5 組み分けはこのように
空の旅は想像以上に静かなものだった。
「もっと煩いと思ってました」
「この船は、風の魔術アイテムを推進力に使ってるんで、そんなにうるさく無いんスよ。そもそも甲板には冷気除けや風除けの結界が貼ってあるんで、そうそう煩くはならないっス」
舵を取っているネオは、ブロッサムのつぶやきに答える。なんて事のない呟きが聞こえるほど、甲板は静かなものだった。
もう一度、今度は落ちないように細心の注意をしながら景色を見てみる。
既に船はあっという間に高高度に達し【ランプ・タウン】はもう随分後方に小さくその名残を残しているだけだ。
雲はまるで波のように見え、街道やフィールドはもうそのような絵の具をぶちまけた様な乱雑な模様に変わっている。
飛び始めてまだ30分も経過していないが、飽きるのには十分な時間だ。しかしブロッサムは飽きる事なく、空の風景を満喫していた。
その他のメンツと言えば、慣れているのか、行動は思い思いだ。
発信して早々船室に籠っている者もいれば、それなりに広い甲板でリラックスしている者、コウは地図を見て航路を確認したり、計画書を見つめている。
マミや仁王に至っては、酒盛りを始めている。
ちなみに、トーマはすぐに甲板に引っ込んだ側の人間だ。
曰く、
『――ごめん、見てるだけで酔いそう』
だとか。
いつもどこか飄々としている彼の、意外な弱点を見つけたのもあって、ブロッサムの機嫌はさらに良くなっている。
「はぁ〜、空気が美味しい〜」
上空の空気は下のものよりずっと澄んでいるような気がして、思わず胸一杯に吸い込む。冷気除けがあっても冷たい空気が肺の中いっぱいに溜まれば、それだけでブロッサムの気分は晴れていった。
「もう、トーマさんもここの空気吸えば、少しは気分良くなるのに……船室の篭った空気じゃ、余計気持ち悪くなっちゃうかも」
「いやはや全くですな。ですが、トーマくんのあれはどちらかと言えば、高所恐怖症にも近いのでしょう。景色を見ていれば、余計に気持ち悪くなるのかも」
「まぁそれはあり……ます、よ……ね、」
景色に浮かれて何となく呟いた独り言に、返事が返ってきた事で、ブロッサムは混乱しながら視線を彷徨わせた。
いつのまにか、という言葉が似合うだろう。彼女の隣には、禿頭の男性がニコニコと笑みを浮かべて立っている。
赤茶色のベストのような革鎧と、ズボン。そして革の籠手をつけた男性は、ブロッサムよりもだいぶ年上に見える。
笑みを浮かべたその姿は一見優しそうだが、瞳が無くなるほど細められた目と、ブロッサム2人ぐらいは抱えられそうな屈強さは、見る人が見れば怖いものなのかもしれない。
――《嘲笑う鬼火》のご意見番、紳士的な格闘家プレイヤー、善良だ。
「失礼、あまりに楽しそうにしているので、つい話しかけてしまいました。ご迷惑だったでしょうか?」
年下で新人の自分にも丁寧に話してくれる善良に、思わず激しく首を左右に振る。
「い、いいえ、むしろ嬉しいです!」
そもそも今回の遠征の中での自分のプチ目標は『仲良くなれていない人と仲良くする』というものだ。
そういう意味では、向こうから話しかけてくれるのは、渡りに船というものだろう。
「話しかけて貰えて嬉しいです。あんまりお話、出来てませんでしたし」
「そうですな。何せ、ブロッサムさんが入ってからは相当バタバタしていましたから。
改めて、格闘家の善良と申します。以後お見知り置きを」
「あ、えぇ、こちらこそ」
礼儀作法の厳しい学校でもなかなか見かけない綺麗な姿勢で繰り出された挨拶に、ブロッサムもタジタジになりながらも返礼する。
(うわぁ、最初話した時も思ったけど、すっごい礼儀正しい……けど、)
だとしたら、あれは何だったのだろう。
トーマに、一通り全員の紹介は、全員で【ランプ・タウン】に向かう道すがらして貰った。1人1人、トーマの個人的主観も入るものだったが、その説明は殆どの場合妥当なものだった。
