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光の力

国語が苦手でその勉強ついでに書いています。読んで、楽しんでいただければ幸いです。

「じゅ……さ……」

 意識が遠のく中で遠くから声が聞こえてくる。声は大きく聞こえるが、言葉がハッキリ聞こえてこない。

 このまま寝てしまおうか……。

「いい加減に起きないか!?」

「痛っ!?」

 頭に衝撃が走り、そこから顎にまで痛みが伝わった。その衝撃で意識が目覚めた。

「またお前は寝やがって。」

「すみません。」

 そうだ。思い出した、昨日ある事をネタにしたスクープの記事を徹夜で書いてて、それから眠気で意識が遠のいてそのまま寝てしまったんだ。

「それでお前、記事は書けたのか?」

「えーと……ですねぇ。」

 寝ていたディスクの横に置いてあった、プリント記事を編集長に見せた。

「まぁまぁいいんだが……。」

「いいんだが……。何です?」

「何か物足りない。何というかその……途中までは良いんだが最後の締めに、ネタを決めつけていない。」

「決めつけていない?」

「いつも言っているが、お前の記事は最後の最後で、そのネタを確定させていない。要はそのネタを最後にあやふやにする様な。」

「見た物だけが真実とは限りませんからね。俺は、相手の口から本当の真実を聞くまでは、例え何を見たとしても、真実とは思いません。」

「それだからお前は、面白い記事も書けないし、出世も出来ないんだよ……。」

「だって編集長がお願いしてくるネタって何か芸能界の浮気とか、不倫ばかりなんですもん。」

「お前なぁ……」

 編集長は深い溜息をつくと、ふと思い出した様に、その場の近くに置いてあった新聞を俺に渡した。

「この新聞がどうかしたんですか?」

「まぁ見てみろ。」

 編集長に言われるままパラパラとページをめくると、一つの見出しに目が付いた。

「またもや未確認生物発見か?」

 三か月前からだっただろうか、ある一人の男が山道の道路沿いで、奇妙な人型の生物を写真で抑えたと日本中で話題になった。

 生物研究者にもその生物が一体何なのか正体が掴めていない。いや、寧ろ掴めなかったんだ……。

 研究所の社員達が、その生物の確認の為に、その山に入ったのだが、誰一人帰って来る事は無かったのだ。それからその山は、今では閉鎖されている。

 だがこの新聞によると、別の場所でも目撃されている。

「面白いだろ?」

 その一言で全てを察してしまった。だがまだ信じたくないという意志が自分の中にあった。

「編集長……まさか……俺にこれについて調べて来いって言うんじゃあ……。」

「そうだよ、さっさと行ってこい。」

「ちなみにそれはお願いですか?」

「命令だ。」

「……分かりました。不倫だの浮気だのの記事を書くよりは、遥かにマシですからいいでしょう。」

「じゃあ頼んだぞー。潤一。」

 そう言い残し編集長は去っていた。そのすぐ後、俺も未確認生物について調べる為に、その場を後にした。

 

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