26 決着
「――うそ、なんで、どうして、」
リコリッタの手は同様と恐怖で震えている。
難しい話じゃなかった筈だ。
36人で、たった6人を踏み潰す。そうすれば彼女の夢にまた一歩大きく近く事が出来たはずだった。
なのに目の前に広がっているのは、その半数以上を既に倒されているという現実だった。
あり得ない。
最低でもランクⅤ、最高であればランクⅦのスキルを持ち、対人戦にも明るいメンバーなはずなのに、普通とは違う戦い方に翻弄され、蹂躙されている。
あんな無茶苦茶な戦い方があるなんて、誰も教えてくれなかった。
楽器の音を響かせながら常にバフをかけ続ける歌唱魔術使い。
たった一撃でタンカーの首を落とせる女侍。
異常な速さで罠を設置する忍者。
どれもこれも、プレイヤーとしては王道とは程遠い外道だ。
「あんなの、あんなスタイルまともに機能するわけないじゃない! チートよあんなの!!」
「お、落ち着いてリコリッタ」
必死な思いで叫び始めるリコリッタを、近くで男性魔術師が支える。
だってこんなの、
「――スキルランク、アーツの強さ、武器防具の強さ。そういうのは結局関係ない」
男性魔術師が、ビクリ、と体を震わせる。
胸からは、穂先の大きい短槍が生えていた。
その背後に立っている男……トーマは、その姿に動揺する事なく話を続ける。
「それらはあくまで、『ファンタジー世界で戦った事がない現代人』を『この世界の開拓者』に仕立てる為の、単なる補助だ。
そこに胡座かいてる時点で、トッププレイヤーどころか上位プレイヤーを名乗るのさえ烏滸がましい」
カタカタと震えるリコリッタに、トーマは笑顔を浮かべた。
獰猛な、獣の笑みを。
「――ここは確かに遊び(ゲーム)の世界だが、マジでやってねぇ人間がトップ狙えるほど、甘い世界じゃないんだよ」
「きゃぁああぁああぁ!!」
リコリッタは絶叫を上げながら逃げる。
よく見てみれば、もうすでに自分以外の回復職や魔術師職のプレイヤーはどこにもいない。倒され、データの残骸になって消失してしまった後だった。
唯一生き残っていたのは、自分と、彼らを守るはずだった護衛のタンカーだけだった。
「ちょ、ちょっと何してんのよ! アンタ私を守る為にいるんでしょ!! あいつを何とかしてよ!!」
リコリッタのヒステリックな言葉に、重装な鎧を着込んだ男は一瞬躊躇するが、それでも彼女を庇うように、トーマの前に立ち塞がった。
――彼は、リコリッタに付き従っている人間の中でも、最強のタンカーと言って良い。その鎧を打ち砕かれる事はなく、上げたスキルとステータスのお陰で、生半可なダメージディーラーの攻撃は通用しない。
今まで一緒に戦って、HPが半分に落ちたところを、リコリッタが見た事がないほどだ。
「ありゃ、まぁ別に良いんだけどな。アンタを殺すつもりはなかったし。何せ今回俺らは主人公じゃない。
脇役は主人公の見せ場を作る為に動くだけだ」
そう言いながら、両手に持った二本の短槍を振るう。
――トーマもまた、普通のプレイングとしては異常だった。
短槍は、数多ある槍の中でも不遇と言っても過言ではない武器だった。
