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花は花に、鳥は鳥に。  作者: まめ太
魔法のくちどけ
16/124

3-2

 今夜の宿にようやく到着したのは夕方近くで、狭苦しい道路を四苦八苦しながらバスは駐車場へ入った。

 いいホテルだった。

 一部上場企業の底力を見よ! てくらいに。


 社長の親類の人が経営に関わっているからと、密かに聞いた話だったけど、想像したようなセコい旅館じゃなかった。

 まぁ、社員旅行の百名以上が泊まるわけだから、そんなショボい建物じゃ収容しきれないよね。

 ホテルの玄関先で、仲居さんたちがずらりと並んで出迎えてくれた。

 なんかお偉いさんになった気分。

 むず痒いような、顔がにやけてしまうような感じで、足早に中へ通った。


 部屋は和洋折衷のツインだった。

 座敷と、板の間に応接セットがあって、障子を開けると窓から表通りが見下ろせた。

 八畳くらいかな。板の間はそれより少し狭い。床の間まであって、高尚な掛軸が下がっていた。

 時代を思わせる部屋で、なんだか気分がふわふわしてくる。

 温泉がメインの観光地だから、窓からの眺めは正直期待もしていなかったけど。

 けれども、温泉街の真ん中を流れる川と、大正レトロな雰囲気の通りは情緒があって素敵だった。

 すぐにでも外へお散歩に出掛けたくなる。


「ねぇねぇ、紗江。外湯があるんだって。内湯もあるけどって、どうする?」

 敬子はさっそくお風呂の準備を始めて、浮かれた声でわたしに聞いた。

 わたしも浮かれたい気分だったけど、先を越されたから気を引き締める。

「晩御飯は宴会場だったでしょ? あんまり時間ないから近いトコしか行けないわよ。」

 七時に大宴会場へ集合というお達しが出ていたから、あれこれ逆算しても二時間で戻らねばならない。


 男が計画した旅行プランなんてのは、メインはやっぱり『酒』なんだ。

 七時から、終了時刻は十時を予定しています、て。

 温泉郷へ来たくせに、晩御飯に三時間も予定を裂くなと言いたい。



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