妖刀の眠る祠へ ②
食後に少し休んだのちに少し休んで再度攻略を進めた。
初っ端よりもゴーレムの出現頻度が増えたため、大分効率が落ちてきた。
「あ~もう!!うっとおしい!!!竜の怒り!!!」
天蝎宮・スコーピオンの刀身に竜の顏の様な炎を纏わせ、数多くのゴーレムを飲み込んだ。倒しても倒してもわらわら出てくるゴーレムに聖子がついにストレスの限界に近づき、半ば八つ当たり気味に大技を使ってゴーレムを蹴散らしたらしい。
奥へ向かい程に物理の効きづらい泥傀儡やら、素早く、徒党を組んで襲ってくる狼傀儡やらが襲ってきたため、大分面倒なのだ・・・
聖子が半ギレで急に大技を使ったため、魔力が急激に減りその場に倒れ込む。
慌ててナタリーとガイアが受け止めたが、お荷物にしかならない今の聖子を護りながら進むことは効率が悪いため、結局また休むことになった。
再びダンタリオンとセイリが簡易的な安全圏を作成し休憩に入る。
「何度言えばわかる!大技の大半は魔力を多く消費するんだよ!いきなり使えば、肉体が急激な魔力の消費に過剰に反応してぶっ倒れるんだから自重してくれ!!」
安全圏を作った後に警戒を解いたナタリーが聖子の行動に小言を言い始める。
セイリとダンタリオンがいるため、多少急に戦闘不能な状態になってもある程度は対処できるが、二人ともそもそもかなり異常な存在なため普通この様な状態になったら大量の魔物にタコ殴りにされて死んでしまう。
ナタリーは武闘家故に経験からそれを知っているのだろう。
噛ませ犬で脳筋なイメージが存在するが、決して馬鹿ではない。
脳筋は脳筋なりのフィーリングで天才的な価値観が存在するのだ。
「ハイ・・・モウシワケゴザイマセン・・・」
普段ハイな思考回路の聖子も小言前回のナタリーの前ではすっかり萎縮してしまっている。
「だいたいですね!あなたはいつも・・・・」
その後もさらに20分ほどナタリーの小言は続いた。
長い間説教をされたことで消費した魔力は回復したが、逆にスタミナは減ったと思った聖子だが、ステータス的には一切減っていないので問題ない。
足が痺れて立てなくなっていた聖子を半目で見つめていたナタリー達の所に念のためにと偵察へ行っていたガイアが慌てて帰還してきた。
「しょ、ショウコさん!」
普段基本的におっとりしているガイアが慌てて帰還したため、みんな驚いた。
「え?ガイア、どうしたの?」
未だに足の痺れで悶絶して動けない聖子に代わってハルキがガイアを問い詰める。
「はぁ、す、少し進んだ先に・・・はぁ、ま、また隠し扉がありました・・・」
それがどうしたのだろうか?
その程度でガイアが取り乱すとは思えない。
隠し部屋位、普段レベリングを行っている迷宮でいくつも見てきた。
「はぁ、そ、その隠し部屋に置いてあった宝箱にお、『黄道宝具』の紋章がありました!」
・・・・・・
静寂が辺りを包み込む。続いて発せられたのはとてつもない驚愕の声だった。
「「「「「「えええええぇぇぇぇぇ~~~~!?」」」」」」
黄道宝具
それは地球でいう黄道12星座をモデルに太古の賢者が作ったとされる方具で、今までに数多くの勇者を助けてきた。
現在聖子達が入手しているのは、
ハルキの巨蟹宮・キャンサー、
オリヴィアの人馬宮・サジタリウス、
聖子の双魚宮・ピスケス、双児宮・ジェミニ、天蝎宮・スコーピオン
そして、勇者召喚の際に聖子と共に召喚されてしまった少年が神様から託され、現在聖子に貸し与えられている宝瓶宮・アクアリウス(指輪)の6つだ。
不思議なことに、この宝具は発見されてから一定時間経つと何処かへ消えてしまうため一説では神が勇者の魔王討伐を助けるために与えて下さったアイテムとも言われているが、別に特定の人物しか使用できない訳でもないため眉唾物の意見だが・・・
ここにきて新たなアイテムの入手は強力な戦力となるためすぐに聖子たちは道中のゴーレムを再度蹴散らしながらガイアが見つけた隠し部屋へ向かった。
純白の大理石の様な石が一面に敷き詰められた部屋。
外の祠の道が黒い岩ばかりだったので、どこか浮いている。
念のため、外のゴーレムが入ってこないようにダンタリオンとセイリが既に入り口に結界を張っている。
そして、その部屋の中心にある宝箱に描かれていた星座の紋章は・・・
「天秤座・・・」
黄道12星座唯一の無機物の星座である天秤座。
その紋章が宝箱に刻んであった。
「・・・探った限り、罠の感覚は無いわ。」
「罠が無い?嘘でしょ?」
