表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/49

外伝 洗馬州智研の憂鬱(って、お前だれ?)

ホントに誰?


※ 基本的に本編とは関係のないお話なのですが、じじぃの愚痴に付き合っていただければ幸いです。

 わたくしの名前は洗馬州(せばす)智研(ともあき)


 姫崎家の運転手兼詩子様のお世話係をさせていただいていております。

 御年74――自分でいうのも恥ずかしい限りですが、好々爺にございます。


 詩子お嬢様とのお付き合いは、それはもう乳飲み子の頃からです。

 幼い頃から可愛く、宝石のような神々しさを持っておりました。

 そんな詩子様をわたくしは、実の子供以上にお世話をさせていただいております。


 おかげで、実の子供には逆勘当され、妻には出て行かれてしまいました。

 しかし、詩子お嬢様のお世話が出来るだけで、わたくしは幸せです(涙キラーン)。


 最近、詩子様はとてもお元気であられる。

 一時は、ひどくやつれ、わたくしの目算によれば、体重は7キロ減少し、バストトップの位置が5ミリほど下がっておりました。若干、生理も乱れていたと記憶しております。


 おいたわしや。


 あの頃を思い出すと、今でも口惜しくてたまりませぬ。

 校門前で出迎えにくる不届きな輩を、わたくしが異界の地にて体得した邪竜活殺血盟拳を何度食らわせようと思ったか。まさか再び現世に戻った時には、魔王ジャラスの呪いで何の力もない人間になってしまうとは……。このままでは流血の聖女アフロシア様との約束が果たせなくなってしまいます。


 いや、今はそれをいうまい。

 今のわたくしは一介の運転手。

 詩子様を学校まで送り迎えするのがわたくしの使命でございます。

 ラフラシア(ヽヽヽヽヽ)様との約束は、もう諦めるしかありません(作注:洗馬州がいっていることはすべて妄想です。作品とは関係ありません。そして年のせいか、設定がガバガバです)。


 詩子様のお話に戻りましょう。


 先ほどもいいましたが、詩子お嬢様はとてもお元気です。

 体重もベストに戻ってきましたし、何よりバストが1センチもアップしております。

 さすがは成長期。まだまだ美しさに磨きがかかるとは、この洗馬州……。涙が出るほど嬉しゅうございます。


 しかし、心配はございます。


 どうやらお嬢さまが最近、ご機嫌がいいのはお友達が出来たからのご様子。

 それは喜ばしいことではあるのですが、どうやらその相手というのは“男”のようなのです。


 詩子お嬢様も花の女子高生。

 確かにお付き合いはございましょう。

 それが時にラブロマンスに発展することは、健全な女子あらば致し方ないとは思うのです。

 詩子お嬢様がそう選択される。それは構わないと思っております。


 しかし――。


 男、てめぇダメだ!(ゴゴゴゴゴゴゴゴ……)


 なんと身の程知らずなのでしょうか。

 鏡を見たことがあるのかどうかも怪しい。

 姫崎詩子様ですよ!

 神の奇跡! 55億年に1人の美少女! 楊貴妃とクレオパトラと小野小町を足しても無理と称される詩子様とお付き合いなど、分際を弁えていないとしか考えられない。


 お嬢さまと並ぶことが、出来るのは大神ディグ。

 もしくは13の試練に打ち勝ち、邪女神カービラの首を討ち取った英勇マダズを召喚せし、33の秘奥と666の術式破壊を修めた竜翠の瞳を持つマジックマスターぐらいでしょう。

 残念ながら、わたくしは23の秘奥しか手に入れておりません。

 早く33の秘奥を集め、詩子お嬢様が待つ翡翠の玉座へと向かわねばなりません(作注:くどいようですが、作品となんら関係はありません)。


 まあ、良い。

 いずれ相まみえる時もあるでしょう。

 それまでに、邪竜クドラフトの呪印を解く方法を考えねば……(作注:やっぱりガバガバです)。


 わたくしはちらりとルームミラーを確認いたしました。

 詩子様は後部座席に座り、本を読んでおります。

 本には可愛い花柄のブックカバーがついておりました。


 詩子様は基本的に車中で本をお読みになられることが多いです。

 とても大人しく、そして静謐を好まれます。

 だから、わたくしは極力口を挟まないように心がけております。

 決して昔、「洗馬州の話は難しいですね」とやんわり否定されたからではありません。


 ところが、今日のお嬢さまは本を読み切ってしまったご様子。

 一息を突き、満足したような笑みを浮かべますと、本を鞄の中にしまわれました。


 学校までまだ少し時間がございます。

 詩子様はそのオニキスの瞳を車外へと向けました。

 ちょうど車は信号で停止をいたします。


「あら?」


 優雅な曲線を描いた眉毛をぴくりと動かします。

 何か気づいたご様子でした。


 わたくしも確認したのですが、それはラーメン屋でした。

 どうやらオープンしたばかりなのでしょう。

 雅やかな花輪が店先を彩っておりました。

 まだ朝も早いのに、すでに開店待ちをしているお客がいるところを見ると、なかなかの有名店のようです。


 ふむ。詩子様はラーメン屋が気になるようです。

 わたくしは、己に課した第7プロテクトを一時的に解呪し、詩子様に話しかけました。


「お嬢さま。あのラーメン屋が気になるのですか?」


「ラーメン? ああ、あそこはラーメンを食べるところなのですね」


 感心したご様子。

 なおも店先を熱心に眺めておりました。


 わたくしは、ピンときました。

 16年近く、お嬢様にお仕えしてきたのです。

 雷蛇神クルドゥワからもらった第三眼を開かなくとも、今詩子お嬢様が何を考えていらっしゃるのか手に取るようにわかります。


 ほっほっほっ……。

 わたくしは気さくに笑い、詩子様に言いました。


「詩子お嬢様、あのお店を我が一族に加えたいとお考えなのですね。ならば、血判状を作り、血の契約の元、かの地と召喚契約を結びいたしましょう」


 …………。


 沈黙が流れます。

 詩子様は車外を眺めたまま、窓際に肘をつきました。


「洗馬州……」


「はっ」


「信号……。青ですよ」


 …………。


 スルー…………されてしまいました。


 わたくしは前を向き、交差点を通り過ぎていきました。


次のラーメンの話を書こうとして、運転手のモノローグから始めたら、

調子に乗って長くなり、割と面白いのでそのまま1話にしてしまいました。

ホントすいませんm(_ _)m

本編は18時掲載予定です(本日はギャグ回)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