ジョブ
「ゼロ、学園へ行け!」
俺の義母は滅多に家に帰って来ない。そんな義母が久しぶりに帰ってきたかと思えばこの発言だ。
「義母さん、どうしたんだ、いきなり。」
「義母さんは止めなさい。これからは理事長と呼びなさい。」
「・・・っで理事長、どうしたんだ、いきなり。」
「ふむ、お前はあの孤児院で育ったから大した常識は無いのは知っているがこれくらいはさすがに知っておけ。12歳になったら例外なく子供は学校に通わなければならない。要するにお前も通う必要がある。そこで、お前には私の学校に入学してもらう。」
なるほど、そういうことか。なら、行かなきゃな。義母・・・じゃなくて、理事長の学校に通う理由は監視か?まあ、いい。
「俺、理事長の学校の事何も知らないんだけど?」
「ゼロ、義母の勤める学校くらい知っておけ。第三戦闘学校。名前通り戦闘について学ぶ学校だ。武術はもちろん魔法も教え、入学と同時にジョブまで選べる。更に自らのステータスを確認できるようになる。そんな学校だ。」
ジョブとはその者の適性みたいなものだ。ジョブはいくらでも選べるし、いつでも選べる。その代わりに一度選ぶと消すことができない。その代わりに効果は絶大だ。例えば、剣士のジョブを選ぶとステータス、つまり強さを数値化したもののSTRが伸びやすくなる。更に、ジョブによっては新たなスキルが手に入ることだってある。といった感じだ。ジョブは効果の上下がある。例えば、剣聖なんかは剣士のジョブの上位互換だと言われている。
「俺は興味がない。」
「そういうな。もしかしたらお前より強い奴がいるかもしれないぞ。」
それはあり得ないと言おうとしてやめた。別に俺より強い奴がいると思ったわけではない。
「俺は手を抜くぞ?」
「構わない。だが、きちんと通え。それだけ守ればいい。」
俺より強い奴なんかいない。だって俺はあの孤児院の最強にして最後の生き残り。そんな俺が更にジョブまで身につけるのだ。自分でも恐ろしい。
「言い忘れたが入学試験は明日までだ。朝、私と行くぞ。」
「分かった。そういう事ならもう寝る。」
そう言って自室にこもって寝転がった。眠りながら願う。
・・・・・・・もう、誰も殺さずに済みますように・・・・・・・
➖翌朝➖
「よし、じゃあ行くか。」
家には転移魔法陣がある。この魔法陣はとても便利なもので登録してある魔法陣へすぐに移動できる優れものだ。一瞬にして、目の前の光景が変わる。
「さて、着いたな。ゼロ、いくぞ?」
そう言われ、付いて行くと訓練場に連れて行かれた。第一印象としてはかなり広い。家の敷地面積とドッコイだ。理事長の話によると、ここで実技戦闘を行い、それによって合否を決めるらしい。合否はその場で伝えられるらしい。今は朝早くということもあり、二、三人しか人がいない。
「今日は来るのが早い奴が多いいな。この時間に来る奴は珍しい。」
そう言いながらこちらに模擬戦闘用の武器の入ったカゴを渡してきた。試験官は直剣のようだ。俺もその中から無難に直剣を選んだ。正直、どれでも良かったが。その後も、色々意味のない話をした。
「そろそろやりたいんですけど。」
「焦るなって全く。それじゃあ始めるぞ?」
そう言うと、試験官が突っ込んできた。理事長の話によると転ばすだけでいいと言っていたのでそうする事にした。まず試験官の直剣に当て、一瞬拮抗させ、鍔迫り合いに持ち込む。試験官が力を入れた瞬間に俺は逆に力を抜き、バランスを崩させ、足を払って転ばせた。
「・・・・・はぁ?」
第一声がアホ丸出しな感じで気持ち悪い。
「俺は合格ですか?」
「ああ、勿論だ。この先の廊下を行った所でジョブとステータスを渡される。」
廊下を進んだところでジョブ登録をする所を見つけた。学校の、職員もいる。
「こちらでジョブを登録してください。」
「ジョブは職員にばれてしまうんですか?」
「いえ、手元の水晶に触れると頭の中に自分の適性のあるジョブが浮かびますのでこれになりたいと思えばそのジョブになれるという仕組みです。」
それは簡単でいい。そう思い、水晶に触れると頭の中に言葉が浮かんだ。
万能者、破壊者、創造者
どれも強そうだ。万能者は色々と便利そうなのでとる。破壊者はいざという時のためにとる。創造者もいざという時のためにとる。結局全てとることにした。
この時の俺は知らない。これらのジョブのせいでステータスがおかしくなったのを。