今までの「黄道宝具」は水瓶座を除いてほとんど厳重に保管されていた。
罠が無い黄道宝具が隠された隠し部屋など、はっきり言って異常だ。
「・・・可能性としては、そもそも罠自体が無かったか、誰かが既に来て罠を解除していったか。」
「宝具も取らずに罠だけを解除?そんなのありえない。」
ガイアが示した可能性にオリヴィアがおかしいと断言する。
黄道宝具の宝箱は中に封じられた宝具を取れば基本勝手に消える。
原理は解明されていないため、そういうものとみんな割り切っているが、結果としてまだそこにまだ宝具があるか否かということになるが、宝箱を見れば普通は開けてしまうのが人の性。ましてや、苦労して罠を解除したのに中身を取らずに帰るなどとは普通はありえない。
「でも実際に罠は存在しない。念のためハルキとショウコさんに開けさせた方がいいと思うけど・・・」
大抵の罠ならばハルキの蟹座ならば大抵の罠ならば防げるし、聖子なら赤の力を乱射したり、青の力で無双したりして対処出来るため、問題ない。
「こういうとき、おじさんにいてほしかったよね・・・」
「たしかに、キヨシさんは世界が滅びそうでもない限り死にそうにありませんしね・・・」
聖子のつぶやきに対し、ダンタリオンが発したセリフにみんなが軽く笑う。
どうやら万一の生贄にするつもりらしい。
「私たちが隠し部屋に結界を強化するため、ハルキとショウコ様は宝箱を開けてください。」
「たしかに、外のゴーレムが結界を破って邪魔をしないように早く終わらせましょう。ハルキとショウコ様は何もすることがないので、二人に託しましょう。」
「「ちょっと!人を役立たずみたいにいわないでよ!!」」
「ナタリー、オリヴィア一緒に来て護衛してください。ガイア、あなたはショウコ様と一緒にいて万一のために備えてください。」
セイリの提案にダンタリオンも乗ってそれぞれに指示を出す。
若干ディスられたと思ったハルキと聖子が突っ込むが、華麗にスルーされた。
そうこうしている内に4人は結界を強化しに部屋の外へ出たため、部屋に残った3人はさっさと宝箱を開け始めた。
「ガチャ…」
宝箱の中には二丁の拳銃が入っていた。
「拳銃?」
剣と魔法の世界には珍しい近代兵器だ。
「罠の類は・・・やっぱり発動しないわね・・・」
「うん、それよりも・・・この武器チートすぎる・・・」
「どういうことですか?ショウコさん?」
罠の類がやはり発動しなかったため、少し拍子抜けしたハルキに対し、聖子は天秤座の紋章が彫られた二丁の拳銃を見て固まっている。
「武器の名前は・・・『天秤宮・リブラ』・・・一切のデメリット無しで無限の弾丸を撃てるみたい・・・」
「弾丸?」
この世界には銃なんてないため、ガイアが疑問符を浮かべる。
「弓矢の矢みたいなものだよ・・・しかも、ほぼノータイムで連射できる・・・」
「なにそれ・・・ズル過ぎるでしょ・・・」
聖子の説明を聞いたハルキが呆れた言葉を述べた。
「一応、オリヴィアの射手座と比べて威力は1/5もないみたいだけど、連射性は圧倒的に上らしいよ。あ、よく見ると、射程も短い。」
それでも、ノータイムで弾丸を乱射出来るのはチートすぎるだろう。
ハルキは呆れて、ガイアは驚愕の顔をしており、聖子に至っては完全に頬が引きつりながら、ダンタリオンたちのもとへ向かった。
三者三様の顔をしながら隠し部屋から出てきたのを訝しんだダンタリオンが問い詰めてきたため外にいた4人にも入手した武器の説明をした。
聖子達と同じく、4人も呆れるか驚愕の顔をした。
いや、オリヴィアは自分の得意なことを奪われる可能性があるため少し複雑な顔だが、ナタリーはよく分かっていないようだ。
「この武器、誰が持つ?」
「?聖子じゃないの?」
この中で銃を扱えるのは赤色の髪をした聖子のみなので、普通に考えて聖子が持つのがいいだろう。
「うん実はね、銃って、弓以上にまっすぐ飛んで行くんだ。この銃って空気中の魔素を弾丸に変換して弾丸を撃つみたいで、少し練習をすればオリヴィアやダンタリオンでも使えるはずなんだ。私が持つか、オリヴィアに預けて後方支援に使わせるか、ダンタリオンに預けて護身道具に使わせるか少し悩んでるの・・・この銃って、弾丸の形状を維持するのが難しいらしく、オリヴィアの弓とこの銃では射程が月とスッポンなんだ。」
普通は行わないが、特撮などでは銃をトンファーのように扱って敵を殴る人もいる。
髪が変わる際の決め台詞からわかる通り聖子は俗にいう「中二病患者」だ。特撮などもバンバン見てたため、ダンタリオンやオリヴィアの護身道具として使えないか考えるのだろう。