両手で持つのには短く、片手で振り回すのにはコツがいる微妙なリーチ、攻撃力もそう高いわけではない。
弱点を付きやすい【刺突】属性の武器であり、クリティカルを出し易いものではあるが、それもおまけ程度だ。
軽量の盾と併用してダメージディーラー兼タンカーのような運用も出来るが、槍特有の速度を活かしきれず、中途半端なプレイヤーになってしまう。
それを二本使用するプレイヤーなど、寡聞にして聞いた事がなかった。
「………………」
トーマの戯言にも耳を貸さず、重装の男は巨大な盾を正面に突き出し、手に持ったハンドアックスを構える。
ただそれだけで、1つの巨大な鉄塊のような重厚さを持つ彼に、普通であれば躊躇して動きを鈍らせるものだが、トーマは動揺の様子すら見せようとしない。
たかが鉄塊だ。
表情が、態度が、構えが、そう言い切っていた。
「――《威風動々》、《疾風脚》、《暴風強化》」
口々に呟かれたアーツ名に呼応して、彼の体にナイルグリーンのエフェクトが纏われる。
補助魔法。自身のステータスや攻撃力そのものを強化するそれらは、色から察すれば《風魔術》のスキルで生まれるそれだった。
二槍に、魔術、あまりにもチグハグで、それだけで重装の男は兜の奥で笑みを浮かべる。実用性のないネタ構成だ、と。
「ん、準備万端――んじゃ、しっかり構えろ」
それだけ言うと、トーマは男に向かって駆け出した――いいや、もう駆け終わった。
風。
目に見えず、いつ、どのようにそこに至ったかも分からない。文字通りの音速で、トーマは男の構えた盾を蹴り上げる。
「グッ――《格闘術》か!」
素手や足技での攻撃を有効にする《格闘術》のスキルは、敵の武器を弾いたり、ノックバックを引き起こすのに有用だ。
この場合もその例に漏れず、重装の男の盾はあらぬ方向に飛ばされ、刹那と言うべき短い時間で硬直する。
そしてその刹那という時間は、トーマにしてみればあまりにも、遅い。
「――ハッ!」
短い気迫の声と同時に、5つの刺突と斬撃が振るわれ、その全てに極彩色のエフェクトが発生する。
一瞬のうちに放たれた攻撃は、全てクリティカルだったのだ。
重装の男のHPは、一瞬のうちに2割を喪失していた。
「――チーターがぁ!!」
怒りの声を上げながら、ハンドアックスを振り下ろす。
その1撃をトーマがまともに受ければ、かなりのダメージになるはずだったが、凶刃はそのまま空を切る。
「おいおい、そりゃあ酷いな。こっちはC言語どころか、まともにパソコンも使えない男だぜ? チートなんて使える訳がないだろう?」
既に距離を離し、なんでもない事のように言っているトーマは、ヘラヘラと言葉を返す。
チーターとは、言わば外部からデータを改ざんし、キャラクターを強くする反則技を行なった人間を指す。
バレれば即そのアカウントは停止され、二度とゲーム世界に帰ってくる事は出来ないだろう。
だがそんなトーマに、重装の男は噛み付いた。
「抜かせ! 短槍を二槍で使い、あんな速度の中で普通のプレイヤーがクリティカルを出せる訳がない! チートじゃなければなんだと言うんだ!