しかしその殆どに入らない部分には、善良の紹介も含まれていた。
『善良……《嘲笑う鬼火》最強のプレイヤーで、最強の――変態だ』
……思わず聞き返してみたのだが、帰ってきた言葉は一言一句変わらなかった。
今のところ、見ている限り変態の要素はどこにもない。むしろその真逆だ。紳士的で礼儀正しいその姿と、変態という言葉は結びつかなかった。
「あ、あの、善良さんは、どうしてギルドに?」
何か会話を、と思って口に出してみると、善良はほんの少し悩むように腕を組み、片手で顎を撫でている。
「ふむ、どうして、ですか。
恐らくブロッサム殿が想像するほど、劇的なものではありません。むしろここにいる大半のメンバーがマミ殿にスカウトされてたまたま、というのが多いでしょうな」
「たまたま、ですか?」
「ええ。マミ殿はああ見えて、非常に人を見る目が肥えていらっしゃる。
誘われたメンバーは誰もが、少々変わり者ではありますが、強く、また人格も良い方が多いです」
「えっと、それは、善良さんも、ですか?」
何となく気になって、口に疑問を載せてみる。
「トーマさんが言うには、善良さんが『《嘲笑う鬼火》最強だ』って……」
「ほう、トーマくんが、ですか?」
ブロッサムの言葉に、初めてその鳶色の目を見開く。
そんなに意外だっただろうかと首を傾げると、善良はどこか嬉しそうに話を続けた。
「トーマくんもそうですが、ここのメンバーの大半が戦闘にそのプレイ人生をかけているメンツばかりですからな。違いはあれど、皆プライドは高い。
そんな彼が私を『最強』と言ってくれる事ほど、嬉しい事はありません。
――ですが、その言葉もなかなか難しい。この世界での最強の定義は、判別方法に色々ありますからな」
この世界には、強くなる方法がいくらでも存在する。
スキルランクを上げたり、良い装備を購入したり、プレイヤースキルを磨く方法もあるし、《召喚魔術》や《テイム》をメインにしている人間は、その使い魔の強さに左右される。
アイテム1つとっても、戦術に大きな変化を起こす場合がある以上、どこまでが本人の力量なのか、そうではないのかは読みづらい。
「特に、対人戦、対モンスター戦、対エネミー戦での違いは大きいでしょうな」
善良の言葉に頷きながら、ブロッサムは教えられた内容を思い出す。
この世界では、対AI戦は2種類に分けられる。モンスターとエネミーだ。
本来両者は同じ意味になりがちだが、この【ファンタジア・ゲート】では大きく意味を変えてくる。
モンスターは獣型やその他の『意思疎通が不可能な、文字通りの怪物』だ。
対してエネミーは、敵になっている蛮族などの『意思疎通は出来るが敵対している存在』を指す。
前者は獣との戦闘と考えて相違ないが、後者はある意味対人戦に近い。
AIが操作しているのは変わらないので、ある程度行動を予測は出来る。
だが、高機能NPCと同じくそれなりの処理能力を持っているネームドエネミーの場合、対人戦の要素は強くなる一方。もっともそれも、完全に同じとはいかない。
どの戦闘も、ある意味別物と捉えることが出来るのだ。
「この3つで考えれば、確かに私は全体的に強い。だが強いて言えば、少々対モンスターや対エネミーは苦手です。
マミさんは、対人と対エネミーに特化。イワトビくんは対人特化……トーマくんは比較的私に近い、オールラウンダーでしょう。彼の速さはどんな相手にも有効です」
「……つまり、善良さんは、特別最強というわけではない、と?」
ブロッサムの言葉に、善良は満足げに頷く。
「簡単に言えば、相性の問題なのです。
このゲームはその相性がうまく噛み合わさると、下克上が簡単に発生する。それは、ブロッサムさんも理解しているでしょう?」
――確かに。
思い出されるのは、対リコリッタ戦だ。
