( ̄ε ̄;)₍₍(∩´ ᵕ `∩)⁾⁾ メラメラ>(゜皿゜メ|注,アストリアン視点
「うおっほん、久しぶりだねキヨシ君。」
翌朝、出合い頭に殴ってきたことなど無かったことのようにアストリアンが話を振った。
俺に殴りかかったことで、アスナンに嫌われたらしくアストリアンと目を合わせようとしていない。
その上、俺がアスナンと同じ部屋から出てきたのが気に喰わなかったらしく、先ほどから俺のことを親の仇みたいに睨みつけている。
「ああ、久しぶりだなアストリアン。とりあえず、状況を説明した上で、今後の予定伝えておく。」
突っ込むと火に油を注ぐと判断したため、アストリアンの態度を一切合切無視して話を続けることにした。
「とりあえず、現在ルインが証拠と一緒にフラブリー宗教国へ向かっているから、あいつがフラブリー宗教国へ着けば直ぐに空間を歪んで迎えてくれることになった。俺達はルインへの負荷を少なくするために数日間だけだが、フラブリー宗教国へ向かって進み続けることにした。道中の護衛は俺に任せろ。」
「そうか、それで?その話をするためだけに私の前に来たわけじゃないんだろ?」
お見通しか。
「アンタはどう思う、国というもの抜きにして今回のアスナンの結婚と結婚相手について。」
「そんなの決まっているだろう。」
そう言って、アストリアンは持っていた果実を握り潰した。
少し肌がピリピリしているため、威圧スキルも使ったのだろう。
「俺もほぼ同感だ。話は変わるが、少し提案だ。」
「何だね?」
「結婚式か披露宴の時に予想のできない事故が発生し偶然近くにいたペペロンチーノ公爵が犠牲になった場合ってスプリウム帝国に何か被害は起こらんはずだが、どうだろうか?」
「そうだね。予想のできない事故ならば対処は不可能だしね。第一、事故が起こるのはフラブリー宗教国内であってスプリウム帝国内ではないからね。来賓である我らに責任は一切ないだろう。事故の当事者がスプリウム帝国関係者じゃない限りね。」
「なるほど、大体わかった。」
つまりバレなきゃ犯罪じゃないって訳ですね。
「お父様、キヨシさん馬鹿な真似はしないでくださいよ・・・」
「「・・・・・・・」」
「お父様!!キヨシさん!!」
「そんなことよりアストリアン、」
アスナンの注意を無視して俺は話を強引に反らす。
さてさて、どんなことをしようかな~♪
「護衛をする際の人員が足りないんだ。雇い主なのに悪いが、昼間の護衛中少し手伝ってもらってもいいか?」
俺は精力毒で無理やり数日スタミナを維持することは可能だが、ルイン曰く次第に顔色が悪くなっていくらしい。
それに、スタミナが減ると集中力が散漫になるため、出来るだけ徹夜はしたくない。
「ああ、構わないよ。後々迷惑をかけるだろうからそれ位の手伝いはするさ。」
「助かる。昼間に1時間ほど仮眠すればそれなりに回復するからその間の警戒を任せたい。だが、今馬車を引いている馬は、俺以外の言うことを聞かないからその間先へ進めないんだがな。」
「了解した。ただ、私はここに来るまでに剣を紛失してね。悪いが、戦闘はあまり参加できそうにない。」
「・・・愛剣なんだから無くすなよ・・・」
「いや、私の剣は別に愛剣ってわけじゃないよ。ただ頑丈さを重視したやつで、特注品ではあるけどね。」
・・・この人よく二つ名獲得できたな・・・
「とりあえず武器は俺が適当に確保しておく。食事に関しては一応保存食を持っていくが道中に魔物が襲ってくればそいつを捌いて調理してもいいか?」
「ああ、構わないよ。アイン、アスナン、エマそれでいいね。」
「はい、構いません」
「うん、キヨシさんの料理おいしいから。」
「私も元冒険者ですので魔物を食べるのには慣れております。」
一度、彼女らへ魔物の肉を用いた料理を出したところ、やみつきになったようだ。
やっぱスキルの力ってスゲーな。
「決まりだな。それじゃ、1時間後にこの宿に集合だ。アインとエマは悪いがアストリアンとこの宿に待っていてくれ。俺とアスナンは少し買い出しに行ってくる。」
「待ちたまえ、キヨシ君アスナンではなく私が行こう。」
「何を言っている。万が一のためにアストリアンは二人を護衛しといてくれ。」
「しかし、何もアスナンである必要はないだろう?何ならエマでも・・・」
「いや、俺は個人的にアスナンと話したいことがあるんだ。ついでにいうと、エマもそこそこ腕がいいからアストリアンの補佐としてはぴったりなんだ。」
下手をすればこの場でアストリアンの拳が飛んでくるかもしれないが、ここはあえて俺個人がアスナンへ用があることを言う。
下手に勘繰られて弄られるよりはこうしたほうがいいことは経験上知っている。
勿論状況によるがな。
「お父様、私もキヨシさんと話したいことがございますので、一緒に外出したいです。」
アスナンからも俺と一緒に行きたいと言われ、さすがのアストリアンも言い詰まった。
「グヌヌヌヌ・・・」
アストリアンは葛藤し始めた先ほどまで特定の事に対して熱心に話し合っていた(内容はともかく)二人だったが、清は純粋にアスナンの幸せを願った行動なのに対し、アストリアンは実際の所ただの我儘だ。
ただ単純に愛娘にお嫁に行ってほしくないというしょうもない理由なのだ。
清とはあくまで行動と予想した結果が合致しただけで、根本の理由が違うため、このような食い違いも発生する。
具体的にいうと愛娘が知り合いとはいえ男と二人っきりという状況が気に喰わない。
しかし、自身が残ってアインを守り、エマがサポートに回ることが最も効率がいいのは事実なため、反論が出来ない。
加えて、娘の望みは可能な限り叶えてあげたいし、清の人柄はある程度知っており、娘を悲しませるようなことをしないことは分かっている。
「・・・分かった、キヨシ君娘を頼む・・・」
最終的にアストリアンが譲歩した。
しかし、外出する際に清の肩を強く掴んで清にだけ聞こえる声で小さく呟いた。
「娘に手を出したり傷つけたらコロスからな・・・」
彼の親馬鹿っぷりは筋金入りらしい。
「肝に銘じておくよ。」
そう言って俺はアスナンを連れてそそくさと宿を離れた。
向かうは鍛冶屋と食料を分けてくれそうな畑だ。
背後からアストリアンが鬼の形相で睨みつけていた気がしたが、渾身のスルースキルを用いて無視した。