それにその武器、何故槍なのに【斬撃】属性を帯びている、槍は【刺突】しか実装出来なかったはずだ!!」
人間の反応速度は、0.16秒から0.20秒が限界だ。それ以上の速度で動くものに、人間の体は反応しきれない。
トーマの速度は、それを軽く超えているように見える。
そんな瞬間移動にも近い速度を出しておいて、攻撃がクリティカルになるように、扱いの難しい短槍を振るうなどあり得ない。そもそも、まともに目的の場所で静止する事すら無理だ。
しかも武器すら今まで見た事がない軌道を描いていたのだから、彼がトーマをチーターだと断ずるのも、無理はない話だった。
――だが、
「……あっほくさ。お前何言ってんだ?」
重装の男の言葉を、トーマは一笑に付す。
「そもそもここはVRだぞ? 肉体なんて言うもんは、最初からないんだ。
――だったら、普通に鍛えりゃそれ以上早く動けるし、反応も出来る」
――ずっと戦ってきた。
現実で両足を失い、もはや速度の世界に立てなくなってしまった自分がこの世界で追い求めたのは、単純な〝速度〟。
背後に流れていく景色。
まるでスローモーションのように動く敵。
次第にそれが愉快に思えてきて、もっと、もっとと求めていった。速さを手に入れる為ならば、どんなに難しいスキルも手に入れた、それの為だけにアーツを作った、それの為だけに装備を吟味した。
たったそれだけ。
敵を倒す事も強くなる事も、自分の理想に到達したかの確認方法。
――【ファンタジア・ゲート】最速。
トーマの眼中には、それしかなかった。
……結局、最速の称号はとある女に持ち逃げされたのだが。
とある、魔法剣士なんて馬鹿なスタイルで戦っていた女に。
「それに武器、そう武器な……そりゃあお前が世間知らずなだけだ。槍の中にもそういう変わった武器はあるんだぜ――こいつみたいにな」
翳された槍は鈍い光沢で光を反射する。
――斬撃槍という武器が現実には存在する。
槍本来の『突く』機能の他に、『斬る』という機能が付随した槍だ。この【ファンタジア・ゲート】で仁王が手掛けたその槍も、また同じ効果を持つ。
【刺突】と【斬撃】の属性を同時に備えた特殊武器。
勿論、現実のように扱いやすいとまでは行かない。むしろ最高の鍛冶屋が生み出したのその一対の武器は、普通のプレイヤーであれば装備するのを諦める程気難しい武器になってしまった。
それでも彼がその武器を使うのは、プレイスタイルに合っているというだけ。
攻撃力が低いなら、手数を増やせば良い。
距離が足りないなら、武器を伸ばせば良い。
クリティカルが出ないなら、クリティカルが増やせる武器を使えば良い。
本来ならばもっと簡単で、もっと自由度の高い方法があったのに、トーマはそれを選んでしまった。
だって、嬉しいだろう?
『二槍なんてかっこいいじゃん!』と女の子に褒められたら。
両手に持つは、双斬撃槍。
セラと一緒に呼ばれた称号は《神速の対翼》
1人の時は、単純に、
「時間稼ぎに話してやったが――そろそろ、終わりにしようや」
――《音速使い》。
○
「こ、こんなの卑怯よ、」
1人の重装兵と、1人の二槍使いの戦いを見ながら、絶望の声を上げる。
だってそうだろう。自分の周りにはこんなに弱い奴らしかいないのに、自分はこんなボロボロに負けているのに。
自分よりもずっと下の女が、強い仲間を得ているなんて、理不尽だ。
その考えこそ、あまりにも理不尽なものである筈なのに、リコリッタは気付かない。
自分はまだHPを失っていない。MPも健在、まだ一回もアーツを使用していない。それなのに、ここまで打ちのめされるなんて、おかしいじゃないか。
「ねぇ、そうでしょう! 私はあんたより上のはずなの!! 《銀鎧騎士団》に入って、仲間だって強くて、これからもっと活躍するはずなの!
アンタみたいな何の取り柄もない女と違って、私には将来があんの!
なのに、なんでこんな邪魔するの! 虫みたいなアンタが、なんで私の邪魔をするのよ!!
