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鬼火遊戯戦記  作者: 鎌太郎
第2ターン:初イベントとベヒモス
38/94

7 タンカー修行

むむむ、キャラ数が増えると途端にセリフが多くなるのは、自分の悪い癖です。

なかなか治らないですが、頑張っていこうと思います。


では、本編をどうぞ。






 ――金属と金属が、お互いを削り合う嫌な音が、ジャングルの中で響く。


『ブゥモオオオォオォオォオオォ!!!!』


 牛にも象にも似た咆哮が木霊し、それと同時に巨大な金属の塊が、ビックマウンテンに突貫してくる。

 その勢いはもはや破城槌だ。

 城の門扉すら軽々と粉砕しかねない勢いを持ち、ブロッサムなどまともに受ければ、たちどころに吹き飛ばされてしまうだろう。

 ――その破城槌が対峙するのは、城壁そのもの。

 《移動城壁》と謳われる壁役(タンカー)プレイヤーは、破城槌を受けたところで、その鬼気迫る突進に小揺るぎさえしない。


「ッ――オォオオォオォオオォ!!」


 〈カッパー・ホーン〉と同じ声量の雄叫びが上がる。

 たった2枚の、しかし鉄壁ともいうべき盾が、〈カッパー・ホーン〉の突進の勢いを一瞬だけ殺し、あらぬ方向へ歪ませる。

 その歪ませた方向の反対から、


「――ハッ」


 一瞬にして幾閃もの斬撃が降り注ぐ。


『ブモォオオォオォォ!?』


 痛みで、咆哮が変化する。

 本来効果が薄いはずの斬撃は、確かにそう大きいダメージにはならない。

 しかしそれが何十にも重なれば、ごり押しではあるものの、上位プレイヤーの攻撃力で一定のダメージを与えられていた。

 その場で駒のように回転した〈カッパー・ホーン〉の視線は、自分を傷つけた張本人たるマミに移る、が――、


「オ――『オ゛オ゛ォ゛オ゛ォ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛オ゛ォ゛オ゛ォ゛』!!!!」


 先ほどの気合の雄叫びとは別種の、他者を威圧する怒号によって、強制的にビックマウンテンに移された。

 挑発系(タウンティング)スキルで生み出された敵愾心ヘイトは厚く、その視線はしばらく彼から離す事が出来ないだろう。


(――凄い、)


