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花は花に、鳥は鳥に。  作者: まめ太
第一章 女は子宮で考える
4/124

1-4

 敬子はわたしがブルーな原因を知っている。

 十日前、あまりの事に耐えられなくて、彼女に電話してぜんぶ吐き出したから。

 同じ繋がりの友達じゃないから、遠慮なく遙香のことをボロクソに言ってやった。

 親友だと思ってたのに。


「祐介が可哀そうなんだもの。」

 遙香はいけしゃあしゃあと、そんな事を言ってわたしを責めた。

 カレシだけでなく、親友だと思ってた女にまで裏切られたわたしの方が、もっと可哀そうだと思わない?

 ねぇ、遙香。

 あなたが何を正当化していたのか、それを知りたいわ。

「奥さんが居ても構いません!」

 演技がヘタなあの女優にも聞きたいわ。

 なにが、構わないの? それはあなたの都合よね?


 挙句の果てに、女優は演技で男を崖から突き落とし、遙香は悪態をついて音信不通になった。

 わたしが悪いような気がしてきて、後からよくよく考えたら、別にわたしに落ち度はなかった。


 遙香は祐介に騙されて、遊ばれたことを認めたくなかったんだろう。

「誘ってきたのは向こうだよ、」

 冷たい男の本音が詰まったセリフだね。

 そんな男が心底好きなわたしも、遙香のことをとやかく言えないって、解かってる。

 どうして遙香だったの?

 聞けば壊れてしまいそうだったから、聞けなかった。

 なんだかんだ言っても、あんなロクデナシがわたしは好きなんだ。


 他の女なら良かったのに。

 ぜんぜん知らない他の誰かなら、また祐介の悪い癖が出たと思って、その場限りで怒っておしまいだったのに。

 やっぱりわたしに戻ってくるのよ、なんて、知らない誰かに同情して終わったのに。

 浮気者のカレシを持ってしまったら、そうとでも思わなければ正気でいられない。

 ううん。

 そのうちに、遙香のこともそんな風に見下して心の平穏を取り戻すのだと思う。


 こんな女だから、祐介が可哀そうだと思ったの?

 遙香。


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