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花は花に、鳥は鳥に。  作者: まめ太
飛び立つ鳥
92/124

6-2

「別れてヨリ戻そうとか、向こうもそんなつもり、さらさら無いんやと思いますねん。ちょっと愚痴を聞いて欲しかっただけやて、そう思います。」

 彼女の為にフォローを入れて、話に予防線を張って。

 何かを隠しながら、彼は言い訳のように言葉を重ねた。

「世間じゃ、よぅある話ですやろ。見透かされてるって言うんか、舐められてるって言うんか……、お恥かしいことですねん。女々しいこと言いますけど、俺もまんざらやのうて、内心ではちょっと嬉しいて思てたんです。」

 平井君はまだ迷っている様子で、慎重に言葉を選びながらわたしに言った。


 確かによく聞く話だった。

 わたしは穏やかな気持ちで彼を見つめ、同情の思いを彼女に寄せてもいた。

 人生は、後になって後悔するようなことがとにかく多いと思う。

 平井君はカノジョを恨んでいるわけでも、嫌いになったわけでもなさそうで、ただ困惑の表情を浮かべていた。

 わたしの見たところでは、あのカノジョも、ただの愚痴を聞かせる為だけに元カレに連絡したわけじゃなさそうだった。

 それでも元の鞘には戻れない、大きな理由があるんだ。


「わたしで良かったら、聞くよ? ほら、人に話せば楽になるって言うし。」

 たぶん、聞いて欲しいんだと思った。

 でないとわたしを誘う理由がない。誰にも話せずに、苦しかったんだ。

「わたしだったら、ほら、ただの観光客でさ、この街に来ることももう無いかも知れないし、あったとしてもその頃には忘れてると思うし、なによりほら、まるで関係ない人間だから二人の事も何も知らないからさ。」

 カウンセラーに話すくらいのつもりで、話してくれたらいい。そう思った。

 きっとわたしを信用して話す気になってくれたのだ、軽い噂話にして撒き散らすタイプとは見えなかったんだろう。


 迷いながら、彼は伺うような視線の後でようやく話を切り出した。

「こっからは、酒の上での愚痴やと思て、聞き流したってください。行きずりの街で聞いた、ただの痴話話やさかいに。」

 何重もの予防線を張りながら、平井君の目は今にも泣き出しそうな色をしていた。



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