 彼らから少しだけ距離を置いて立っている筈のブロッサムの手に、微かな汗が滲む。

 上手いのだ。ビックマウンテンの立ち回りは、徹頭徹尾、まるで職人技だ。

 先の攻撃1つとってもそうだ。

 味方――マミのいる位置を正確に把握し、彼女の邪魔にならない位置に盾で誘導する。相手が注意をダメージディラーに向けたのを見逃さず、即座に挑発して意識を誘導する。

 単純なようでいて、それはまるで一種の機械のような精密さを持っていた。

 いつかトーマが言っていた。『タンカーは、普通の人間が考えるよりずっと頭の良い奴じゃないと出来ないんだよ』と。それは実際真実だったんだな、と実感する。

 ビックマウンテンの動き1つ1つには特別なものは存在しないが、それらが全て噛み合って機能する、予定調和のような出来事が目の前で展開される。

 今の自分では、とてもこんな動きは出来ない。


『ブモォオオォ――オォ』


 〈カッパー・ホーン〉はその絶叫を最後に、電子の残滓を残して消失していった。


「お疲れ〜、いやぁ、さっすがビッック。君がタンカーじゃなきゃ、こんなに楽に戦ってられないよ!」

「………………うむ、」


 マミのハイテンションな言葉に、ビックは盾を地面に起きながら鷹揚に頷く。

 2人ともそれなりに激しい戦闘を行っていたはずなのに、息が上がらないどころか、疲れている様子すらない。さも準備運動だったと言わんばかりだ。


「さて、どうだったブロッサムちゃん。勉強になったかな?」

「はい! 凄く! あ、でも、私に出来るかはちょっと心配ですけど」


 マミの言葉に、ブロッサムは何度も頷く。

 もしタンカーの教材のようなものがあるとすれば、きっと彼の動きは映像資料になってただろうなと思えるほどだ。

 ……だからこそ、今の自分にそこまでの動きが可能なのかどうか、分からない。少なくとも、一度も他の人間に攻撃をさせない、なんて高等技能は無理だろう。

 ブロッサムの言葉に、マミは頷く。


「まぁ、実際一朝一夕で出来る事じゃないだろうねぇ……そこら辺、どう思う?」


 マミが視線を向けると、ビックマウンテンは黙ってブロッサムを見る。

 鎧の隙間から目は確認出来ないが、その動きはブロッサムをじっくり観察しているように思えた。


「………………才能は、ある」

「え?」


 意外な言葉が出てきた。

 動揺を隠そうともしないブロッサムに、ビックマウンテンは続け様に話す。


「PvPの時も、思っていた……その、君には、タンカーの才能が、ある」


 少々どもり気味ではあったが、さっきまでの彼とは別人のように、長く話していた。しかも内容は、ブロッサムを褒めるようなもの。


「どうして、そう思うんですか?」

「むぅ……」


 ブロッサムがそう言うと、ビックマウンテンは鎧を纏った体を捩らせる。どうやら、返事が来る事を想定していなかったようだ。

 しばらくそうして体を捩らせると、


「………………目を、閉じない」


 それだけ返してきた。

 その言葉だけでは意味が分からず、混乱した表情でマミを見る。


「はいはい、相変わらずビックは……あのねぇ、ブロッサムちゃん。

彼は『攻撃を受ける時に怖がって目を閉じない、そういう度胸とか勇気があるから』だって言いたいのさ」


 そのフォローに、ブロッサムは首をさらにかしげる。

 なんて奇妙なんだろう。



「――普通ですよね? 攻撃されて目を瞑ったら、防げない(・・・・)じゃないですか」




 そんな当たり前の事(・・・・・・・・・)が、何故才能になるのだろう?

 そう思っていったのだが、しかしマミは目を見開き、まるで変わった生き物を見るようにこちらを凝視した。

 ビックマウンテンは流石にそこまでしていないが、マミを咎めないと言う事は、彼も同意見なのかもしれない。


「驚いた……アハハ、あのPvPで才能は確認したつもりだったけど、結構筋金入りだねぇ」

「………………先が、楽しみだ」

「え、え、何がですか? どういう意味ですか?」


 2人の顔を交互に見る。

 何を間違えているのかすら、ブロッサムには自覚がなかった。


「う〜ん、そうだね、どう説明したもんか……『VRゲームでは嘘を吐くのが難しい』って言葉を聞いた事があるかい?」


 ブロッサムは小さく、それでもはっきり頷く。

 『VRゲームでは嘘を吐くのが難しい』という言葉は、完全没入型のVR技術が一般化し始めてから知られるようになった、現代では慣用句のように使われている。

 嘘、とは、本心と言葉や表情を切り離して行われる。脳で別の事を考えながら、表面上は別の物にすり替えるという特殊な動作だ。

 ところが完全没入型のVRでは、脳が直接この世界のアバターに作用を与えている。体を動かしているように錯覚はしているが、実際には脳が直接コントロールしている。

 その弊害で、慣れていない人間は良く考えていた事をそのままVRの口が喋ってしまう、なんていう事も、初期では珍しいことではなかったそうだ。

 もちろん、最近はシステムも洗練され、そのような事は殆どないし、普通に嘘を言える。あくまで慣用句だ。


「うんうん、まぁその言葉の真意は『だから嘘なんて意味なんかない』って使われるんだけど……その言葉は、未だに真実ではないと言い切れない。

 我々はVRの中で嘘をつけるようになったが――体の動きはそうはいかない。恐怖や動揺は表情や所作に出やすいのは確かだ。

 だから壁役に必要なのは、『未知の敵にビビらない胆力』が必要になって来る」


 現実には存在しない生き物、現実には存在しない敵。

 いくらそれがプログラミングされた『偽物』だったとしても、恐怖を体現したような姿をしたモンスターや、人間にそっくりなエネミーに殺意や敵意を向けられれば、怖がるのはしょうがない。

