2話 え? 俺が勇者?
はい、朝が来ましたね
運命の日です。
僕はどうなるんだろう...
「おい、起きろ成宮、尋問をはじめるぞ」
そう言われ起きた洋介の檻を隔てたところに立っていたのは、昨日の女騎士のようだ。一応あいさつは大事だと思いあいさつと返事をしておく。
「おはようございます。わかりました。えーと、女騎士さん?」
「私の名は、アンジェリカ・ストレングスだ。さあ、もう一度、昨日のことを話してもらうぞ」
「わかりました。ストレングスさん。昨日ぼくは・・・」
と昨日言った内容を改めて言った。アンジェリカさんは僕よりも年上の感じがするが、あまり歳の差はなく、切れ長の目をしているが、美形な顔立ちをしているため、僕でもカッコいいと思ってしまうそんな人だ。そんなアンジェリカさんは、僕の話を聞いて、質問をしてきた。
「その歳でまだ、一般教養の素養が身についていないのか?君の国は。それに、本当に18歳か?14、5歳に見えるのだが、まあウソを言っていないから本当なのだろう。」
「一般教養は15歳まで、僕の国では中学校という所で、基本的な国の定める教養は終わっていますが、よい条件で働けるように、また自分の夢などを叶えるために高校と大学または、専門学校に通い、より知識と経験を付けて世に出るというのがふつうなのです。あの、ひとつきいてもいいですか?」
「む?質問を答えて質問で返すか。まあ、正直に話しているようだしいいだろう。なんだ聞きたいことは?」
僕は昨日からずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「どうして僕が正直に答えているとそこまで断言できるのですか?」
「ああ、それを知らないのか。なら、スキルや魔法のことは知ってはいるのか?」
「いいえ、知りません。本か何かの創造物で書かれたものや伝説などは知ってはいますが、僕の国、いや世界では魔法やスキルは存在すらしていません。」
「そうか。話からすると信じられんが異世界から来たということか、なら少しおしえてやる。この世界は魔法やスキルが実際に使われる、職種によってつかえる魔法、スキル、武器は変わるが人は、みんなもっているものだ。そして、私のスキル言霊で相手の言葉の重み、雰囲気などを感じ取ることができる。だから、ウソを言えばわかるということだ。」
「そうだったんですか。だから簡単に僕の話を聞き入れることができたんですか。ふつうだったら、いきなり知らない場所に居て、そこが王女の部屋ならなおさら、信じないですから。」
「そうだな、言霊は珍しいスキルだ。よかったな私に出会えて、あはは、救われたかも知れないな、でも、王女様に怖い思いをさせてしまったのは事実だ。王様は王女様に溺愛しているからどうなるかわからん。幸い王女様も私も君が何かしたわけじゃないのはわかっている。私はこれでも王族が抱える精鋭たちで構成された直下部隊の隊長でもあるから宰相が証人にもなるよりも権威的には高い。悪いようにはならないように証人として努力する。」
アンジェリカさんはいい人で、そしてすごく偉い人だった。まさか、宰相よりも上とか、歳は変わらなさそうなのにスゲーな。
「はい。よろしくお願いします。」
「では、あとでな。」そう言ってアンジェリカさんはその場を去って行った。ちょっとした安心はできるが、全然生死の危険がなくなったわけじゃない。むしろ死ぬでしょ。王が王女に溺愛してて、王女を怖がらせた上に、部屋に忍び込んだような僕ってむしろ、王様の一言で決まっちゃうんじゃないか。ああ、女神アンジェリカさん僕を助けてください。そう祈らずにはいられなかった。
それから数時間後くらいに呼ばれ、王様と王妃、それに国の重鎮や騎士たちがいる王宮の間に今現在、枷を付けて跪いている。王様の隣には王妃と身なりから王子や王女が並んで座っている。もちろん、昨日会った王女の姿も見えるが元気がなさそうにこちらを見ている。そして王宮の間の左右には騎士や国の重鎮たちが立っていて、王のななめ後ろにはアンジェリカさんがなにか気まずそうに僕を見て立っていた。そして、全員そろったとして、王が渋く、低い、威圧的な声で話し始めた。
「君のことは、後ろに立っているアンジェリカ・ストレングス王家直下騎士部隊隊長と私の娘である、セレスに聞いた。で、異世界から来たということは本当か?」
僕はビクビクしながらも答えた。
「は、はいそうです。自分の部屋にいたはずだったのですが、いきなり真っ暗になったかと思えば明るくなって気付いたら王女様の部屋におりました。」