あの時格上のリコリッタに勝利出来たのは、クリアリィからの支援や、リコリッタの動揺などもあったが、相手が物理防御に弱い魔術師プレイヤーだったからだ。
もし防御の硬いタンカーや、トーマと同じくスピードを活かすプレイヤーだったなら、ブロッサムの勝利はなかっただろう。
「はい、それは分かります。相性によっては、一撃で敵を倒せるし、逆に倒される」
「そうですな……私の場合、イワトビくんとマーリンさんは、苦手とする相手です」
「イワトビさんが?」
思わず視線を、選手の方に立っているイワトビに向ける。
何をしているのか、何を考えているのか――あるいは何もしておらず何も考えていないのか、私服ではなくニンジャスタイルで、船の行く先を見守っている。
残念ながら、マーリンはこの場にいなかった
「ええ。彼は罠と爆弾の投擲をメインにし、自分を安全圏に置きながら戦うスタイルです。近づけないし、何より罠の張り方が巧妙です。
マーリンさんの場合は分かるでしょうが、範囲魔法など食らえば私は1発でしょうね」
アハハと笑い声を上げているが、内容は非常に殺伐としたものだった。思わず乾いた笑いを一緒に上げてしまう。
「とにかくこのように、〝最強〟というのはかなり難しい定義ですし、逆に誰でも取れる可能性があるという事です。
マミさんはこのギルドを立ち上げる前は『PvP最強』でしたし、私を褒めてくれたトーマくん自身も『【ファンタジア・ゲート】最速』の異名を貰っていますし」
もっとも、これもまたかなり難しい事なのは確かだ。
アクティブアカウント10万人の中で、どの分野であれ「1番」を取るのには、相当の労力と努力を必要とする。
10万人の中の頂点。
故にどの分野であれ、それを取った人間が自信ありげに、『最強』と呼ばれる善良は、実は本当の意味で最強なのではないか、と少し思ってしまう。
軽々しく言っていいものではないなら、尚更。
「――まぁ、仮に最強だったとしても、私の戦い方は少々変わっているらしいので、そう褒められたものではありませんけどね」
「?――それって、どういう、」
善良の言葉を聞き返そうとした時、
「ご歓談中失礼」
先程まで地図や計画書と睨めっこしていたコウが、明るい笑みを浮かべて話しかけてくる。
「実はそろそろ一度街に降りて、補給を行おうと思っていてね」
「補給、ですか?」
積荷が用意出来たから出発したのではなかっただろうか。
ブロッサムがそう思っていると、その疑問はコウの次の言葉ですぐに氷解した。
「〝最低限の〟積荷はね。4年間も離れていたから、あそこにはまともなアイテムも残ってなかったんだよ。
だから使えるものだけ載せて、新しいものはこれから行く街で買おうと思っていたのさ。数が多いから、振り分けや役割は、あとで説明するけどね」
なるほど……この旅は、ブロッサムが思っていたよりも見切り発車だったようだ。
「どこに降りるんですか?」
ブロッサムの言葉に、コウは笑顔を浮かべた。
「通称〝商人の楽園〟――《皆街商会》のギルドタウン、【なんでも市場】さ」
――この【ファンタジア・ゲート】には、現実ほどの経済は成立していない。
貨幣が1種類しか存在しないから為替などは存在しなければ、貨幣が減ったり増えたりする事もない。そこはシステムが管理する部分であり、そもそも1プレイヤーがどうこう出来る領域にないのだ。
しかし全く経済がないかといえば、それもまた違う。
アイテムや装備品などの物の価値は案外簡単にコントロール出来るし、良く使えば大金が手に入り、悪く使っても大金が手に入る。
市場が正常か、あるいは以上に陥る程度の差しかない。
もっとも、異常であればどんなプレイヤーでも困るのは当然だ。
アイテムを消費し続ける戦闘系プレイヤーは言うに及ばず、素材アイテムを欲する生産系プレイヤーにも影響を与えるし、商人だってまともな商売が出来なくなるのだ。
