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室町っく・わーるど  作者: 勒野宇流
納屋から同仁斎へ
2/27

第1章の(2)


「あっ、ヨシマサさんごめんなさい」


 男の声に気付いて、カスピが手を緩める。そして渓市から降り、ちょこんと正座した。


「だれ、この人?」


 カスピに痛めつけられた首をグルグルと回しながら、渓市が聞く。男は妙に、全身から上品な雰囲気を漂わせていた。


「この人、ヨシマサさん」


「え、ヨシマサさんって? カスピの先生?」


 渓市は男のその格好から、カスピが日舞か華道を習っていて、その師匠ではないかと考えた。


「うぅん、違う違う。渓市の方が詳しいんじゃないの」


「えっ、分かるわけないだろ。初めてここに来たんだから。だいたいにして、ここ、どこ?」


「よく分かんないけど、室町時代だって。それもさぁ、渓市の方が知ってんじゃないの。渓市、学校始まって以来の秀才なんだから」


「なに室町って。そういうアトラクションなの?」


 渓市は今度、撮影のセットかと考えた。カスピが顔のきく場所だとしても、撮影場所に入ってしまったのではよろしくない。渓市は少々うろたえ気味に、キョロキョロと周囲を見た。


「うぅん、本当の室町時代」


「なに言ってんだよカスピ。狂った?」


「うぅん。信じられないだろうけど、ホントなの」


 カスピは首を振るばかりだ。


「よせよいい加減さぁ。で、おれあの鏡に触ったあと、どうしたんだろ」


「だからぁ、こっち来たの、室町時代に!」


 カスピがもどかしそうに、トーンを上げた。


「渓市とやら、本当じゃよ。室町の世じゃ」


 渓市の前の男が、上品な雰囲気に合った、やさしい声で言った。



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