王はそれを聞いて何人かに目配せをし、その何人かの人間たちは、王の視線にうなずいた。王や、その他、この場にいる多くの人間が動揺したのがわかった。その動揺している空気の中、王が話しかけてきた。
「君の名前は成宮洋介でよかったのだったな?」
「はいそうです。」
「君に話さなければならないことがある。安心してくれ、君を殺したりはしない。おい、枷を外して丁重に立たせろ!」
何があったのかわからないが、とにかく助かるみたいでよかった。そして、手枷を外して丁重に立たせてくれた兵士に礼を言って、王とまた顔を合わせた。
「えーと、話さなければいけないこととはなんですか?」
王やこの場にいる人、みんなが気まずそうな空気を出している。なにがあったんだ?と思っていると王が話し始めた。
「話すと長くなるのだが、君はこの国に召喚された勇者なのだ。」
その言葉に僕は固まってしまった。え? 今あの王なんて言った? 勇者? 俺が? そう思っていると王からさらに話をされる。
「勇者召喚の魔法陣がかなり古いもので最後に使われたのが、2、300年前の魔王討伐の時だったのでな、その魔法陣の書かれている本はだいぶ痛んでいてな、成功するか不安だったのだが、発動したのはいいのだが肝心の勇者が出てこなかったため、失敗したと思っていたのだが、まさかわが娘の部屋に表れているとは、思わなかった。何も知らなかったとはいえ、牢屋に入れてしまったのも事実、申し訳なかった。」
そう王に頭を下げられ、話の最初は少しイラッときたが、やはり、日本人である僕は、頭を下げられて許してしまう。そして気になったことも聞いてみた。
「頭を上げてください。人には失敗がつきものですから。でも、なにもできないですよ、剣も振った事もなければ、魔法なんてものは僕の世界にはなかったものですから、それに、魔王討伐をできたのだから、2、300年魔王の脅威はなくなったはずではないですか? なぜ僕を召喚したのですか?」
「そう言ってもらえてありがたい、召喚した理由は魔王が新しく出て魔王国と戦争になるかもしれないからだ。そして、勇者には特別な力が神から与えられていると言い伝えや、文献で残っている。その時の勇者も元の世界では何の力も持っていなかったとなっている、そのため君には戦う術も教えるから安心してほしい。」
「そうですか。どれくらいの猶予があるのですか? 魔王は強いのですか?」
「まだ、わからん。予言で昨日魔王誕生がお告げされたのでな、魔王のこれまで2度出たとされているが両方とも誕生というお告げがなされてからかなり猶予を持ってから進軍してきたとされていることから1、2年くらい余裕があるだろうと思われる。魔王は、強い、圧倒的な魔力保有量を持っており、勇者の魔力保有量も越えているとされている。」
「勇者よりも強いんですか。ということは、仲間探しをしなければいけませんね。」
僕がそう言うと王は慌てて
「いや、そこは私たちに任せてくれ、この世界の各国と話し合いをして各国の強者を揃え現人類最高の 戦力を揃える。だから、君はこの国で力をつけてくれ。」
今、俺がこの国を出て行くと思って焦っていなかったか? 何か隠してるような気がするな。とりあえずこの世界で生きていくためにはこの世界を知ることと、生きていく力、魔法や武力が必要だからなここで世話になるのは必然的だな。今は言うことを聞いてこいておこう。
「わかりました。それじゃよろしく頼みます。」
「うむ、任せよ。では、あとはアンジェリカに任せる。よいなアンジェリカよ、成宮殿のことはお主に任せる」
「はっ!お任せ下さい」
王はアンジェリカさんの返事を聞くと退出していきこの場も解散となった。アンジェリカさんはセレス王女に何か話してから僕の方に来た。
「成宮殿改めて謝罪をする。申し訳なかった。成宮殿のこれからの生活と勇者としての力がつくまでできる限り面倒をみる。改めて、この国、ホーエンハイム王国、王家直下部隊隊長アンジェリカ・ストレングスだ
よろしく頼む。」
「はい、よろしくお願いします。あと、成宮殿でなくて、洋介でいいですよ。もともとお世話になるのは僕の方ですから気軽にお願いします。」
「そうか、わかった。では、洋介、私のこともアンジェリカで構わないよろしくな。早速で悪いが儀式を行わなければならないので一緒に来てもらいたいいいだろうか?」
「大丈夫ですよ、儀式とは何をするのですか?」
「その説明もしながら行くとしよう。」
僕ら2人は話しながら移動をすることにした。