答えなさいよ、香納!!」
リコリッタの震える声は、ブロッサムに助けを求めるようなものだった。
それに対して、一瞬困惑の色が瞳に映る。
――そう、きっと私は卑怯なんだ。
こんなに強い人達が一緒に戦ってくれる。装備だって、戦い方だって世話をして貰った。
トーマに助けてもらえなければ、最初に彼に出会っていなければ、きっとこんな風にはなれなかった。
こうやって、リコリッタの前に立つ事も出来なかっただろう。
自分の力だけで手に入れたものは、未だにない。
……でも、卑怯でも良い。
逃げても良いんだ、助けを乞うて良いんだと言ってくれたトーマが、そう言ってくれたから。彼の言葉を、嘘だとは思いたくなかったから。
だからブロッサムはその困惑を消し去り、強い意志を瞳に灯す。
「香納じゃ、ありません――私は、ただのブロッサムです」
戦鎚を振るう。余波で砂塵が舞ったが、それすらも今のブロッサムには、気にならないものだった。
「構えてください――戦ってください」
構える。
それだけの筈なのに、雑魚である筈なのに、リコリッタにはブロッサムが歴戦の戦士に見えた。明確な敵意と、殺気が見えた。
だから、かもしれない。
恐怖を感じたのが許せなかったのか、単に強者への抵抗だったのか。
リコリッタは一瞬の躊躇も見せる事なく、魔道書を開き、自ら培った魔術を発動させる。
距離は話せる程度にしか開いていはいないが、それでもそれを一瞬で埋める事は、金属鎧を着ているブロッサムには無理だ。
だからこそ、一撃で殺す。
その意図を持って、リコリッタはアーツを起動させる。
「――《石鎚》!!」
空中に、何本もの石の柱が生まれた。
《石鎚》
中位の魔術師プレイヤーが使用する、《土魔術》の小範囲攻撃。
たった1人に使用するにはあまりにも強力で、過剰だった。
それを、リコリッタは一切の遠慮なしに放つ。
「――ッ」
ゴウッと風を切る音を伴いながら、石柱達はブロッサムに殺到する。
魔術を防ぐ方法は基本的に2つ。魔術スキルで防御するか、回避するか。それ以外に防御策は存在しない。特に範囲魔術ともなれば、カバーしなければいけない範囲は膨大だ。
――だが、2つの要素が第3の選択肢を可能にさせる。
リコリッタの放った魔術が、炎や水などの不定形のものではなく、土魔術で生み出された石という、『普通の人間にも触れられる』ものだった事。
そしてもう一つは、
「グッ、ガァアアアァアァアァ!!」
彼女のプレイヤースキルが優れていた事だろう。
ブロッサムは戦鎚を横にして構えると、飛んできた石柱に合わせて、持ち上げるように全身を伸ばす。
ぶつかった瞬間の衝撃は尋常ではない。だが石柱はそのまま〈ぶちぬき丸〉の柄を滑り、後方へと流れていく。
――《パリィ》だ。
数ある【ファンタジア・ゲート】のうちの技能の中でもかなり難しい部類に入る、魔術のパリィを行なったのだ。
出来ない事ではない。前述した通り、触れられるものとして存在するそれをパリィしたり、普通の盾で防げないはずもなく、トッププレイヤーならば多用する。
だからこそ魔術師プレイヤーでも高位のプレイヤーは、そのような危険性を排除する為に、簡単には防げない魔術を使用する。
――しかし誰が予想する?
上位プレイヤーどころか、ほんの数日前にゲームを始めたばかりのプレイヤーがそんなやり方を知っていると。
リコリッタどころか――これはブロッサムにも予想出来ていなかった事だった。
出来るかもしれない。
そんな言葉が頭に浮かんだ瞬間、出来てしまった。彼女にとっては、たったそれだけの事だった。
常人には想像も出来ないほど、あり得ない話だったとしても。
……しかし当然、完全に威力を殺すことは出来なかった。自分の体を容易く圧殺出来る石柱を完璧にパリィは出来ない。
そうしている間にも、HPはみるみる削られていく。
クリアリィから貰ったバフのお陰で防御力もHPも上がっているはずなのに、視界は一気に警戒色である黄色に染まっていった。
それで良い。
HPを削られれば削られるだけ、彼女の力は跳ね上がるのだから。
石柱をパリィし切った瞬間、ついに黄色い視界は――見慣れた赤に変化する。
「――アァアアァアアァアアッァァアアァアァアアアァアァ!!!!」
絶叫。
なんのスキルも載っていない、ただの咆哮。
それはしかし、人間の本能に訴えかける、恐怖の象徴だった。
足が動く。上がったステータスの影響で、ブロッサムの足は既に重戦士としてはあり得ない速度に加速していた。
「こっ、来ないで!!」
リコリッタが炎を放つ。もはや保存アーツですらない、《炎魔術》で生み出した、単純な火の玉。
それだけでも、魔術への耐性を有していない人間には効果があっただろう。だが既にブロッサムの肉体は鋼にも等しい力を持っていた。
炎玉は、彼女の残り少ないHPを1ドット減らす程度。
それでも、リコリッタは半狂乱になって魔術を放ち続ける。
来るな、
来るな、
来るな!
