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トンチンカン・・・じゃない?

アストリアンの鬼の形相から逃れた俺達はとりあえず鍛冶屋へ移動した。

アストリアンの武器を作るためだ。

「すいませ~ん!一つ武器作ってほしいんですけど~。」

トントンチンチンカンカンと五月蠅く響く鍛冶屋の中へ入り大声で店員を呼ぶ。

「すいませ~ん!お~い、ヤッホー!聞こえてるか~!お~い!」

「ちょ、キ、キヨシさん・・・」

一度で返答がされなかったので、何度も声を出す。

すると、度重なる大声にストレスがマッハで溜まったのか、家事用のハンマーを投げられて返答された。

「キャッ!!」

アスナンに当たらない様に気をつけて空中で持ち手の所を掴んで受け止める。

「やかましい!仕事していんのが分からんのか!!」

店の奥からドワーフの親方が額に青筋を浮かべながら怒鳴り散らす。

アスナンは怖かったのか俺の後ろに隠れた。

「すまんすまん、返答がなかったからついな。急で悪いが、武器を作ってもらえないか?なるべく早く打って欲しいんだ。」

「断る!わしは忙しいんだ!!」

見た目通りの反応だ。

元々二つ返事で受けてくれるとは思っていない。

「そうか、それなら、鉄鉱石と炭をいくらか分けてくれないか?代金は払う。」

「はぁ!?そんなものを手に入れて何をするつもりだお前?まさかエルフのお前が剣を打つ気か?」

「打つというより加工・変形だな。能力の応用で鉱石を無理やり作れるんだ。刀を打つよりも飾り気がなくて無骨になるが、雇い主の武器は耐久性が高ければなんでもいいらしいから、それ位で十分なんだ。勿論鍛冶自体は出来なくはないが、会ったばかりのやつに貸してくれるとは思っていないさ。」

「ふんっ、鉄と炭ならそこらに置いてある。それぞれキロ銀貨4枚と大銅貨1枚だ。」

そういって、ドワーフの親方は鉄鉱石と炭が置いてある工房の一角を指さして鍛冶場へと戻っていった。

しばらくすると再びトンチンカンと金属を打つ音が聞こえてきた所から思うに、恐らく、先ほどの話が与太話か何かと思って仕事に戻ったのだろう。

おかしな話をたくさん聞いた俺がエルフが鍛冶をすると言われても、一笑に付すだろう。

下手をすれば冷やかしと判断されかねないので、材料を分けてくれただけでもあの親方は親切な分類だろう。

とりあえず、俺は代金を店の受付に置き、失敗した際の呼びも含めて3kgの鉄鉱石と100gほどの炭を入手した。

出来ればクロムも入手してステンレス鋼を作りたかったが、ルインが近くにいない今それは無理な望みと諦めた。

鉄鉱石を入手した俺は「鉄抽出毒」という特殊な毒物を持ちいて、鉄鉱石の中から鉄のみを抽出する。

鉄以外の成分を強制的に融解させる強力な酸性毒なため、アスナンは俺から離して作業をする。

続いて、融解毒を用いて炭素と鉄を混ぜて鋼へと加工する。

十分に混ざったと判断し、ストレージからアダマンタイトの軸を取りだす。

液状化した鋼の中心に取り出した軸を置いて、先ほどの融解毒を中和する凝固毒を生成する。

融解毒の効果が切れた途端、アダマンタイトの軸を中心に無骨な鉄剣が作られた。

いや、外見的には剣というより建物の建設に使う鉄筋の方が近いかもしれない。

持ち手の部分に適当に鍔のよなものを作って持ちやすくする。

耐久性重視故に斬るというよりは叩きつける感じの剣だ。

刃は存在しないが、本来刃が存在する部位は1mを超えているので、分類上は大太刀になるのだろうか?

あれ?そもそも太刀自体が日本刀を意味する言葉のはずだから、これを大太刀と呼ぶのは間違いかな?

「キヨシさん、終わりましたか?」

俺が自分の作品の分類を悩んでいるとアスナンから声をかけられた。

ずっとほっぽってしまって退屈させたかな?

「ああ、丁度今な。退屈させちまったかい?」

「ええ、折角のデートなのに私の事を無視しているみたいで少し妬きましたよ。」

「悪かったって。」

さりげなくアスナンがデートと言っていたが、清は特に訂正することはしなかった。

自身の愛刀から僅かに嫉妬の視線を感じたが、念話で謝罪したのでそれ以上は何も言われなかった。


二人は、そのまま村の中心へ向かい、食料の調達へと向かった。

なお、作った剣は清がストレージに収納したらしい。


鉄抽出毒

鉄鉱石の中の鉄以外の成分を溶かす超酸性毒。

肌に触れると表面が溶けるだけでなく後遺症が発生する可能性もあるため普段清は鍛冶場で鍛冶を行うかルインに手伝ってもらうためあまり使わない。

同じように特定の物質のみを抽出する毒は存在するが、前述の通りルインと合流後登場するかは未定。


融解毒

本来、常温で個体のはずの物質を常温で液体に変化させる。

毒物としては大した効果はないが、実は間接的に対象を蝕む猛毒となる。

例えば、個体の鉛を液体に変化させ、飲料物や料理に加えることで簡単に致死量を超える鉛を簡単に対象へ飲ませる事が可能。


凝固毒

融解毒と対になる物質。

効果も融解毒と真逆で常温で液体の物質を固形化する。

融解毒と同じく間接的に対象を蝕む猛毒となる。

想像してみよう…血液中の鉄分を無理やり固形化されればどうなるか…

貧血に加え、血管が塞がれてその先の細胞が壊死しかねない。


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