 怖がれば、アバターはその恐怖を簡単に再現する。外見が変化するという事ではなく、その感情はそのままそのモンスターの威圧感をより鮮明にするのだ。


 それを見れば、さらに一歩引いてしまう。

 それを見れば、さらに体が固まってしまう。

 声が震え、手が上がらなくなる。


 例え一瞬であったとしても、その一瞬が敗因に繋がる。


「そーゆーのが最初からないブロッサムちゃんは、タンカーにとして非常に優秀だ。いや、タンカーっていうより、直接戦う前衛職全般には、って感じかな。

 なんでそんな考えを、どこにでもいる普通の女子高校生が持っているのかは、謎だけどね」


 どこか不思議そうにこちらを見て来るマミに、ブロッサムは閉口した。

 ――それはきっと、負けたくないと思っているからです、などと言いたくはなかったから。

 今まで散々いじめられバカにされてきて、今度はそれに負けたくないと思い始めた。倒れたら、もう諦めたくないと思えるようになってきた。

 きっとブロッサムが前に出れるのは、その負けん気のおかげだと。


「まぁ、それは別に何でもいい……今大事なのは、それを活かせる場所があるって事だ」


 そう言って、マミはあらぬ方向に視線を向ける。

 見てみれば、そこには先ほどと同じく〈カッパー・ホーン〉が佇んで、こちらを気にせず呑気に草を食んでいる。

 おそらく、倒されてから設定されていた時間が経過したのだろう。新たに再出現リポップしたのだ。どうやらアクティブモンスターではないようで、こちらには一切反応を見せない。


