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妖刀の眠る祠へ ①

翌朝、たっぷりと睡眠をとって体力的にも精神的にも完全復活した聖子達は妖刀が眠るザートの祠の中に入っていた。

「あ、やっぱりだいぶ歩きやすい。」

普段、肉体を鍛えるためにあまり足元が整備されていない迷宮内を歩き回っていたためか、妙な違和感を覚えた自然と聖子の口から驚きを含んだ感想が漏れる。

「そりゃそうですよショウコ様、ここは元々観光地だったのですからね。」

リーフレスト連邦国はエルフの国というだけあって、大分昔の物が未だに存在する。それは壁画やアイテムも同じだ。普通のアイテムや壁画だと風化であっという間に崩れてしまうが、エルフは長命故物が壊れにくいよう保護する魔法を何でもかける。

発酵食品以外のエルフの持ち物は全て劣化防止魔法が付与されると言われる位かける。

結果として、大昔の貴重な資料がまるで新品同然に保管されているというのもざらだ。

その中でも数少ない例外であるここ「ザートの祠」はリーフレスト連邦国が建国された後に発見され、その後に劣化防止の魔法をかけられた。

故にエルフの国であるリーフレスト連邦国での数少ない昔らしい(・・・)歴史の遺産であり、世界各国から珍しいもの見たさで観光客が訪れている。

しかし、実はこの祠・・・

全くといっていいほど調査がされていない。

元々エルフ達は対象を劣化から保護することが得意ではあるが、劣化したものを復元することはそれほど得意ではなかった。

それ故に既に古びた祠を調査せるのは未経験なエルフ達にとってはかなり難しく、さらに追い打ちをかけて、魔王が攻めて来る時期が迫っていたため、リーフレスト連邦国も魔王討伐に協力しなければならなかった。

いつでも調査できる課題と目の前の危機。

エルフにとって数日も数年も変わらないため、多少遅れても構わないと判断された結果今まで完全に放置されていたのだ。

しかしここにきて危険な妖刀の出現。

さすがのリーフレスト連邦国も勇者に協力を要請しながら重い腰を上げ調査に乗り出したが、未だに芳しい報告は無い。

「・・・それで私に丸投げしたって事?」

「ええまぁ、はい。そうですね・・・」

祠の中を移動しながら聖子が事の顛末を聞き、素直に思ったことを述べた。

身も蓋もない言い方だが、間違ってはいない。

「一応リーフレスト連邦国を擁護しますと、妖刀などは破壊しようとすれば刀に蓄積された負の感情が暴走し手が付けられなくなります。

その様ないわゆる『呪われた武具』は神聖魔法スキルのレベルが最低でもⅤは必要です。」

基本的にはスキルレベルはⅤが達人、Ⅶが超人、Ⅹ以上の者にとっては神または化物と判断される。

そもそも神聖魔法は習得するのが時間が掛かる上に難しいため、元々才能が無ければ努力をしてもⅣまでしかスキルレベルが上がらない。現在世界に存在する神聖魔法スキルⅤ以上の人物は20人もいない。

ついでにいうと神聖魔法スキルレベルⅤは呪われた武器を解呪する最低条件であり、前提としてそれ以上のスキルレベルがないと大半の場合は失敗する。

実質的にスキルレベルⅦ以上の人物に限られるのだが、そうなるともう二人しか存在しない。一人は体が弱く、実質寝たきりの現フラブリー教最高司祭。もう一人は現在勇者パーティに同行しているフラブリー教の女性神官であるセイリだ。

彼女の場合、天性の神聖魔法スキルに対する才能と本人の努力、さらには率先してアンデットなどを倒したり、戦士たちを癒したりしていった結果、本人のレベルもスキルのレベルもどんどん上がっていった。

寝たきりの最高司祭を他国へ連れていくわけにもいかないため、セイリに白羽の矢が立ったのだ。(言い方を変えれば勇者パーティに全て押し付けたという訳だが・・・)

