中にカンペを出しているみたいだ。
何とか引き終わった途端、周囲から拍手と歓声を頂いた。
どうやら何とか演奏しきれたようだ。
さて、この後はさっさとフェードアウt
「素晴らしい演奏をありがとうございます!!それでは次は、『騒霊の支配者』の代名詞と言われる『飛翔』を演奏して頂きましょう!!」
ウェ!?
俺が演奏を終えた後に司会がそんな提案をした。
司会の一言で先ほどとは比にならない位の歓声が上がった。
何?その『飛翔』って有名なの?俺タイトル初めて知ったんだけど・・・
驚いて身動きが出来ない俺に対し、周囲の歓声は対照的に大きくなってゆく。
・・・どうしよう・・・
何もしないで硬直している俺に対し、段々と周りが不審がってきた・・・
もういっそのこと、別人と言おうか?うん、それが良い。そうしよう。
しかし、俺がそう言おうとした時にどこからともなく助け船が来た。
唐突に観客の方からピアノの様な音色が流れ始めたのだ。
このメロディーは・・・村井國彦が作曲した『飛翔をください』 か?
音のした方を向くと、俺にそっくりの人物が両腕を開いて体制でピアノを滑らかに弾いていた。
え?そんな体制でどうやって弾いてるかって?ピアノが空中に浮いてんだよ!!
普段大抵の事では動じない俺も思わず目を見開いた。
周りを見ると、近くにルインや聖子達もいたため、状況から察して、彼が俺と間違われたシューヴェルトなる音楽家だろうか?
周囲の聴衆も彼を見て驚いているが、演奏の仕方よりは俺とそっくりという点に驚いているようなので、彼の演奏法は普通なのかもしれない。
自分の信じる常識が打ち砕かれた時の感覚がよく分かったよ。
サビに入る直前にピアノ以外にも様々な楽器を空中に出現させて一緒に弾き始めた。
複雑な楽器をいくつも同時に演奏するなど、仕組みの分からない俺からしても並大抵の努力じゃ不可能ということは分る。
なるほど、これが天才音楽家の実力か・・・
弾き終わった時、先ほどの俺とは比べ物にならない拍手が流れた。
天才音楽家の実力にはかなわなかったが、既に俺の仕事は終わりだ。さっさとフェードアウトしよう。
そうして、観客の目を奪った天才音楽家はその後も幾つものすんばらしぃ演奏を行い、いつしか清の存在など誰も気にしませんでした。
はい、めでたしめでたし!!
だったらよかったなぁ・・・
俺がフェードアウトしようと試みた途端、急にシューヴェルトがテンポの速い曲を弾き始めたのだ。
リズムから予想するに、有名なアニメのキャラソンだろうか?
最も、俺自体あまり歌には詳しくないので見当違いの可能性も存在するが・・・
先ほどまでの滑らかなリズムとはうって変わって、荒々しいとも思える演奏法の変わりっぷりに俺は思わず動きを止めてシューヴェルトの方向を向いてしまう。
目があった時、シューヴェルトは口角を釣り上げていた。
最初は何が何やら分からなかったが、演奏スキルによると勝負の申し込み及び挑発をされているのだと分かった。
スキルというのは本来は技術を意味するため、使用者の実力と比例して直感で判断が出来るようになるが、俺の様に無理矢理スキルレベルを上昇させた場合、自身の経験にない直感が急に頭の中で響くため混乱してしまう。
そして、まだスキルの直感に慣れていない人物は思わずその直感に従ってしまうのだ・・・
演奏スキルの直感によると、音楽家は勝負を申し込まれれば受けなくてはならないらしい。
俺は、シューヴェルトの演奏が終わった直後に彼の演奏に対抗するように自分が覚えている地元の民謡をいくつか演奏し始めた。
最初に演じたのは滝煉太郎作の「華」、次いで「荒れ果てた城下町」、「籠根九里」と煉太郎づくしだ。
対するシューヴェルトは同じアニメに登場したヒロインと主人公のデュエットの曲を演奏し始めた。
お互いに演奏を止めず、一曲が終わればまた別の曲を、終わればまた別の曲を(ry
っと、エンドレスで終わりが見えない状況に陥った。
シューヴェルトがテンポの速い曲(ロックやJポップだろうか?)を連続で演奏するのに対し、俺は二ホン民謡を演奏し続けていた。
「おお、なんと力強い・・・」
「あちらの青年も彼と比べると霞むが、穏やかで繊細な奏で方だ。」
一度、滝煉太郎シリーズを止めて、今度は有名な秋の歌の「夕焼け」を演奏していると、周囲の聴衆たちからそんな感想を持たれた。
俺の楽器は変わらず同じだが、シューヴェルトは今はどデカいコントラバスを使用している。
空中にいくつもの楽器が浮かんでいる状況でとっかえひっかえに楽器を入れ替えて演奏しているのだ。
しかし、実に8曲目ほど演奏中だったある時、事件が起こった。
シューヴェルトのコントラバスの弦が切れたのだ。
弦楽器の弦が切れれば本来ならば演奏を中止するのが普通だ。
しかし、シューヴェルトはそこで演奏をやめる音楽家ではなかった。
なんと、彼は残りの弦を用いて切れた弦の部分を補ったのだ。
当然、スキルを無理やり上げて技術を手に入れた俺にはそんな芸当は出来ない。
思わず演奏を中止してシューヴェルトを凝視してしまった。
彼の演奏が終わった時、会場は一瞬の静寂ののちに耳を貫くほどの歓声があがった。
シューヴェルトとの音楽対決のシーンを少し変更致しました。
また、作中登場する「夕焼け」滝煉太郎の「華」、「荒れ果てた城下町」、「籠根九里」はそれぞれ明治時代の音楽家の「夕焼け小焼け」滝廉太郎作「花」、「荒城の月」、「箱根八里」が名前のモデルですが飽く迄作者が清の地元の人物なので内容は完全に別物です。