「………………ブロッサム」

「は、はい!」


 話しかけられて、思わず姿勢を正すと、ビックマウンテンは徐にブロッサムの背中を押した。体の大きさの割に妙に優しい手つきに、ブロッサムは困惑しながらも一歩踏み出す。


「――――――やってみろ」


 端的だった。

 端的だったけれど、捕捉されずとも意味は理解出来た。

 さっきまでの戦いは、いわばブロッサムにタンカーとしての戦い方を見せる為のデモンストレーション。次は、自分自身で実践しろという事だった。


「……感覚で、覚えろ。フォローは、する」


 ――きっと前の自分だったら、いつもの弱気だったら、無理ですなんて弱音を吐くんだろうな。


「――はい」


 ブロッサムは、想像した前の自分(過去)とは真逆の行動を取っていた。

 ゆっくりと〈ぶちぬき丸〉を正眼に構え、前に進み――そのまま駆け寄って、その鉄槌を〈カッパー・ホーン〉の頭の叩き込む。


『ブ――モォオォオオォオォオォォ!!!!』


 トーマと同じくらいの速度など出ないが、こちらを気にしていなかった〈カッパー・ホーン〉には唐突なものだっただろう。

 痛みと唐突な攻撃、そしてそれを行った者に対する敵愾心で、黒かったはずの目は真っ赤に染まり、そのまま首を左右に振るう。

 それだけでも、装甲が薄ければ一瞬でやられそうな攻撃だ。


「くっ――」


 その強い一撃を、強引にパリィする。ランクの上がった〈パリィ〉スキルはブロッサムの体の動きをサポートし、見事にダメージを相殺してくれた。


「ほらほら行くよ〜――ハァッ!!」


 その隙間を縫うように、斬撃が〈カッパー・ホーン〉の体に飛来する。

 飛ぶ斬撃。

 本来ありえないその攻撃が、少し離れたマミから放たれた。


『モォオォオオォ――オオォォオォォオオ!』


 痛みに体を震わせたと思ったら、何のモーションもなく、マミに突進しようとする。


「――だめ、」


 体の芯に熱がこもる。

 いくらマミの体が鍛えられたトッププレイヤーだったとしても、防御力を低くしている彼女にあのダメージは大きい。

 だから、




「っ――『こっちを、見ろぉ』!!!!」




 《挑発》スキルの乗った絶叫が、その突進を中断させる。


『――モォオォオオォオォオォォ!!』


 その巨体に似合わず、〈カッパー・ホーン〉の転進は1秒もかからなかった。いくらか勢いの削がれた突進は、そのままブロッサムに向かって放たれる。


「ギッ――」


 それを敢えて真っ正面から受けたブロッサムのHPは、鎧の擦れ合う音と共に減少していく。

 格上とは断言出来ないとはいえ、〈カッパー・ホーン〉は多人数向けモンスター、その攻撃力は高く、完全に防御力に傾倒していないブロッサムのHPは一気に2割ほど消失していた。

 ――それで良い。

 完全に防御に重きを置くビックマウンテンと、ブロッサムの戦い方の大きな違いがここで生まれる。


「グッ――ガアアァアアァアアァァ!!」


 突進を止められた一瞬の隙に、体との合間に挟まっていた武器を抜き、振るい上げる。


「――《トライデントスマッシュ》!!」


 上と左右から来る打撃が、〈カッパー・ホーン〉の頭部に与えられる。

 金属の外皮は変形しないが、その代わりにと言わんばかりに、先ほどマミに削られていた〈カッパー・ホーン〉のHPがさらに減少し、半分にまで至った。


「もう、一撃、《スマッシュ・ブロウ》!!」


 体を回転させんばかりに放たれたその一撃が、〈カッパー・ホーン〉の巨体をほんの少しだけ浮かし、衝撃で移動させた。

 HPは、1割の半分も減らない。

 それでも、――隙を作る、という成果を生み出した。


「うん、ナイスだよ。

 《断頭八節――、」


 そこに、マミの突きが刺さる。外皮の隙間を縫って、首を通って、その向こう側にまで。

 ――勘違いされやすいが、【刺突】属性がなくとも突いて貫通させるくらいは出来る。ダメージは微々たるものだが、格下の敵で、本人のスキルランクが高ければ出来る。

 ただ誰も、そんな無駄な事をしないだけ。

 【刺突】属性や【貫通】属性が付いていれば、刺さっている状態でもダメージを与えられるのだ。それが無いのに、無駄な攻撃に時間を割けるはずももない。

 マミも、使うアーツには必要な工程だから行っただけだった。




「――回転木馬》」




 アーツが発動し、刃と同じ山吹色のエフェクトを伴って、縦に回転する(・・・・・・)。

 一度裂かれた下部を伴って、首を完全に断ち、まだそれなりの量があったはずのHPは一瞬で霧散した。

 断末魔の声――本来は上げられるはずのそれを上げる事も出来ず、〈カッパー・ホーン〉は消失し、残るのはドロップ品の目録であるウィンドウだけだった。


「………………おい、マミ」


 ブロッサムに任せる為に後ろに下がっていたビックマウンテンは、鎧の隙間から溜息を吐き出すと、責めるように言う。


「………………やり過ぎだ」


 一応これは、ブロッサムのパーティープレイと、タンカーとしての“練習”だった。だからタンカーであるビックマウンテンは手を出さなかったし、ダメージディーラーであるマミはわざと手加減していた。