「じゃあ、私に使わせて。手数が増えるのはとてもありがたい。正直言って、短剣と弓だけだと扱いずらかったりするから。」
ダンタリオンが自分が使うと挙手する。
オリヴィアの弓は大きさが使用者の任意で変化するが、とっさの状況では大きさを調整できないこともあったし、連射性も弓は低いため集団で襲われるとかなり厳しい。近距離もある程度カバーでき、連射性も高い銃が手に入れば、後方組の護衛には丁度いい。
それに、ダンタリオンは指などを動かして複数の魔法を発動するため、銃はおろか武器を用いた攻撃は得意ではない。
セイリに関しては気配察知に加え、神聖魔法による回復や支援に多く集中しているため、オリヴィアやダンタリオンに敵の情報を伝えるのが精いっぱいで近づいた敵に対して照準を合わせる余裕はあまりない。
消去法でオリヴィアが持つという事になるだろう。聖子もその方が良いと納得したようだ。
「うんじゃあお願いオリヴィア。セイリとダンタリオンを護ってね。」
もっとも、今回の祠においてまだオリヴィアは銃を扱えないため、今回ばかりは聖子が使うのだが・・・
隠し部屋を抜けた後、またわらわらと攻めてきたゴーレム軍団を入手したばかりの新装備を使って聖子がヒャッハーしながら進んでいった。どうやらこの銃、弾丸を空中で破裂させて散弾銃のようなことが出来るらしく、零距離で銃口を頭部に押し付け発射して核ごと頭部を砕いていた。
予定では夕方までかかるはずだった道のりが道中のゴーレムがただの動く人形同然になったため、あっというまに祠の最深部へ着いた。
やはり剣と魔法の世界に近代兵器はチートである。
「やっとついた!もうゴーレム祭りは御免だよ・・・」
最深部の扉へ着き、愚痴をこぼす聖子。
他のみんなも聖子程ではないが、うんざりした顔をしている。
さっさと終わらせたい気持ちが大分強かったのか、仲間が追い付くのも待たずに最深部の扉を開けた聖子の顔が絶望で染まり、四つん這いで倒れ込む。何事かと思った仲間が部屋の奥を見て事態を把握した。
「嘘ぉん…」
扉の向こうには部屋いっぱいのゴーレムが跳梁跋扈していた。
氷傀儡や岩傀儡だけでなく、奥へ向かうたびに白銀色や無色透明キラキラのゴーレムやキンキラキンのゴーレムまでいる。素材はミスリルやアダマンタイト、オリハルコンだろうか?
どうやら未だにゴーレム祭りは終わらないらしく、ため息をついた勇者パーティは覚悟を決めてゴーレムの渦の中へ飛び込んでいった。
竜の怒り
細長い刃に魔力で作った炎を纏い、対象へ特攻する。
炎は時間がたつにすれ、竜の顏を模しはじめ威力が膨らんでいく。
時間がたつにつれ、威力と共に反動も大きくなるため早く対象へ当てないと逆に自分に被害が当たる諸刃の剣。
宝瓶宮・アクアリウス(指輪)
世界に12個あるといわれる星の力を内包した宝具の一つ。
「ウォーター」と言う事で大気中の魔素を使用し、無限に水を作れる。
基本的に攻撃は出来ないが、使用者自身が魔力を注ぐことで水の出てくる威力を調整でき、「ウォータージェット」みたいなことが出来る。
元々は聖子の勇者召喚に巻き込まれてしまった後輩の少年が神様から託された物だったが、現在少年は様々な事情でフラブリー宗教国から出られないため
聖子は左手の薬指にその指輪を付けているが、深い意味はないはず・・・
天秤宮・リブラ(二丁拳銃)
世界に12個あるといわれる星の力を内包した宝具の一つ。
命中率100%、あらゆる属性を付与出来る。弾丸無限。さらに、瞬発力を強化され、拳銃でありながら対物ライフル並みの狙撃やマシンガンなみの連射性が可能。また、耐久値がぶっ飛んでいるうえに自動回復機能も持つため本来の使い方ではないが、トンファーとして敵を殴ることも出来る。
一見非の打ち所のないチート武器だが、当然弱点も存在する。
それは、火力不足だ。
拳銃とは、実はよほどの急所でない限り致命傷にはならない。
弾丸の威力は魔力を注ぐことで上下できるが、効率がべらぼうに悪い。
故に、サブマシンガンのようにして牽制用にしか使えないが、そもそも弾丸無限銃なんて持てばそもそも負けることはほぼなくなるためチート武器であることには変わりない。
その上、特定の対象(例えば仲間)のみ弾丸の影響が一切ないようにもできる。
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