「ショウコさん、三キロ先、足音からしてゴーレムです。」

不満と愚痴を言い合っていると、ガイアが奥からゴーレムの接近を察知した。

「恐らく数は3体、周囲に罠はありません。」

的確に敵の情報と周りの環境をしらべるガイア。清とハルキの決闘において前衛では唯一清と戦闘をしていないが、その実力はかなり高い。

ガイアの言った通り、奥から3体のゴーレムが接近してきた。

岩傀儡(ロックゴーレム)2体に氷傀儡(アイスゴーレム)1対ですか・・・ナタr」

「どっせぇぇぇぇい!!」

ダンタリオンが指示を出す前にナタリーが岩傀儡(ロックゴーレム)へ接近し、わき腹を思いっきり蹴飛ばす。

蹴飛ばされた岩傀儡(ロックゴーレム)は隣の岩傀儡(ロックゴーレム)にぶつかり、一緒に倒れた。

「ぬん!!」

上空へジャンプしたナタリーが両手の拳を固め、容赦なしに2体の額へ振り下ろす。

ロックゴーレム2体は同時に額にある核を砕かれ、動きを停止した。

残り一体の氷傀儡(アイスゴーレム)が空中にいるナタリーを襲おうとするが、狙撃手がそれを許さなかった。

「エクスプロージョンショット」

オリヴィアのから放たれる矢が氷傀儡(アイスゴーレム)に着弾し、爆発を起こして後方へのけ反らせた。氷故に爆発で頭の核が一部むき出しになった。

「アバランチスラッシュ!!」

すかさず、ガイアが刀身を熱して追撃した。

氷の体に熱くなった短剣を防げるわけもなく、あっさりと核まで届き、動きが停止した。

「余裕ですね。」

「私はもう少し歯応えがほしいかな。」

「私、何もできなかった・・・」

3体のゴーレムを相手にしたナタリーとガイアが感想を述べる。

名目上パーティのリーダーであるのに何もできなかったことに聖子が落ち込んでいるが、いつもの事なのか、セイリ以外みんなスルーしていた。

「大丈夫ですよショウコ様、あなたはいざという時の為に力を温存しといてください。」

「ありがとう、セイリは優しいね。私の嫁にならない?」

「すいません、私たちは純血を優先いたしますので。」

実際の所、別に処女じゃなくても神聖魔法は使えるし、経典(きょうてん)にそういうことが書かれているわけではないが、聖子の冗談に真面目な顔をしてしれっと嘘を付くセイリ。

聖子が見捨てられたチワワの様な顔をしたが、今回はさすがのセイリもスルーした。

祠の中に聖子の悲痛な嘆きが聴こえた気がしたが、気のせいだろう。キノセイキノセイ・・・



「はぁぁ!!」

両手に双児宮・ジェミニを両手に手にした聖子が3体のゴーレムに接近し、足の部位を斬って動きを封じる。

「ふん!!」

動かなくなったゴーレム達をナタリーが頭を砕いて完全に機能を停止させる。

しかし、そんな二人でもいくらか打ち漏らしが出てしまい、2体ほど後衛組へと接近してきた。

火弾(ファイアボール)氷針(アイスニードル)!」

接近してきたゴーレムの頭部をダンタリオンが下級魔法で抉って、核をむき出しにさせる。

核を保護するためにゴーレムが周りの装甲を再生させるが、素早くオリヴィアが核を撃ち抜く。

再生したばかりの部位は装甲が薄く、長弓で簡単に射抜けた。

「ふぅ、今どのくらいまで進んだの?」

「位置的には2/3程度ですかね?」

聖子の質問に対しガイアが答える。

奥へ近づくほどゴーレムの数が増えてきているため、段々と攻略するペースが落ちている。

それでも、たった半日でここまで来るのはかなりすごい。

調査隊や軍隊が一日ヒーコラこいて中へ入ったが、1/5も進めなかったのだから・・・

進捗状況の確認を取っていると、不意に誰かのお腹が鳴った。

音の方向を見ると顔を赤くしながら顔を赤くしたセイリがいた。

「時間も時間だから、お昼でも食べる?」

手際よく、ハルキが鍋を取り出し、聖子がインベントリから乾燥させた素材を取り出す。

ドライトマトと干した茸に人参、王都イルペウで入手したパン、そしてなぜか取り出したのは干し肉ではなく蛸のスルメだった。

何でも、スミス共和国のリイノチ湖で最近蛸を使った料理が多く、蛸のスルメを大量に仕入れたらしい。

実際、そこらの干し肉より旨味が強く、歯ごたえもいい。

始めは嫌悪感を出していた仲間も一口食べた途端、その味の虜になった。

慣れた手つきでスープを作り始める。

手際の良さから考えて普段は食事はハルキが作っているのだろう。

ものの20分ほどで昼食が出来上がった。

もともとが大した味のない素材に軽く塩をふった程度なので、味も淡泊なものだが、そもそも、この様な地下でしかも周りは食べられない石や氷の動かない塊しかないため、新鮮な素材を入手するなんてそもそも不可能なので、誰も文句は言わない。

なお、食事中はダンタリオンが認識阻害の結界と魔物除けの魔法を発動したため、ゴーレム達が乱入してくることはなかった。


エクスプロージョンショット

矢に魔力を込めて対象に打ち込む。

矢は対象に着弾時に爆発を起こす。


氷針(アイスニードル)

魔力を氷の槍に変換し、対象へ投げつける。


面白いと思ったら評価、ブックマーク登録をお願いいたします!(*・ω・)*_ _)ペコリ

これ以降少し投稿ペースが落ちます。申し訳ございません。


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