 本気を出せば、〈カッパー・ホーン〉など一撃で殺してしまう、連中にすらならないから。


「いやぁ、ごめんごめん、ブロッサムちゃんがあんまりに凄い動きをするからつい……いや、まだ時間あるし大丈夫でしょ! うん!」


 焦るように誤魔化すマミの横で、ブロッサムは軽く上がってしまった息を整える。

 後ろに誰かいる、守らなければいけない相手がいる。それはブロッサムに、想像以上の精神的疲労を与えていたのだ。


「――――――ブロッサム」

「っ、はい!」


 怒られるかもしれない。

 マミに手を出させてしまったのが自分の行動なのだとすれば、怒られても仕方がない。ほんの少し首をすくめて返事をした。

 ……やって来たのは説教でも怒声でもなく――鎧を纏われた優しい手だった。

 ほんのちょっと金属が当たって冷たいが、しかし優しく、どこか戦々恐々とした雰囲気の手が、ブロッサムの髪の毛を掻き乱した。

 これは、もしかしても頭を撫でられているのか。

 驚いて顔を上げると、鎧姿の大男は首肯する。


「………………良く、やった」


 拙い褒め言葉は一瞬そのように聞こえるだけの音のように思えたが、徐々に心の中に入り込んで、喜びという感情を引き出す。


「フフフ、ブロッサムちゃん良かったよぉ〜、特に私に向かって来る敵にすぐ反応出来たの! パーティープレイ初心者は、動揺して動けなくなっちゃう場合が多いんだぁ〜」

「あ、ありがとうございます」


 後ろから抱きしめて来るマミに、ブロッサムは小さく礼を言った。

 撫でて来る鎧の手は止まってはいない。


「……あ、あのぉ、ビックマウンテンさん」

「………………ビックで、良い」

「あ、はい、ビックさん……褒められるのは嬉しいんですけど、撫で過ぎです」

「……ムゥ…………すまん」


 ゆっくりと手を下ろす彼の声は、少々残念そうだ。


「アハハ〜、さてはビック娘さんを思い出してたなぁ」


 ニヤニヤと笑みを浮かべるマミに、ビックマウンテンは何も返さない。返事をしたのは、その言葉に驚いたブロッサムだった。


「お子さんがいるんですか!?」


 意外、などと失礼な事は思わないが、様々な人種がいるMMOに慣れていないブロッサムには、既婚者がいる事が不思議なのだ。

 それに反応したのは、やはりビックではなく、マミだった。


「そうそう! 女の子が2人いるんだって! 意外だよねぇ。

 こんな恥ずかしがり屋な男が、まさか結婚出来るとは、って」

「………………俺の、勝手だ」


 くるりと背中を向けながらの言葉は、まるで拗ねる子供のような声色だ。それを楽しんでいるのか、マミの口はピンポン球並みに軽い。


「ねぇねぇ、ブロッサムちゃん。なんでこいつが兜着てるのか知ってる?」

「……防御力的な意味で?」

「それもあるけど、本当はね……赤面症を隠す為なんだよ! 口数少ないのも、どもり癖がバレないようにでイッテエ!?」


 ペラペラと、本来は言ってはいけないのではないかというレベルの言葉で話し始めたところで、大きな盾がマミの頭頂部に叩き込まれた。

 パーティー申請を行なっていて、しかもぶつけたのは盾だ。ダメージにはならないが、痛みは10分の1で与えられた。


「………………余計な事を、言うな」

「ちょっと、ダメージ入らないけど痛いんだからね!」


 マミの抗議の声に、ビックマウンテンは素知らぬ顔でブロッサムに向き直った。


「ブロッサム」

「はい!」

「………………マミが言った事は、」

「言った事は?」


「………………忘れろ」


 それだけを言うと、彼はもう一度振り返って、そのままジャングルの奥へと歩き始めてしまった。

 気恥ずかしさからそうしたのか、それとも本当に怒っているのか……本当は後者だったとしても、今は前者のようにしか見えない。

 自分に何も言わないのが、その証拠のような気がして、ブロッサムの顔に意図せず笑みが浮かんだ。

怖いのは見た目だけ。

 本当は凄い優しい人なのではないか。

 まだそれほど確証は得られていなかったが、案外外れていないのではないかなぁ、と。






次回の投稿は11月19日の20時に行います。

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