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飛行船?

飛行船と言われて、てっきり上に大きな風船があるものを創造したのだが、予想の斜め上をいって、まるで某宇宙戦艦みたいな外見をした船だった。

大きさは乗用車6台分は存在し、一応武装は存在するが、軍艦に付いている大砲の様なものではなく、何故か機関銃が付いていた。

風船が無いのは風魔法とかで浮かせると想像できるが、機関銃が分からん。

「おいダンタリオン、何で飛行船に機関銃が付いているんだ?」

答えが分からなかったので、結局ダンタリオンに聞くことにした。

「機関銃?ああ、あれは魔力を弾丸として飛ばすマジックアイテムで、万一の牽制用です。射程も威力もありますが、命中性能だけが低すぎて、実戦では使えないんだすよね。もっとも、魔物が接近すること自体がありえませんので、本当に万一ですが。」

そういえば、魔物除けの結界が張ってあるって言ってたな。

更に詳しく聞いたところ、これは量産型で、魔王との戦闘ではさらに武装を追加したやつが大量投入されるらしい。

ファンタジー世界で機関銃をぶっ放す光景を想像したところ、シュールすぎて苦笑してしまった。

聖子を見ると無言で首を縦に振っていたので、同じことを思ったのだろう。

スプリウム帝国で「くたばれファンタジー」とか言ってた気がするが、ひょっとして既にファンタジー要素がなくなっている物を見たからこそ言ったのだろうか?

「ほら、ぼさっとしないでさっさと乗ってよ。」

ぼーっと見ていると後ろからハルキに大盾でどつかれた。

周りを見ると、既に俺と聖子とハルキ以外乗船していたため、ハルキに礼と謝罪をして慌てて向かう。

「悪い、遅れた。」

「遅~い!」

「待ちくたびれた。」

乗船した際に遅れたことを謝罪したら、ルインとオリヴィアに怒られた。

船の中は見た目通りの大きさで、空間が歪んで見た目より大きいとかではなかった。

本物の詳しい構造は知らんが、内装的には飛行機と似たような構造で、操縦席にいくつかの操作パネルとハンドルが存在し、後ろに引き出し可能なテーブルが付いている客席みたいなものが10席ほどあった。

勿論、機関銃を操作する座席は別に存在している。

中にはルインと俺、聖子達ともう一人、レプラコーンと、子供位の体格の二足歩行の猫が

乗船しており、二人は操縦席に座っていた。

「セイリ、この二人はどちら様だ?」

レプラコーンの方はセイリと同じく修道着を着ており、猫の方は鼻に小さな眼鏡をかけてなにやらメモを読んでいた。

「こちらのレプラコーンはフラブリー宗教国大司教アーロン様、そして、こちらのケットシーはフラブリー宗教国アーティファクト専門調査員ゲイルさん。二人ともフラブリー宗教国から派遣された人よ。」

「フラブリー宗教国って、フラブリー教の中枢の割に人員が少ないのか?」

率直な疑問を言った所、アーロンが少しムッとした顔になった。

「というより、中枢だからこそ、かな。中枢としての役割自体は別に大人数じゃなくても出来るし、そもそもフラブリー宗教国自体が四国の半分位の大きさしかないからね。」

そりゃ確かに、そんな小さい場所に多くの人間を押し込められる訳もないわな。

加えて、フラブリー宗教国は一つの島で出来ているとわいえ、人が居るのはさらに1/4の範囲らしい。

俺は無知故の失言をアーロンに謝罪したところ、特に何も言われることなく許してくれた。

その後、特に何かが起きる訳でもなく飛行船は安全な航路でフラブリー宗教国へと向かった。




リーフレスト連邦国を出発して約2日、俺達は地球でいう所のインド北部の上空を移動していた。

この飛行船は見た目の割に生活空間が良く、ベットルームは無いがシャワールームとトイレに加え、簡単な調理台に食糧庫まで存在した。

組み込まれているプログラムの中に自動操縦システムが存在するらしく、アーロンとゲイルは最初に操縦席を操作しただけで、後は俺たちと何ら変わらぬ感じに外の景色を眺めたり、話に加わったりしてきた。

「素晴らしい!!エルフでありながらその強靭な肉体!一体どうやって鍛えたのかね君!!」

現在、俺はゲイルに捕まり、体の隅々をまさぐられている。

客観的に見ても俺の肉体の強度が異常な事位十分分かるので、知識に貪欲な人間に捕まればこうなることは予想できたが、さすがに実体験すると、あまりいい気分ではない。

「悪い、どうしてこうなったかは正直言って分らん。強いて言うなら、死に物狂いで修行したら何か硬くなったとしか言えん。」

別に嘘を言っているわけではない。本当に自分の防御力の原因に心当たりがないんだ。

ルインは俺の防御力の原因は神様の加護と言っていたが、確かめるすべが存在しないため、可能性の段階で話した所、全く見当違いだったとかだと物凄く恥ずかしいので、曖昧な答えのみを伝えた。

「これ、ゲイル殿、キヨシ殿が困っていらっしゃいますよ。」

どう答えたらいいか悩んでいる俺を、ゲイルの対応に困っていると判断したアーロンが助け船を出してくれた。

「しかし、アーロン殿!キヨシ殿は聞けば普通の青年だったという。彼がこの強度を手にした原因を解明すれば、魔王との戦いの際に兵士達の死傷率を大幅に下げられますぞ!!」

