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第5話「上機嫌な朝」

早坂君という人物に出会った翌日―――……


靴を履き替えていると、恵理とちょうど靴箱で会った。

恵理は眠そうに欠伸をかみ殺している。


「おはよー…」

「おはよー。あれ、玲ちゃんは?」


いつも恵理と玲ちゃんは一緒に学校に来ている。

なんでも最寄り駅が同じらしい。


「あー、玲はねえ……バスケ部に入ったらしくて今日から朝練が始まるって。だからこれから時間はバラバラになるかしらね」

「…へ?バスケ?」


バスケかぁ〜〜なんだかすごく玲ちゃんらしい。

女の子にも更にモテちゃいそうだなあ。


バスケ部ということに何の違和感もなくて、うんうんと納得がいった。


「あれ?そういえば部活ってもう入部する時期だっけ?」

「なに言ってんのよ、入部届け四月中に出さなきゃいけないのよ?あと残り数日しかないじゃない」


す、すっかり忘れてた……


「恵理はどこに入るの?」

「私?私は新聞部よ。」


恵理がしれっと答えた。

恵理まですでに部活を決めてしまっていたとは……


「アンタはどうするの?大体もう目星はついているわけ?」

「ううん、全然…」

「はぁ…相変わらず呑気ね。仮入するなりして早く部活決めちゃいなさいよ」

「はい……」


教室に入って席に着くと、隣の席にいた由里香が話しかけてきた。


「葵衣、部活きまった?」

「ううん、まだ……玲ちゃん、バスケ部に入ったんだってね」

「えっ、うそ、まじで!?初耳だよぉそんなことー玲ったら言ってよねぇ、ったくアイツはぁ」

「由里香は?」

「あっ、そうだった。葵衣さぁ、もし入りたいとこが特にないんなら私と一緒に映画研究会に入らない?葵衣って確か本だけじゃなくて映画も好きだったよねぇ?」

「え、映画研究会?」

「ねっ、一緒に入らない?」


確かに映画鑑賞も実は結構好きだったりする。

この前の日曜日も『パイ●ーツオブカリビアン』見ちゃったぐらいだ。

まあ、映画はひとりで見る方が好きなタイプだったりするのだけど……

この学校にまさか本の研究会なんてあるわけないしなあ……


「うん、じゃあ一緒に入ろっか」

「やったあ―――!!さっすが葵衣♪じゃあ早速入部届け昼に出しに行こぉ」

「でも、私、由里香が映画好きだなんて知らなかったよ」

「ふふっ、実は理由はそれじゃないんだなぁ」

「は?」


どういうこと??


「まぁそれは後でのお楽しみって事で♪」


由里香はニヤニヤしながらそう言うと、上機嫌で退散していった。


あっ……そういえば早坂君について聞こうと思ってたんだけど……まあ、また今度でいいよね。


昨日会った早坂君は十中八九、由里香が言ってた『はやさかくん』なのだろう。


昨日のことを思い出し、なぜだか嬉しくなった。

これで買わずとも『星屑』の続きが読めるのだ。




このとき、葵衣は由里香と同じく自分も上機嫌になってしまった本当の理由などまだ知る由もなかったのは言うまでもない。

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