来るな!!
「来るなーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
激情に任せて、リコリッタはある種の奇跡を起こす。
呪文もなく、アーツですらなく、ただMPを注ぎ込んで生み出した火炎は、炎魔術系統でも上位の魔術《炎熱の嵐》に匹敵する威力と効果を生み出す。
炎に包まれ、あとは焼かれるのみ。
もはや死亡エフェクトすらに視認できない業火の嵐。
「――ふ、」
その炎から、リコリッタの前に飛び出す影があった。
既に防具は設定された耐久値を失い、ボロボロになっている。もはや防具としては機能しないレベル。
それでも彼女は健在だった。
たった数ドットのHPしか残っていなくても、武器も、自分の体も、まだ動いていた。
「ざ、」
「や、やめっ」
咄嗟に防御魔法を発動させようとするが、口がもつれて何も言えない。
「け、」
戦鎚が振るわれる。
たった一撃。
たった一撃を叩き込むためだけに。
「る、」
それは今までの彼女の攻撃の中で、最高の一撃。
自分の持っている全てを乗せ、放たれたそれは、
「――ナァアアァアアアァアアアァアアァアァ!!」
リコリッタという1人の中堅魔術師のHPを吹き飛ばしてしまうのには、あまりに十分な威力だった。
◇
奇しくも同じタイミングで、トーマが動き出す。
音速。
その二つ名の通り、彼は音を置き去りにして重装の男の前に立った。
「――ッ」
防御を固める。
いくらクリティカルを発生させようとも、視認出来ない速度で攻撃を放とうとも、盾の上からであればなんの意味もない。
普通であればその判断は正しい――トーマが普通の人間でないことを除けば。
目の前から、トーマが文字通り消えた。
残像。
それは膨大な処理能力を誇るVRではあり得ない、ほんの小さな誤差。それを起こしてしまえるほど、トーマの動きは早かった。
「――《十二流星》」
6つの斬撃。
6つの刺突。
その全てのエフェクトが、極彩色を纏って重装の男の背後に放たれる。
1撃1撃が、そのダメージを倍加させ、男のHPを目に見えて削っていく。
ただそれだけ。
ブロッサムのような厳しさも華やかさも存在しない。トーマにとって予想外も何も存在しない普通の攻撃。
しかしそれに出会って来なかった男からすれば、消失するように消えていくHPバーが、まるで夢であるかのように感じた。
……いいや、これは夢だ。
……そうじゃなきゃあり得ない。
……だって今まで自分はHPを半分以下にした事がない。
……これからも、自分は強くなっていくんだ。
……壁職最強と言われるギルマスも超えて、俺は――、
そう思いながら、彼は死亡エフェクトに染まって、消えていく。
トーマはそれに何の感情も向けなかった。
侮辱も、賞賛もしない。負けた方にそれは不要だし、彼だって迷惑だろう。それがトーマの、一種の礼儀だった。
――代わりに、ブロッサムを見る。
随分ボロボロだ。もう防具は新しく買った方が早いだろうし、武器は仁王が本格的にメンテしないと使えないだろう。
だけど、生きている。
リコリッタを倒し、呆然としていて、今にも倒れそうだが。
それでも、生きている。
「――お疲れ」
背後から近づいて、その頭を撫でながら、トーマは言った。
ブロッサムは一瞬反応に遅れながら――それでも、笑顔を浮かべた。
「――はい、きっちり勝ちました」
闘技場の画面には『Winners:《嘲笑う鬼火》』と表示され、会場は、今まで以上の歓声に包まれた。
次回の投稿は11月14日の0時に行います。
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