しかも、ここには実際現実の生活費を稼いでいるプレイヤーもいるのだ、市場が混乱し、稼ぎが減れば大問題だ。
まだゲームが始まったばかりの頃は、相当混乱した。
――そこで登場したのが、商人のみで構成されるギルド《皆街商会》だった。
1人のギルマスと優秀な商人プレイヤー達の手で作られたこのギルドは、瞬く間に、【ファンタジア・ゲート】内の流通と経済の調整役というポジションを得た。
1日に100億M稼ぐ化け物ギルド、と噂される彼らがいなければ、この【ファンタジア・ゲート】はとっくにゲームとして破綻していただろう。
その前に運営がなんとかしてくれると信じたいが、自由を尊ぶ彼らは案外、それを看過していたかもしれないと思ってしまうが。
とにかく、《皆街商会》の功績が大きい。
攻略にも生産にも何も関わっていない、ただ右から左へ、左から右へ商品を流すだけであるにも関わらず、トップギルドに数えられているのは、当然と言えるだろう。
であれば、彼らのギルドシティ【なんでも市場】もまた、この世界の経済に重要な役割を持っているのは、否定出来ない。
「……おっきい、です」
天に囲いを作ってしまうのではないかと思えるほど高い城壁を見て、ブロッサムは簡単の言葉を漏らす。
まるで区切りがないその城壁は、一見すれば【始まりの街】以上の大きさを誇っているように思えた。
市場という言葉にそぐわない、それはまさに大都市の様相を呈していた。
「そりゃあ、この世界に流通するほぼ全てのアイテムや装備が収束する場所、って言われているくらいだからな」
ブロッサムの隣で、トーマは彼女とは反対になんでも無いような風に話し始める。
「《皆街商会》そのものの構成人数は100人前後だが、その傘下に入っている商人プレイヤーやギルドは多い。そいつらの商売と『移住』にはそれなりの場所が必要だ。
実際、そのマージンだけでそれなりに稼げてるって話だ」
「移住? ギルドメンバーじゃないのに、住めるんですか?」
「ああ。『タウン』や『シティ』って呼ばれている場所はそうだな。
もっとも、感覚的には間借りに近いし、その分費用はかかる。けど逆に、金さえ払えばそれなりに便宜を図ってくれるから、利点がないわけじゃない。
ギルドには所属したくないが、協力したいとか、庇護下に入りたいってのは、珍しい話じゃないんだ」
大きいギルドになると、そういう話が多いんだよなぁと、トーマは完全に他人事のように話す。
「うちはやらないんですか?」
タウンを持っているのは《嘲笑う鬼火》も同じだ。もしかしたら、移住を希望したい人間も多いかもしれない。
そんなブロッサムの言葉に、トーマは苦虫を噛み潰すように顔をしかめる。
「マミがそういうの嫌うってのが大きいが……うちは、良い噂ないから、半分くらいのプレイヤーは『関わりたくない』そうだ」
《嘲笑う鬼火》は【ファンタジア・ゲート】の中でかなり有名なギルドだが、それは良い意味でも悪い意味でも、だ。
攻略に貢献したり、ギルド間戦争で名を売ったりはするものの、本質は気ままなお騒がせギルドだ。
そこの傘下に入りたいなんて、よっぽど変人か、噂に疎い馬鹿だ。
「そういうもんなんですか……私、入った事を後悔した方が良いんですかね?」
「どうだろうな。お前もちょっと変わってるし」
「どういう意味ですか!?」
そんな風に2人でじゃれあっていると、パンパンというハッキリとしたコウの拍手で、船から出ていたギルドメンバー全員が向き直る。
「はい。というわけで、それぞれ役割分担をして、必要物資を買い付けようと思う。早速、メンバーを発表する。
ネオ、善良、サマサの3人で、船を動かす物資の調達をお願い出来るか」
「了解っス」
ネオが律儀に敬礼するその隣には、禿頭の格闘家がいつもの笑顔で頷き、その反対側には、白いローブを纏った女性が、これも柔らかい笑みを浮かべていた。
