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花は花に、鳥は鳥に。  作者: まめ太
第二章 友達のカレシ
58/124

1-4

 お昼ご飯に立ち寄ったお店は、家族経営の小さな料理屋だった。

「おおきに。宜しかったら、アンケートに答えたっておくれやすな。」

 女将さんが京都独特のイントネーションでそう言って、小さな用紙を差し出す。

 母は気軽に引き受けて、ボールペンのキャップを取った。

 下手なこと、書かなきゃいいんだけど。

 心配で、横から覗き込んだ。


「お料理の味付けは……と。遙香、どう思った?」

「んー。京都だし、あんなモンじゃない? 東京のあたし達には、頼りないのは当然だと思うし。」

 東京の味付けより大阪の味付けは薄くて、その大阪よりさらに薄いのが京都だ。

「けど、お出汁の味はしっかりしてるのよねぇ。不思議。」

 母は頬杖をついて、口をすぼめた。

 料理は全般で色が白っぽくて、本当にお醤油が入っているのかと訝るような色合いだった。

 けれど味は、薄いのだけど不味くはないという不思議さだ。

「もう少し色が濃い方が美味しそうに見えると思うんだけどねぇ。」

 母が書きこんでいる意見を、お店の人が間に受けなきゃいいんだけど。


「あ、けどさ、お母さん。最後のお茶漬けは色が鮮やかで綺麗だったわよね。」

 わたしは思い出して、急かすように言った。あれこそ、書かなきゃと思う。

 仕事柄、カラーコーディネートにはちょっと煩いと自負しているけれど、京都の色彩はさすがに古都の風情というかで、お手本になりそうな組み合わせに心躍らされたりする。

 ふと目を留めたところに、見事な色の取り合わせがちょこんと飾られていたりするのが京都だった。

 最後に出てきたお茶漬けも、塗りの半月盆の黒に、器の白、そして鮮やかな緑の張られた水面に朱色の鮭。

 見事なコントラスト。

「そうね。あれ、美味しかったわぁ。」

 母も思い出して、満足したと書き綴った。


 割とハキハキと、言いたい事ははっきりと言いあう母娘だと思う。

 だからだろう、あの男はわたしにとっては珍しいタイプに映っていた。


「突然呼んでごめんね、紗江とは巧くやってる?」

「ああ。巧く行ってると思うよ、たぶん。」

 祐介はいつもそうだ。わたしの問いかけには、曖昧にしか答えない。

 警戒されているって解かるのがすごく悔しかった。

 それは解かりやすく、他人と身内を分け隔てる行為だった。



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