「そんなかしこまらなくても良いのだが、まあこれから直していけばいいか。儀式とは神からスキルなどを何を賜って生まれてきたなどや、称号を何を持っているかなどの情報、ステータスを自分で見れるようにするために神から祝福を教会で得るのだ。ステータスは一度祝福を受ければ自分のはいつでも見れるようになる。教会ではその他にもステータスの更新や新たなスキルや魔法の習得が可能だ。だが、これらは教会でなければできないし、ステータスの祝福は無料だが、ほかは有料だし、ステータスの更新は安いがスキルや魔法は難易度やその効果の高さによって値段が変わる。例えば、私のスキル言霊は国家予算の半分に相当するからそのへんは注意して欲しい。洋介は国家予算から出るからステータス更新は気にしなくてもいいがスキルの取得などは冒険者などになって自分でお金を稼いでからにして欲しい。」
「わかりました。魔法やスキルは自分で得られないのですか?」
「得られるが普通は、魔法なら1、2種類の魔法属性の適性がないため、適性のない魔法は教会で得なければ無理だ。逆に適性があれば極められるところまでいける。また、スキルはその人の才能、これまでの生活や、ステータス更新時、種族、職業、称号によって変わるため、得られるものと得られないものがある。」
「そうですか。魔法属性って何属性あるのですか?」
「火、水、土、風、闇、光、無と七属性に分かれている。無というのは、極たまに他の6属性に属さない魔法を持つ者が現れる。例えば重力や空間に作用する魔法などだ。別名、特異魔法とも言われている。特異魔法持ちは無属性と1種類から3種類の魔法属性を有している。これは、特異魔法持ちは2種類以上の魔法特性を持つということで、国はそういう者たちを見つけ次第保護し、国の戦力になってもらうようにしている」
それって、やっぱりこの世界は平和じゃないんだろうな。今は魔王が誕生したから協力してるけど魔王が消えたら平和じゃなくなるのかな?そう思いながらも
「そーなんですか。特異魔法持ちってすごいんですね。魔法属性を持たない人っているんですか?」
僕はどうしてもこれだけは聞かなくてはと思った。魔法の世界で魔法が使えないとどうなるのか?そんな疑問だが使えない人は処分されているんじゃないか。そう思ったが
「いや、そんな人はまずいない。いることがあったらそれこそ教会から世界中に情報が行くからな。ステータスを得るまでは魔法は、使えないが生まれてすぐステータスを得るから勇者召喚のような特別なことがない限りは、みんな幼少には魔法が使えるからな。」
そんなことはなかったみたいだ。なんか一安心だった。そんな話を聞いているといつの間にか王城を抜け、協会についた。教会はキリスト教のような教会で中には七体の銅像が置かれており、左右に3体ずつ、正面に1体という感じだった。銅像を見てみて思ったが左右6体は女神なのに正面はヒゲの生えた杖を持ついかにも元の世界で言うゼウスのような銅像だった。そんなことに疑問に思いながらその銅像のところにいた神父にアンジェリカさんが話しかけた。
「リューグ神父こちら勇者として召喚された成宮洋介殿だ。姓が成宮なのだそうだ。洋介こちらの神父はリューグ・レザース神父でこれから、洋介の儀式とステータス更新をしてくれる。」
「ああ、君が国に召喚された勇者だね、勇者召喚は失敗したと聞いていたのにいきなり朝になって成功していたの聞いて驚いたよ。リューグ・レザースだ。リューグ神父と呼んでくれ。成宮くんこれからよろしく。」
「はい、はじめまして。成宮洋介です。洋介でいいですよ。こちらこそ、これからよろしくお願いします。」
僕とリューグ神父は挨拶をしながら握手をした。リューグ神父は50代ぐらいの人だけどあのI’ll be backに似ている人で肉体も神父なのかと思うような肉体をしている。笑っている顔は、Yes we canにそっくりなのがツボなんだよな笑うのをこらえながらも腹は痛かった。
「儀式の準備は大丈夫だよ。じゃあ、早速奥の扉の方に行こうか。あの扉の向こうが儀式場だよ。あの扉から先は本人とその両親しか入れないからね。アンジーとは一旦お別れだよ。」
そう言ってリューグさんは奥の扉の方に進んでいった。僕もアンジェリーナさんに見送られながらリューグさんの後ろについて扉をくぐった。
あれー?なんかすみません。王女引きこもりなのに出てきちゃった
まあ、何とかします。
てか、全然進まなくてすみません。
次の展開にはやっと主人公のステータスがわかります。
あと、アンジェリカと、セレス王女のステータスがわかると思います。
今週には3話、仕上げたいと考えています。これからもよろしくおねがいします。