すいません、多分無理です。おそらくチートですので・・・

その後も、しつこい位に体中を触ってきたゲイルが段々うっとおしくなってきたので、夜中に睡眠毒で深い眠りに叩き落とした。


「おはようございます。」

「おう、おはよう。」

リーフレスト連邦国を出発して3日目の朝、俺とハルキは他のメンバーよりも一足早く起床し、朝食を作っていた。

食糧庫には十分食材が入っていたが、塩分濃度の高い保存食や漬物が多かったので、俺のストレージに眠っているウィントゥル帝国で入手して既に加工した後の雪猪(アイスボア)を使ってハムエッグを作った。ハルキは野菜を洗浄して人数分のサラダを作っている。

「手慣れているわね。」

「まぁな、一応父親だし、これ位はしねぇと。」

ルインの作った料理なんて食える訳が無い。

過去にスプリウム帝国で試しに作ってみるとか言ったら、めっちゃ黒いシチューが出てきた(ついでに食後3日ほど悪夢に苦しめられた)。

それ以降、食事は基本俺が作るようになっており、ルインは味見専門の係に(強制的に)任命した。

元々自炊程度の腕前しかなかったが、前世で強引に料理スキルを上昇させた結果、大分美味いものが作れるようになった。スキルは前世から全て受け継いでいるので、料理スキルの腕前は大分高いと自負している。

「普通、男性って料理が苦手って聞くけど?」

「不味いものよりは美味いもの食いたいだろ?」

確かに、俺はみんなから味音痴という扱いを受けているが、空腹よりは満腹の状態の方がマシだと思っているだけで、別に不味いと感じない訳ではない。

食事というのは、人類が作り出した楽しみの一つなのだから、出来る限り楽しまないと損である。

人数分のハムエッグとサラダを作り、聖子達を起こして回る。

「あれ?おじさん、何で何も置いていないお皿を出しているの?」

一番最後に置いた何もないお皿に違和感を感じた聖子が俺へ質問をする。

「その皿にはパンを乗せる。ルイン、パンを出してくれ。」

今までの食事では食糧庫に備蓄していた硬いパンを食べていたが、俺としてはルインの出すパンの方が食べやすくておいしい。

Loaf(パン)

ルインが能力を発動すると、人数分の皿の上に色とりどりのパンが出現した。

「うぇ!?ルインちゃん、こんなこと出来たの!?」

急に目の前に出現したパンにガイアが驚きの声を上げる。

「ああ。ルインは基本、料理は出来ないが、パン作りに関しては俺より上手い。ついでに言っておくが、ルインは亜空間に収納していたパンを取り出しただけだからな。」

「嘘、出てきたパンが、まるで出来立てのように暖かい。」

俺の追加設定にオリヴィアが真っ先に嘘と見抜く。

実際、これら(パン)は、ルインの能力で作ったのでルインが作ったといっても間違ってはいないが、好きに食事を作れる能力だとバカ正直に言えば面倒なこと(具体的にはゲイルにさらに調べられてうっとおしい)になるのは目に見えている。

「いえ、嘘じゃないわ。私はパンを亜空間から取り出しただけよ。前に言ったけど、私はいくらかアーティファクトを持っているわ。その中に亜空間を作成するアーティファクトがあるの。収納総体積が一定ならばいくつでも亜空間を作れるから、物を収納する空間と、虚無の空間を作って、熱が外部へ漏れないように改造したの。今回は試運転だったから成功するか分からなかったけど、成功してよかったわ。」

「さらっととんでもないアーティファクトの話されたよ!?」

「今更だろ。そんなことより冷めないうちに食べようぜ。」

俺を援護するためにルインが更に解説を付けたところ、聖子の鋭い突っ込みが炸裂した。

ゲイルがまた興奮して暴走しないかと心配したが、昨日、夕飯前に強制的に眠らせた結果とにかく腹が減っているらしく、視線が目の前の食事にロックオンされていた。

「いただきます。」

まだ周りで聖子がなにかいっていたが、俺はとりあえず朝食を食べたいんだ。

しかし、ハルキが作ったサラダをいくつかとり、早速食べようとした途端、それは聞こえた。

『・・・シさん・・・』

「ん?今誰か、何か言ったか?」

ふと耳の中にどこかで聞いたことのある声が響いた。

「?いいえ。誰も何も言ってないわよ。」

ルインが清のつぶやきを否定する。清が食事を食べ始めようとした途端、みな既に食事にありつこうと、必死に口に入れている。仲間に突っ込みを無視されて若干不服な聖子のみが未だに食べ始めていなかった。

「・・・?気のせいか?」

『・・・キヨシさん!・・・』

また聞こえた。それは今度こそはっきり。

急に目つきが鋭くなった清に対し、ルインが疑問符を頭上に上げる。

何が起きたのか聞こうとしたところ、急に清が叫び出した。

「ルイン!今すぐ俺をこの飛行船の外に出せ!!」

「ふぇ?」

普段は事前に清から大まかな事情を聞かされるルインも、突然清が外に出せと言ったため、一瞬反応が遅れた。

「ちょ、ちょっとどうしたの、おじさん?」

訝しんだ聖子が清に質問するが、清は取り合わなかった。

「説明する時間は無い!早くしろ!!」

「え?わ、分かったわ。Zone(空間)・・・」

清の剣幕に押され、ルインは言われた通り清を飛行船の外に出す。

ここは地上3000m地点だが、元々清にはある程度飛行出来る手段が存在するため、清が落下死する心配はしていない。

外に出された清は重力落下に従って、地面に向かって急加速していった。

急に消えた清に食事を終えたゲイルが再び暴走し始めたが、清とは別の方法でルインが黙らせた。


これ以降、投稿ペースが落ちます。

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