手には不恰好ながら、どこか流麗な杖を持っている女性。クルクルとカールするそのショートヘアは、どこかカスタードクリームを思わせる。
サマサ。トーマの話では、純粋な回復職プレイヤーだそうだ。
「仁王は、武器を使わない人間の武器の調整と、それに必要な素材アイテムの調達。
イワトビとクリアリィは、その料理に必要な物資を揃えてきてくれ」
「おう、了解だ。バッチリ任せろ!」
「えぇ〜、私イワトビと一緒〜?」
「なんで嫌がるでござるか!?――まあ、こっちは了解でござる」
いつも通り豪快な声を上げる仁王、嫌そうなクリアリィ、戦闘時のマスクを被ってツッコミをするイワトビの順に返事をしていく。
それに頷くと、コウは今度はトーマに視線を向ける。
「トーマ、マーリンと一緒に回復アイテムやなんかの、消耗品を買ってきてくれるかい? あくまで個人準備前提ではあるが、補給物資としても押さえておきたい」
「了解」
「あんまり数は必要ないわよね?」
トーマとマーリンの言葉に、コウは苦笑する。
「まぁ、重要性は低いのは確かだ。ぼったくられる位なら、買わないでくれた方が良い。そこら辺の適当な塩梅は任せるよ。僕は、商人たちから〈ベヒモス〉の情報を集めてくる。
それでだ――」
今度こそ、コウの視線がブロッサムに向けられた。
「ブロッサムさん。君には重要な任務を与えよう」
「っ、はい!」
ギルドから与えられる、初めての仕事。思わず肩に力が入り、自然と背筋が伸びる。
「ギルマスのお守りだ」
――思わず、どこかのお笑い劇場のようにズッコケてしまいそうになったのは秘密だ。
「ちょっと、バカとは何さ、バカとは!」
マミの不満気な抗議に、コウはどこ吹く風だ。
「そもそも、お前が街に入れないのは自業自得だろう。ブロッサムさんとビックマウンテンの2人で、フィールドに出てろ。
まだブロッサムさんはパーティープレイに慣れていないんだ、基礎的なイロハなら、2人で教えられるだろうし」
コウの言葉に、ブロッサムの視線はゆっくりと、人一倍大柄な影に向けられる。
骨格を変更出来ないこの【ファンタジア・ゲート】において、2メートル近い身長がある彼は、まさしく〝巨人〟と呼べるだろう。
豪華な灰色のフルプレートに、表情が完全に隠れる同色の兜を被っている所為でどういう顔付きなのかは分からないが、鎧の飾りの所為で、昔話に登場する鬼を連想させる。
「……っ……コウ、だが、」
どこか困惑するように話始める鎧姿の男、ビックマウンテンに、コウはどこか諭すように話始める。
「ビック。彼女はそのスキル構成上、壁役に近い動きをしなければいけない。きっと君のそのプレイングが、彼女の役に立つだろう。
難しいのは承知の上だが、頼めないか?」
「……………………」
鎧の男の表情は分からないが、どこか困惑し、思案しているのはその雰囲気で察する事が出来た。
数秒にも数十秒にも感じられる程度迷っていたビックマウンテンは、
「………………委細、承知」
とだけ返事をすると、マミの首根っこを掴み、歩き始めた。
「ちょ、ビック、ビック首締まる、水中でもないのに窒息BS付いちゃうって!」
マミの抗議にも、ビックマウンテンは何も返事をせず、黙々と歩いて行ってしまう。
「……着いてって、いいんでしょうか?」
ブロッサムは、思わず不安げにコウに話しかけた。
まるで、ビックマウンテンのそれが、世話をするのが面倒と言わんばかりの態度だったように見えたからだろう。
そんなブロッサムを安心させるように、コウは笑顔を浮かべた。
「ああ、行ってくるといい。彼も悪い人ではないから」
「……はい!」
その言葉に勇気をもらうと、ブロッサムはその大きな背中を追いかけた。
次回の投稿は11月18日の20時に行います。
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